アクタイオン再び登場!
人が死ぬことが少ない「アストレイ」では、同じ悪役も何度も出てくる。
結果として、悪役にもキャラが立ってくる。
冒頭で、アクタイオンが雇う傭兵。
実は、この回が初登場ではない。
時系列では後のエピソードになるのだが、
スニーカー3話で、劾を罠に掛けて、風花の操縦するブルーフレームに撃たれてしまう傭兵。それが、コイツなのだ。
民間宇宙ドック「バーナクル」とは、フジツボの意味。
単行本14、15ページは連載時にはなかった。
ゴールドフレームの腕についてガンダムエース版では、あまり触れてなかったので、ときた先生が追加してくれた。
ジャンク屋マリーンにレッドフレームを盗まれたロウ。
奪い返すためにキメラで攻撃するが、その攻撃があたった時に
「ちゃんと避けろ、キズが付くだろ!」と言う。
これが、この回で、もっともロウらしいセリフ。
取り返すために、自分で攻撃しておいて、
傷が付くと文句を言う。
このアタリから、ロウが「自分の価値観に忠実で、他人から見るとワガママともとれる」という基本スタンスが確立しはじめている。
ロウが、宇宙服もなしで、キメラからレッドフレームに乗り移るシーン。
読者から、「非科学的です。人体が破裂します」「目玉が飛び出ます」
「宇宙は寒いので凍り付きます」
などなど、いろんなクレームをもらった。
だが、実際には、人間の体は風船と違い、真空でもすぐに爆発したりしない。
ましてや、短時間なら宇宙空間は熱を伝える物質がないので、急激な温度変化もないのだ。
つまり大丈夫。
※このシーンのためにNASAの資料を調べました。
あと、ソ連の動物実験もかなり詳しい。
ただ、現実に合っているのと、読者が納得するのは別なので、
このシーンを入れるに当たっては、ときた先生とも相談した。
「まあ、『逆襲のシャア』でクエスもやってるから大丈夫でしょう」
ということでGOになったが、結局、クレームは来てしまった。
レッドフレームの手からでる新技は、この段階では名前がない。
あとあとゲームで必要になって、つけることになる。
(技のアイデアは、阿久津さんの設定画にあった)
8が「哈哈哈哈(はははは)」と笑うのは、
担当編集さんのアイデアだったと記憶している。
最後にマリーンの正体が明かされ(テレビキャラの変装)、
エリカ・シモンズが登場する。
このシーン、アストレイではじめてテレビ用のキャラが、テレビより早く登場したシーンだ。
2006年4月アーカイブ
スタジオオルフェでは、数年前、某有名大学の文化祭のイベントに出たことがある。
アニメ関係者をあつめて、トークショーをしたのだ。
大学のアニメ研究会が、企画を持ち込んできたのだ。
この某有名大学が、かなりの大学で、
『ドラゴン桜』がない時代に学生だった私には、ぜったい入れないような学校だ。
「高卒と、大学中退の学歴者の集団であるオルフェとしては、
この大学からの挑戦は受けざるを得まい。
いや、『あんたたち、アニメなんかに構ってないで、日本の将来のために勉強しろ』と言うためにも、ぜひ乗り込もう」
ということで引き受けた。
私も社長なので、参加した。
まあ、内容がどうだったかは、ここでは重要でないのでパスする。
トークショーが終わり、社員たちやゲストはみんな打ち上げにいくことになった。
私は、仕事があったので、そのまま直帰することにした。
イベント会場を出て、まずトイレによった。
小で用をたしていると、突然後ろから声を掛けられた。
「スタジオオルフェの千葉社長ですよね?」
とまどう私。
だって、まさかこんな瞬間に声をかけられるなんて、夢にも思ってない。
生まれて初めてのことだ。
よほどの緊急事態か!?
「会場の裏で隠れて酒を飲んで、泥酔した社員が、暴れたか?」
一瞬、悪い予感が走る。
私は、なんとか、膀胱力(?)を全開にして、通常の三倍の早さで用を終わらせた。
そして、声を掛けてきた人の方を振り向くと、
「ボク、オルフェに入りたいんです」
と言ってきた。
そのセリフを聞いて、全身の力が抜けました。
この人には、「常識がない人は、当社では必要ありません」
と断った。
さて、大学を出て、帰りの電車に乗り込んだ私。
大学から離れ、かなり安心しはじめていた。
頭の中では、締め切りが目の前(というか、ちょっと過ぎてしまった)仕事のことで考えをめぐらせていた。
ふと、視線を反対側のイスに座った人に向けると、
なんと、その人は当社の社員が執筆した小説を手にして居るではないか!
あまりに不自然。
偶然の可能性は、かなり低い。
その本は、特に新刊という訳ではないのだ。
私は、見なかったことにした。
だが、私が、視線を外したことに気づいたその人は、
これ見よがしに、「おもしれぇ、これおもしれぇ」などと言い出す始末。
私は、はじめて「衝動殺人が起こる理由」を身をもって体験したが、
こんなヤツのために人生棒に振るのはいやだったので、我慢した。
やがて、電車は私の降りる駅に到着してしまった。
ヤツのターゲットが私なのは、ほぼ間違いない。
「降りて、自宅の最寄り駅を知られるのは危険か?」
とも思ったが、
敵が、話しかけてくるなどの積極的戦術をとってこなかったので、
ここは、電車を降ることにした。
(降りれば、ヤツと別れられるかもしれないという、甘い誘惑に負けたのだ)
だが、私が電車を降りると、ヤツも降りてきてしまった。
そして、「スタジオオルフェの千葉社長ですよね?」
と、話しかけてきた。
「そうですが」
「ボク、アニメに詳しんです」
「へ〜、で?」
「アニメのことなら、誰にも負けません」
「そうなんだ。で?」
「ですから……」
「用がないなら、急いでますので」
私は、その場を走り去ってしまった。
ヤツは、追ってくる気配はなかったが、まっすぐ家に帰るのは危険なので、
30分ほど遠回りして帰った。
さらに、家に帰ってからメールをチェックすると、
一度だけバイトで使って、あまりに使えないので、クビにした男から
メールが来ていた。
「今日、私も、オルフェのトークショーを拝見させていただきました。
客席から手を振ったんですが、気づきませんでしたか?
トークの内容で言われていた、●●と●●は、ダメでしょう。
ところで、あれから時間もたち、私もレベルアップしました。
もう一度、作品を見て頂けませんか?
オルフェで使って頂けなくても、もう少しレベルの低い会社を紹介していただければ、幸いです」
あまりの内容に返事をする気力もなく、
ましてや「締め切りをやや過ぎた仕事」をやる気力も奪われていた。
結局、その日は、ふて寝してしまった。
これも「悠久」のスタッフと組んだ作品。
メディアワークスのオンラインゲームだった。
かなり「初」がつく試みのシステムで、野心にとんだ作品でした。
なにが、野心的かというと、
登録して参加したユーザーの行動によって、
毎週発表されるストーリー(小説)が変化するシステムだった。
詳しく作業を説明すると、
各キャラ陣営ごとにユーザーが構成員として登録しており、BBSでの発言や、
戦闘などが出来るシステムだった。
私は、毎日、このユーザーの行動をチェック(1日に何千という書き込みをすべて読む)。
さらに、突発的に介入なんかもして。
ゲーム中のキャラになって、BBSに書き込みしたりする。
で、週末の大決戦(これがもっとも重要)の結果をみて、
土日でストーリーを決めて、小説を書く(月曜日に発表)。
それを毎週やっていたのだ!
今考えても、かなり無謀な企画。
作業時間がないのは、だれでも気づくと思うが、
ゲームの結果を反映させた上で、おもしろい小説を書くというのが、
至難の業。
さらにユーザー参加型で、意見を言える環境が整っていたので、
スタッフにたいする不満もダイレクトに届く。
そして、荒らし。荒らし。荒らし。
あの手この手で、荒らしてくる。
「こんなに大変になるとは思わなかった」
というのが、正直な感想でしたね。
ただ、喜んでくれている感想も、すぐに届くのはうれしかったです。
当時、毎日の戦闘と週末の大決戦について、
「管理者が操作している」という不満が一番多かったのですが、
ここにはっきり書いておきます。
一切操作してません!
ただし、毎週の小説だけは、
各陣営のリーダーキャラが、均等になるように気をつけていた。
戦闘結果で一番だったキャラは出さざるを得ないが、
それ以外は、それまでの出番から判断して、登場量を調整していたのだ。
(それでも「あのキャラだけ多い」という不満の声がかなりありましたが)
小説部分について
「小説家ではなく、ライターが書いてる」という苦情もあったな〜。
すみません、文章が下手で。
「複数の人間で書いており、文体が統一されていない」という指摘も多かったのですが、これ間違ってます。
私が一人で書いてました。
しかし、今考えると、一人でやるような仕事じゃなかったな〜。
複数でやってると思われてもしかたないか。
「悠久幻想曲」のスタッフと組んで作ってゲーム。
現代を舞台にしたタクティカルRPG。
この作品の思い出は、なんといっても
世界観の根幹になる「イデア理論」を設定できたこと。
最初のオーダーは、「忍者の忍法みたいなモノをちゃんと説明できないか?」
ということだった。
そこで、前々から暖めていた理論を提出。
「一晩かかって、やっと理解しました」
という感想をもらう(笑)。
この段階で「ダメ」かと思ったのだが、
「難しいがおもしろい」ということで、なんとか採用。
しかも、スタッフががんばってくれて、
ゲーム内で理解しやすく解説してくれた。
本当、感謝。
イデア理論については、ネットで調べてみてください。
ゲームタイトルで検索すれば、けっこう引っかかるようです。
この理論には、私のSF魂のすべてが込められてます。
魔法も呪いも、不思議なものは、全部、現代科学で説明できて、
しかも人為的に再現できるというウルトラCな理論です。
最初、この理論は、イド理論と命名してました。
「禁断の惑星」の「イドの怪物」からとった名前です。
ですが、ゴロが悪く、「井戸」と勘違いされるということで、
変更しました。
本編のシナリオは、かなり膨大で、
たぶん私が手がけたモノでは、ダントツでした。
そのため、作業がかなり遅れてしまい、迷惑を掛けてしまいました。
(遅れている張本人のくせにメールでスタッフに仕事量で愚痴ったりして……
若かったな〜。当時の関係者のみなさま、ごめんなさい)
「悠久」のスタッフは、
「キャラの見せ方」という点で、かなり高い技術を持っていて、
一緒に仕事できたのは、すごく勉強になった。
この作品は、ラジオドラマやCDドラマも出してます。
なんと、監督は声優の千葉繁さん!
シナリオを書いた私は、アフレコスタジオにも顔を出したが、
そのはちゃめちゃな演出にびっくり。
なんと、アドリブで声優さんを収録室(ブース)から出させてしまったり……
(雑音が入るので、普通はありえない)
休憩時間には、マックの話で盛り上がったのを憶えてます。
(当時、千葉さんは、数十台のマックをもってた!)
続編とか出せないモノかな〜。
私は、「逆襲のシャア」で2回仕事をしている。
どちらもゲームだ。
最初は、バンプレストのゲームセンター用の体感ゲーム。
SDガンダム型(νガンダム)の筐体で、
プレイヤーは、アムロになって操縦し、「逆襲のシャア」のストーリーを体験していく、コース固定型のシューティングだった。
私は、このゲームのシナリオと、絵コンテを担当していた。
当時(今もだが……)文字書きがメインで、絵描きではなかった私は、
この絵コンテにかなり苦戦させられた。
だが、完成したものには、かなり自信をもっていた。
ところが、このゲームは世に出ることはなかった。
実は筐体に問題があったのだ。
SDガンダム型筐体は、その形の都合上、
プレイヤーとメインモニターの距離がすごく近くなってしまった。
これで体感ゲームをやると、だれでも船酔い状態になってしまうことが発覚したのだ。
あえなく企画と一緒に私の絵コンテも、ボツとなってしまった。
(制作費はちゃんともらいました)
次に「逆シャア」に携わったのは、
プレステの「逆シャア」。
私は、このゲームのシナリオを担当している。
(ちなみにコミック化を、ときた先生がやっていて、
面識はなかったが、この時点でも先生とはニアミスしているのだ)
映画である「逆シャア」は、ボリュームが少ないので、
このゲームでは、アムロとシャアが一年戦争を振り返るシーン(ステージ)が挿入されており、二人の因縁の対決が、すべて体験できるようになっていた。
さらにLD(なつかしい……)についていた監督のメモから拾って、膨らませたシーンも追加されていた。
これらのシーンは、時計を片手にセリフの時間を計りながら、シナリオを書いた。
当時のゲームは、まだ音声データの容量(一度に読み出せる量)がシビアだったのだ。
だが、アフレコが終わった後、プロデューサーから電話があり、
「セリフが長すぎて入らない」といクレームを受けた。
「そんなバカな!」ということで、
アフレコしたデータを私が確認してみると、
私のシナリオを絵コンテにした人が勝手に膨らませてしまっていたのだ。
「これはもう、こちらでは、どうにもなりません」
ということで、対処は先方にまかせることとした。
(シナリオのとおりに戻してもらうのが、一番なのだが……)
このゲームには、おまけで、いろいろな機体で遊べるステージがついていた。
そこは、私の担当ではなかったのだが、
プロデューサーから電話がかかってきて、
「絵コンテをやって欲しい」と言われてしまった。
どうしようか悩んだ末、先に書いた体感ゲーム版の絵コンテを見せて、
「このレベルでよいか?」と聞いたところ、
「よい」との返事が返ってきた。
そこで、絵コンテを引き受けることにした。
後にも先にも、私が絵コンテ作業をしたのは、この二作のみ。
その両方が「逆襲のシャア」だというのは、
完全に偶然なのだが、なんとも運命のイタズラを感じずには居られない。
今日は設定の話。
今は、SEED関連でいろいろ設定に係わらせてもらっていますが、
思い返すと、最初にガンダムで私が設定したのは、
「ZZ」のフルアーマーZZでした。
このスペックは、私が作ってます。
当時、オルフェの前の会社にいた私は学研のアニメディアの仕事をしてました。
主にムック関係の仕事が多く、「ジリオン」なんかのムックも作りました。
「ZZ」のムックは上下巻で、
放映終了直後に下巻が発売されるスケジュールで編集してました。
(そのために、最終回は、シナリオやコンテだけで作業して、
本放送時は、印刷所の校正室で放送を見て、変更点など修正しました。
余談になりますが、この部屋の電波状態が悪くて大変でした。
まあ、本来、テレビを見るための部屋じゃないので、しかたないのですが。
室内アンテナを、いろいろな方向に向けながら、
砂嵐の画面とにらめっこした記憶が残ってます)
このムックのメカページ担当だった私。
フルアーマーZZのスペックを掲載しようと、サンライズに問い合わせた所、
「まだない」という返事。
「すぐにでも欲しいのですか?」と言うと、「それじゃ、そちらで作ってください」
という話に。
今では、ほとんどありえない話ですが、当時はこんなことも珍しくなかったのです。
ファーストの設定なんて、ほとんど、テレビ内にはなく、アニメ誌で生まれたものばかりです。
私は、他の設定と見比べながら身長、体重、武装などを設定しました。
この時、肩のミサイルポッドは線画設定に「無限に発射」と書かれていたので、「弾数無限」と書いたのですが、さすがにここのみはサンライズのチェックが入り変更になりました。
それ以外、私が作ったままになってます。
これが、私のガンダム初設定の思い出です。
余談
4月11日に紹介した「プロフェッショナル 仕事の流儀」ですが、
あの演出論が、すぐれていることの見本を本日見ました。
同じNHKのお笑い番組「サラリーマンNEO」の中で
「サラリーマン 遊びの流儀」というパロディコーナーが登場。
作りは、まじめに遊びについて語っているもので、
演出は「プロフェッショナル 仕事の流儀」と同一。
(効果音やロゴも合わせていた)
スタッフがこのパロディで何をしたいのか不明ですが、
(すくなくとも笑いを狙っていない)
「遊びは、仕事にとっても大事」と、納得させられてしまう説得力がありました。
ただのパロディではなく、内容に納得させるだけの力があるのは、やはり演出の勝利ですね。
なんか、問い合わせがあったので、フォローしておきます。
「小説の構造」と一緒にしてしまったので、
「日常でも役立つ文章構成」が、わかりにくくなってしまったようで。
例で分かりやすいのは、作品紹介かな?
たぶん、だれでも見たことがあると思うから。
すべてとは言わないが、ほとんどは、以下のようなスタイルだと思う。
(なお、扱っている作品は、(まだ)架空のモノです。
今後発表される作品と類似していたり、微妙に違う部分があっても、
私は知りません)
----------------------------------------
●見出し
新アストレイシリーズ開始!
●前振り
大人気シリーズ「ガンダムSEED」の公式外伝「アストレイ」で
新シリーズが開始される。
スタッフには、ときた洸一、千葉智宏に加え、
テレビ本編のスタッフから、大河原邦男が参加する。
●本文
同シリーズは、3年半に渡ってシリーズ化されてきたが、
つい最近各誌の連載がすべて終了した。
だが、ガンダムエース6月26日発売号にて、
新たなスタートを切ることが分かった。
(さらに5月26日号では、予告編を掲載)
今回の物語では、火星からやってきた「火星人」たちを中心に、
テレビ「デスティニー」の時代を、今までとは違う視点から描く。
これまでの「アストレイ」とは、別の独立した作品になり、
タイトルもこれまでとは違うフォーマットになるようだ。
ただ、同一の世界が舞台となるだけに、
セトナの秘密が明かされたり、旧シリーズから引き継がれる部分も少なからずあるようなので、これまでのファンも要チェックだ。
●後振り
現在、同じく「ガンダムSEED」外伝として発表されている
「スターゲイザー」は、DSSDと呼ばれる深宇宙探査組織が登場する。
火星に関係した新アストレイとなんらかの関係がありそうだが……?
テレビシリーズは終了した「ガンダムSEED」だが、これからもまだまだ目が離せない!
----------------------------------------
上記の用に構成を3つに分けて考えると、文章を組み立てやすい。
「前振り」は、とにかくキャッチーな内容。
人気作品である「ガンダムSEED」という言葉を出している。
スタッフ名なども効果的。
(自分の名前の効果はさておき、
映画などでは、監督や俳優の名前は、必ず出しておきたいポイントだ)
とにかく「固有名詞」で引きつける。
この「紹介文そのもの」を読ませるための文章を心がける。
「本文」は、言っておきたいメインの内容。
例で言えば、開始日や、
物語の内容ということになる。
「後振り」は、実は「前振り」と同じ考え方で作る。
ただし、こちらは、「前振り」より、「固有名詞」に拘る必要はない。
なぜなら、読者は、すでにこの紹介文を読みはじめてくれているので、
「紹介文を読ませるキャッチーさ」は、もう必要ない。
ここで必要なのは、「紹介している作品(新アストレイ)を読ませる」方だ。
そこで、話題の作品との関連性を臭わせて締めくくっている。
以上、どうだろうか?
町内会の案内から、ラブレター、
会社の企画書まで、応用可能だと思う。
スーパーファミコンのソフト。
黒田がシナリオ。
私は、雑務(笑)で参加。
なんでもやったな〜。
スタジオオルフェの初期ビッグプロジェクトのひとつ。
ゲーム内容は
4月から9月までの期間、幼稚園児を育成するソフト。
育成とRPGが融合している。
キャラや物語のコンセプトに須藤真澄先生を起用。
最初はお付き合いのあった会社が、
パイオニアのゲーム事業参入に呼ばれて、そのお手伝いで参加し、
(そのゲームでもいろいろやってます)
その後、「オルフェでも企画あったらどんどん出して」という
社交辞令(笑)を信じた私が、全社をあげて企画を製作。
かなり苦労した末に、発売まで至った思い出の作品です。
とにかく黒田が須藤先生が好きで、がんばった作品。
全シナリオを黒田ひとりで書いている。
須藤先生は、同作品のコミックも描いた。
ファンからは、「ゲームは、コミックと違いすぎる。
もっと原作を大切にしてください」
と怒られたが、あくまでもゲームが先行した企画だった。
(ゲームでおもしろいモノと、コミックでおもしろいモノは違う。
だから、須藤先生には、自由に書いてもらったのだ)
企画書から気合いが入っていた。
まずキャラや世界観はもちろん、
敵のサンプルデザイン(某SDガンダムのデザイナーさんに発注)、
CGマップのイメージまで作った。
この企画書には、冒頭に倉田の導入コピーがついている。
数行のコピーなのだが、これがすごく良い!
正直、それを読んで「これは絶対、企画が通る」と私は思った。
結果的に、発売したソフトは、時期が悪かった。
すでにスーパーファミコンの時代ではなかったのだ。
当然、セールスも芳しくなかった。
(と、いうか生産数が極端に少ない)
数の少なさもあってか、現在はカルト人気があるようだ。
ネットを検索したら、攻略ホームページが数カ所あり、未だに情報が追加されている。
データ吸い出して解析した人までいるのには、おどろいた。
データ解析でばれてしまっているが、
実は当初の予定では、1年の期間を遊ぶゲームだった。
だが製作期間のおくれから、「半年にするか」「メイン以外の作り込みを減らすか」を迫られた。
黒田と相談した結果、「千葉さんが、判断した方に合わせる」と言われ、
半年にすることにした。
今まで仕事してきて、間違いなくこれが一番苦しかった決断だった。
ただ、まかせて同意してくれた黒田には、感謝だ。
ゲーム製作中にCMも作ろうとした。
アニメーションによるCM。
実現すれば初須藤アニメになる予定だったが、
知り合いのアニメスタジオに見積もりを出してもらったら、
予算より一桁多い額だったので、断念した。
「なんとかテレビアニメと同じぐらいの予算でできないか?」
とお願いしたのだが、「CMでは制作費はこれが相場」と言われ、
絶対にまけてくれなかった。
ちなみにその会社とは、今も付き合いがある(私は縁を切りたい)が、
当社への支払いが、とてつもない期間保留になってます。
早く払ってください。
今思い返すと、「若かったな〜」という感じ。
とにかくガムシャラ。
なにをどうやったらいいか、なんて考える前に突き進んだ。
そして転んだ。
だけど、進んだ。
自分たちの理想と、現実に出来上がるモノのギャップに、とまどう日々。
どんどん容赦なく、なくなっていく日程。
今やったら、もっと色々うまく立ち回れると思う。
売れなかったのは、時代や状況の分析が出来ていなかったことに原因があるし、
発売元の意見で「それはおかしい」と思うものにも反論の手段を持ってなかった。
プログラマーの「そんなの不可能です」に反論する技術的知識もなかった。
それら諸々を今は持っている。
だけど、若さとそれに付随するステキなモノは、だいぶ失ってしまったな〜。
このブログでも書いたが、私はモデラーとしてこの業界へ入った。
それだけに模型誌で連載を持つということには、
他誌にはない思い入れがあった。
そこで、各連載ではドラマを楽しんでもらう以外に
模型的な楽しみも入れられるように考えていた。
たとえば1話は、ジオラマと固定ポーズキット。
2話は、ジャンクパーツによる改造
3話は、小規模スクラッチ
などだ。
だが、連載が進むにつれて、ドラマ作りとの整合性が難しくなり、やめてしまった。
今でも残念に思う。
電撃の連載1話「ビームライフル」は、発電施設の内部に潜入したブルーフレームが
戦艦並みのビームライフルで施設を破壊する話だ。
当初、狭い通路に潜入するため、片腕を外して行く。
という仕掛けを考えていたが、1話から片腕はマズイということでボツに。
2話の「ハイスピードブースター」に出てくる高速実験挺は、
ガンダムエースの3話に出てくるモノ。
劾が接触したあとに、ロウに拾われた訳だ。
3話の「コンプリート・センサー」では、
ミラージュコロイドの試作モビルアーマーと戦う。
コンプリート・センサーのデザインは、
阿久津氏が、頭部バリエーションとして描いたモノに、
後付で能力設定をした。
Bクラブのフル・ウエポンのキットには、
このパーツもおまけでついてくる。
この1〜3話は、とにかく構成に苦労した。
なぜなら、先行して発売されたレッドフレームしかキットがなかったのだ。
そのため、各話の敵は、
1話→発電施設
2話→高速艇
3話→ミラージュコロイドで敵が見えない
と、敵が姿を出さない構成になっている。
※3話では、ジンが手に入ったので、味方としてイライジャ専用ジンは登場。
ちなみに4話にも敵はなく(アストレイ同士の戦い)、5話になってやっと本格的に敵が登場することとなる。
扉のプロフェッサーは、また注意を受けないように気をつけて描いてもらってます。
この話は、「テレビとの連動が少ない」という編集部からの注文に応えるために作った。
ラクスがかなり天然系のキャラとして描かれているが、
シナリオでは、もっと変だった。
レッドフレームを見て、ニュータイプ的直感でいろいろコメントするシーンなどもあったが、変更した。
すべてのセリフは、サンライズの下村さんと検討して、この形に落ち着いたが、
アニメでも日々変化したキャラだけに難しかった。
絵的には、平井キャラを描き慣れている戸田先生だけあって、
完全にラクスでした。
この話は、一部では「ロウがラクスを助ける話」と考えられているようだが、
(ときた版で、キラを助けた影響でそう思われている?)
私の認識では、「ロウとラクスのニアミス」ぐらいの意識だ。
実際、まったく助けてないし。
この回から、ルキーニの仲間として、女海賊のエリサが登場。
当初、ルキーニは単独(孤独)キャラにする予定だったが、
相手が居ないと会話が出来ず話しを進めにくいことから、戸田さんが作り出したキャラだ。
のちのち、暗殺者(アサシン)の姉なども登場する計画があったが、
けっきょく出さなかった。
ジンの改造機である
フエゴ(火)とテンペスター(嵐)。
名前はスペイン語だ。
当時私がスペイン語に凝っていて、「かわった名前にしたい」という
戸田さんに辞書をかして選んだ。
この機体、現在のMSVの中に入っていない。
(蘊奥専用ジンですからあるのに)
それには、理由があって、公式設定画は作ったのだが、
戸田さんのチェックが間に合わず、そのまま保留状態が続いているのだ。
それにしても、今見ると、恐ろしいほど改造されている。
MSVに入れるのは無理か……?
ケナフ・ルキーニ登場。
この段階で、私の中では「ときた版=SF漫画」、「戸田版=少年漫画」という
大雑把なイメージがあった。
そこで、少年漫画の王道として、主人公の敵となる存在を出すことにしたのだ。
ルキーニ誕生については、キャラ説明の方に書いたので割愛する。
ルキーニが、ポッキーを食べているのは、
脳への栄養補給のためだ。
(知っていると思うが、脳は糖質しか燃料に出来ない)
これは、戸田先生のアイデア。
この話では、樹里の過去が語られる。
ときた版3話でリーアムをあつかったので、こちらは樹里にした。
ルキーニに雇われる雑魚キャラは、職業を傭兵とした。
サーペントテールは、「敵にも味方にもなる」のだが、なかなか悪にはならないので、別に悪い傭兵を出しておこうという趣旨だ。
ガーベラ・ストレートでビームを切るシーン。
戸田先生にまで「そんなバカな」と言われたが、
これはけっして不可能なことではない。
余談となるが、
「トリビアの泉」、レーザーカッターと日本刀を戦わせた時も、
ステンレスの包丁などは、真っ二つになってしまったのに、
日本刀は無傷だった。
日本刀恐るべし!
2話からグレイブヤード編に突入。
ここでは、サンライズのスタッフからもらった、多くのアイデアが投入されている。
「デブリ帯には隠れて住んでいる人もいる」→下村さん
「レッドフレームに日本刀をもたせたい」→佐々木さん
が、まず基本アイデアだ。
ガーベラ・ストレートは、日本訳すると、「菊一文字」で、
実は、もともとはストライクの武装名として上がっていたモノだ。
それを使わなくなったということで、下村さんから「アストレイで使っては?」
と言われて採用した。
ガーベラ・ストレートのデザインは、戸田先生。
ただし、ラフ段階でときた先生に監修を受けている。
(ときた先生のお父様は、挿絵画家で時代劇に精通されている)
「デブリ帯」が、この作品では「デブリ海」と呼ばれている。
どこで、間違えが発生したのか不明なのだが、(たぶん聞き間違いによるミス)
その名称がジャンク屋らしかったので、彼らはそう呼んでいることにして、
あえて修正しなかった。
舞台となるグレイブヤードは、墓場という意味。
後付になるが、現在の設定では、ステーション「宇宙樹」が破壊された時の一部ということになっている。
(デブリ帯にただよう多くのゴミがこのステーションのなれの果てなのだ)
風呂上がりのプロフェッサーには、サンライズから注意を受けた。
蘊奥と伝八(犬)が操縦するバクゥは、第一次地球降下作戦時に、
大気圏突入前に破壊された船につまれていたモノ。
だから、宇宙なのにバクゥが存在しているのだ。
このバクゥの操縦法について、オートを最初検討していたが、
「現段階で人を介さない操縦を示すのは危険」というサンライズの判断が下り、
今のような「直進するだけなので、犬がレバーを押さえている」という形になった。
回想シーンで登場する蘊奥専用ジンだが、
「ナチュラルでも、簡単な動作ならモビルスーツを操縦出来る」というサンライズの話に基づいて乗せている。
蘊奥は、まっすぐに刀を振り下ろす動作のみで、敵と戦っていたと思われる。
(なお、テレビでは、より分かりやすくするため、
「ナチュラルは操縦できない」という大きなくくりで統一されている。
だが1話でマリューが操縦したように、動かすことは無理ではないのだ。
彼女は、パイロットでもなく、平時でもない状態での操縦だったことを忘れてはならない)
蘊奥専用ジンは、のちにホビージャパンで作例が掲載された。
作者も、これにはびっくりした。
単行本91ページからの4ページは、シナリオ段階ではなかったが、
編集部からの「アストレイとロウの活躍が少ない」という指摘に対応して、
追加したシーンだ。
文字通り追加したので、当初書く予定だったページ数より増える結果となった。
だいたい雑誌は、原稿執筆時には、台割(構成表)がきまっているので、
直前で変更されるのは、きわめて珍しいことだ。
蘊奥(ウン・ノウ)の意味は、「奥義」。
まさに名が体を表している。
なぜ少年エースを戸田先生が描くことになったのかは、私もよく知らない。
ある日、ガンダムエース編集部にいったら、編集長が「スクライド」のコミックを読んでいて、「なぜ?」と聞いてみたら、「今度、ガンダムを書いてもらうかもしれない」と言われた。
この時点では、まさか自分が担当するとは夢にも思ってなかった。
後日、少年エースでも「アストレイ」をやるということが決まり、作家を確認したら戸田先生だったのだ。
※コミックを読んでいたのは、ガンダムエースの編集長だったが、このアタリのいきさつはよく分からない。
戸田先生とは、当社の黒田が「スクライド」でご一緒していたが、
私自身は数回挨拶したことがあるだけだった。
あとで分かったことだったが、戸田先生の家は、
私の家から300メートルぐらいのところにあった。
(今は引っ越してしまった。世の中狭いな〜)
さて、少年エース版は、編集部からのオーダーは毎月60〜80ページというものだった。
戸田先生はそれまで週刊で書かれていたので、それぐらい出来るだろう、というのだ。
だが、週刊は週一で締め切りが来るから、可能なのであって、月刊で週刊のように書くのはかなり難しい。
戸田先生が週刊の時にお願いしていたアシスタントも、前の編集部の紹介だったためいなくなっていた。
この状況では、とても無理だ。
(先生も、週刊の作業でかなり疲れているように見えた)
そこで、書きながらページ数を探っていくことになった。
結果として、60など書くことはなかった。
だが、それで良かったと思っている。
前にも書いたが、月刊の適性ページは40だと私は思う。
1話は、シナリオを書いた時点では、アストレイ入手シーンはなかった。
それはガンダムエースで描いてしまったからだ。
だが、編集長から「こちらを途中から始めるのはやめてくれ」と言われ、
ガンダムエースと重なるエピソードを追加することとなった。
このシーン、ガンダムエースと比較すると、違っている所がある。
劾が、ヘルメットを脱がないのだ。
これは、ガンダムエースではロウと劾が登場するが、
少年エースではロウのみ、という縛りのためだ。
単行本を見て頂くとわかるが、この「ロウのみ」というのは後半やめている。
(編集長は劾がお気に入りだったようで、
連載中に何度も「劾を出せ」と言われた)
さて、同じシーンのハズなのに、劾がヘルメットを脱ぐ脱がないがあるのは、整合性が取れていない。
これを私は「ストーリーテラーの法則」であると解釈している。
説明しよう。
たとえば歴史小説。
織田信長が本能寺で死ぬシーンは、何度も、いろんな作家によって描かれた。
だが、本能寺で死ぬのは、どの作品でも同じだが、細部はそれぞれ違う。
作家(ストーリーテラー)の解釈が違うからだ。
同じように、アストレイ入手に劾が立ち会ったのは事実で変えようがない。
だが、その事実を伝え聞いた、ストーリーテラーときたは、劾がヘルメットを脱いだと解釈した。
一方、同じ事実を聞いたストーリーテラー戸田の場合は、脱がなかったと解釈した訳だ。
違う表現になっていても、どちらも嘘を書こうとしているわけではない。
本質として伝えようとしている事実は同一なのだ。
1話に出てくる海賊のポーシャ。
このキャラの名前は、「シンデレラ」の意地悪なお姉さんからとっている。
ちなみに「シンデレラ」のポーシャも元ネタがあって、「ベニスの商人」からとっている。
フィクションから名前をとったフィクションのキャラというのがおもしろかったので、さらにフィクションである「アストレイ」で使ったのだ。
一応、ポーシャは「頭の良い女性」という意味で使われる名前で、このキャラにぴったりのイメージだった。
ポーシャも、予想外に生き残ったキャラで、ときた先生も描いたし、「D」でも名前だけ登場した。まだ元気やっているようだ。
体調崩して中耳炎になってしまいました。
実は、一ヶ月前にも右耳が中耳炎になったばかり。
そっちが直ったと思ったら、今度は左耳。
人間体が基本。
気をつけなくては……。
さて、本題。
小説版アストレイでは、ある構造を意図的に導入している。
(もちろん、例外もある)
まず、最初にテレビ本編の設定を紹介する。
つづけて、それにまつわる細部設定を公開。
(大抵、初公開のもので、私がぬえの森田さんや、シナリオの吉野さんから仕入れたネタだ)
そして、先に公開した設定を生かした物語を展開する。
典型的なのが、5話「ソキスウの挑戦」だろう。
最初に連合のモビルスーツ開発の詳細が語られ、
そこから連合の戦闘用コーディネイターの話に入る。
そして、物語では、ソキウスたちが活躍する。
ちなみに、この構造は「よくある方式」で、私の発明品ではない。
(当たり前ですが)
これは、かなり応用のきくテクニックで、
私は作家ではなくライターの時から使っている。
たとえば映画紹介。
前振りで「あの○○の監督が今度は○○に挑戦!」という感じで、データで興味を引く。
次に前振りをふまえた内容紹介。
最後、「この夏はこれだ!」とか、締めの一文を追加しておけばオッケー。
ライター志望の方はもちろん、
ちょっとした会社内の資料作りでも使えるハズ。
憶えておいて損はない。
私がこの方式で最高傑作だと思っている小説がある。
ジェームス・P・ホーガンの「創造主の掟」。
この小説、ガニメデに生まれていた中世イタリア風ロボット文明と、人間の接触を描いているのだが、
「なぜ中世のようなロボット文明が生まれたか?」が語られる序章が、めちゃくちゃおもしろい。
ただの作業用マシンが、交尾し、宗教を持つ過程が、必然を提示して、説得力を持って語られる。
この部分を読んだら、もう後には引けません。
ただし、後に続く小説はまったくタイプが違い、科学者たちをだます偽超能力者が、
持ち前の「詐欺師技能」を駆使して、ロボット文明との接触事件を乗り越えていく、エンターテーメントに発展していく。
(これまた見事なストーリー展開)
もちろん、これだけ物語のアクロバットをしているので、
ハードSFからは、若干はずれてるし、ご都合主義の展開もある。
それでも、「楽しいでしょ?」という作者の思いが全編からあふれている作品だ。
「かならず救いがある」「科学は最後には幸福をもたらす」「良い人が勝利する」という、ホーガンの作品に共通のテーマ(?)も健在。
このあたりは、「アストレイ」とも通じるかも?
ちなみに、この作品、人気があったようで、12年もたってから、続編「創造主の選択」が書かれてます。
(海外の作品は、作者が続編の構想を持っていないと、次はない。それなのに12年もかかったとはいえ、続編が書かれたのだから、たいした物だ)
余談
そう言えば、ぬえの加藤さんの最新画集を買ったら、
この小説の内容に惚れ込んだことが書かれていた。
採算度外視で、表紙の絵を描いたために、その後、金欠になったそうだ。
見返すと、当時の地獄が蘇る作品。
もともと挿絵の緒方さんとお会いした時に
「絵で、何が書きたいですか?」
とお聞きしたところ「地上、ジャングルとか」と言われて作った話だった。
また、当時行われていた「SEED」のモビルスーツコンテストに応募してきた作品から、佳作数点を出す必要があった。
(結局モビルスーツではなく、無人機と、パワードスーツになったが。
どちらも応募時は、モビルスーツとして応募されている)
パワードスーツは、テレビの1話でキラたちの研究室にもあったが、
この世界では、モビルスーツが登場するまでは、比較的ポピュラーな存在であった。(ぬえ森田さんとの話し合いで作った裏設定)
ただし、破壊力ではモビルスーツが上だし、量産性や整備性では車両に負けるため、よほどの特殊任務以外では、現在は使用されることはない。
この話では、最初と最後をまず書いた。
それからアマゾンの村でのエピソードにとりかかったが、なかなか進まなかった。
やがて恐ろしいことにお役所から経理のチェックが入ることになり、
(別に悪いことはしてません。普通でも4年に1度くるのです)
こちらでも時間を取られることになった。
(税務署の人が、自分で指定した時間にこない!
資料について説明しても、人の話を聞かない!
本当に最悪の人でした)
なかなか上がらない原稿に、編集部の担当から、
「途中でいいから送ってくれ」
と言われ、しぶしぶ途中の原稿と、書きかけのシーンの残骸
(村でのエピソードは5バージョンぐらい書いて、どれも自主的にボツにしていた)
を送った。
それを見た担当は「実は半分だけ載せて前後編にする提案をしようと思ってましたが、ラストシーンが書かれているので、分割掲載はやめます」
と連絡して来た。
(まさに税務署の人と話している時に電話があった)
結局、スケジュールを調整してもらい、
緒方さんには、これから書かれるシーンのイメージを伝えて、
先に挿絵を描いてもらった。
(後にも先にも、原稿より先に挿絵を描いてもらったのは、
この話だけ)
なんとも苦い思い出がいっぱいの作品になったが、
なんとか掲載出来てよかった。
余談
作品中に「クローラー」が出でくる。
日本では「キャタピラ」と言った方が通りがよいと思うが、
なんと「キャタピラ」は登録商標。
特定の商品名になってしまうのだ。
なんとか日本語で、分かりやすい表現はないかと画策し、
ぬえの森田さんにも相談してみたが、
結局、よい単語はみつからず、本文で形状を説明するしかなかった。
余談
この話で登場したアマゾンの村は、のちのちシリーズに何度か顔を出すことになる。
(ゲームにも出てくる)
ちなみにSEEDシリーズで、南米が出てくるのは、アストレイだけだ。
風花が、主人公となる話。
それまで、三人称で進めてきたが、これは一人称で書かれている。
文庫のあとがきにも書いたが、
「風花って、どんな子?」
という問い合わせに答えると同時に、
「女の子の目を通してサーペントテールのメンバーを描いたら、少し変わったモノが書けるかも?」
という2つのテーマがあった。
書いていて大事にしたのは、風花という少女の考え方。
変わっている(子供らしくない)けど、しっかりキャラを確立していること。
それだけを考えた。
私は、子供はみんな変わり者だと思う。
社会の型にはめられていないからだ。
知り合いなどに子供の時の話をきくと、(本人に「変わっていた」という自覚が無くても)大抵、変わったエピソードが聞ける。
風花には、そんな話をふんだんに盛り込んでいる。
その甲斐があってか、「風花に共感した」と言ってくれる人は多い。
個人的にお気に入りなのは、ブルーフレームに乗った風花が、急激なGで吐きそうになった時、「前の食事で何を食べたか?」「みっともないゲロを吐きたくない」と思うところだ。
実は、これには多少フィクションも参考として入っている。
永井豪先生の「いやはや南友」という作品で、こややし少年が拷問(正確には、保健の成績を決める競技)にあっている時、ゲロを吐く。
これがタクアンのしっぽで、すごく恥ずかしいというギャグがある。
この時、私は笑うより恐怖した。
吐くだけでも恥ずかしいのに、その上、ゲロの内容でまで恥はかきたくない。
そう思ったのだ。
その経験が、このシーンに生かされることになった。
もう一つ。
「がんばる」という風花に、劾が「がんばらなくていい、いつもどおりやれ」
というシーンがある。
これは、その当時、あまりに無責任に「がんばって」という言葉が横行し、
私には「無理してでもやれ」と聞こえていたことへの反発だ。
劾は、風花を信じている。だから風花に背伸びさせない。
ありのままで出来ると信じているのだ。
風花は、書いていて、おもしろかった(同時に苦労した)し、筆か勝手に進むほど自由に動いてくれた。
だが、彼女を生かす物語がなかなか作れなかった。
風花が「みんなの窮地を救う話」という基本は決めていたが、
それが可能となる事件が思いつかなかったのだ。
結局、締め切りを少しすぎた日の夜に、ときた先生に電話して相談した。
先生からは、子供たちを乗せた宇宙船がハイジャックされる話など、ご提案いただいた。
結局、いただいた案自体は、書くと長くなるため(段取りが必要)、
採用しなかったが、この時にときた先生と話したことは、
かなり作品に生かされている。
ときた先生は電話の中で、劾という人物について
「話すこと、行動、そのすべてに間違いがない。そう思える人」
と表現された。
それまで意識したことはなかったが、これを聞いて「たしかにそうだ」と感じた。
これは、この3話の背骨となる部分で、
自分の価値を探す風花を認める者として、劾が生きてくることになった。
原稿をアップした後にも、ときた先生の所に送り、チェックしていただいた。
この時には、ぜひ女性の意見も聞きたかったので、奥様にも見てもらった。
「風花、かわいいと思います」という意見をもらい、かなり安堵したのを憶えている。
(さらに、こちらが見過ごしていたミスをいろいろと指摘して頂いた)
※女性では、私の妻にも見てもらった。
余談になるが、この作品は、入校後、担当から電話がはいって
「おもしろかったです」
と言われた唯一の作品でもある。
この原稿は、入稿後にも、印刷されるまでに少し修正している。
「劾が、なぜ風花を信じるのか?」
という部分で「ロレッタの娘だから、その血(才能)を引いているから信じている」
という部分を否定する文章を追加している。
あくまでも、劾は、風花個人を信じているのだ。
それと、大気圏ギリギリで行われているドラマであることを、
もっと強調するように編集部に指摘され、その部分も修正している。
余談
今回読み返してみて、「SFって難しい」と思ったことがある。
実は風花が音楽のディスクについて触れる部分がある。
当時、書くときには「CDはなくなっていも、やはりディスクを使ってるだろう」と思って、そのようにした。
だが、あれから数年。もう時代は「音楽はネットワークで、小型再生機にダウンロードする」時代になってしまった。
(まだディスクが絶滅した訳ではないが、この流れは逆行することはなさそうだ)
まさか、シリーズが終わる前に、現実に追い抜かれるとは……。
ブログに対してもらった、お手紙(メール)をご紹介。
●Aさん
人手不足に困っているようですね。
火曜と木曜は暇です。
3時間づつぐらいならお手伝いできます。
○千葉より
ありがとうございます。
もう一度、私のブログを最初からよく読んでから
メールしてください。
●Bさん
私は、以下のようなホームページを運営してます。
紹介していただいても、大丈夫です。
○千葉より
すみません、このブログの趣旨とは違いますので、
ご紹介は遠慮させて頂きます。
●Cさん
ジャパンのムックの記述で
「なんとなく、間違ってる部分」とはどこですか?
○千葉より
「DSSD、民間技術」からテスタメントに矢印がのびていのは、
隣のアウトフレームへのびるのが正解です。
※ここで明かしてしまったので、
原文の方も修正しておきました。
●Dさん
「スターゲイザー」の情報をもっと公開してください。
○千葉より
それは、アニメ誌など正式なアナウンスを見てください。
「新情報の収集」という意味では、
このブログはほとんど役に立たないと思ってください。
●Eさん
「Xアストレイ」の情報は載せないのですか?
○千葉より
載せます。
ただ、まだ旧シリーズの話を書いてますので、
しばしお待ちください。
●Fさん
キャラの裏設定を見て、夢が壊れました。
○千葉より
ごめんなさい。
このブログは、ファンの人よりも、
これから業界で仕事をしたい人を対象にしています。
この方針を変えるつもりはありません。
もし不愉快な思いをするようでしたら、
申し訳ありませんが、
今後は、ご覧にならないようにしてください。
●Gさん
たまに更新していない日があるのは、どうしてですか?
○千葉より
書きためていた原稿がなくなった時。
忙しくて、更新する暇もなかった時などです。
ただ忙しくても、書きため原稿があれば気分転換に更新することはあります。
●Hさん
ファンレターは、このメール(※ブログのアドレス)に送っても良いのでしょうか?
○千葉より
かまいませんが、各編集部に送って頂けると、
よりうれしいです。
また、その時にはアンケートの「おもしろかった作品」への○もよろしく(笑)。
応援のメッセージをくれた方、
これからも作品作りにがんばっていきますので、
よろしくお願いします。
最近、あわただしく、新作の準備をしている。
すでに発表になっている「スターゲイザー」と「新アストレイ」だ。
「スターゲイザー」は、ほとんどお手伝いといった感じで、
苦しんでいるのは主にぬえの森田さんなのだが、
(詳細は、最新のニュータイプでご確認ください)
「新アストレイ」も、いろいろ新しい試みがあり、
また、テレビのスタッフの協力を得るため、打ち合わせがかかせない。
(新アストレイは、タイトルも決定。まだ、ここでは秘密です)
余談となりますが、新たな試みに合わせるように
サンライズの担当さんと編集部の担当さんが、新しい人に!
慣れない部分もあり不安もありますが、
新しい人との仕事は、新しい刺激もあって、
リニューアルによい影響を期待しております。
ちなみに、もうすぐ(6月)でガンダムエースは5周年だ。
この号では、ビッグなことが起こるよ。
前の号ぐらいから、ちらほら情報が出ると思うけど、期待してほしい。
なお、4月末には電撃のアストレイ系の作例をまとめてムックが出る。
また、5月には電撃のDアストレイの上巻、
6月には、同下巻と、ガンダムエースの最終巻が出るかもしれない。
(本当に出るかは、私とスタッフのがんばりしだい)
お財布には、厳しいかもしれませんが、
毎月楽しんで頂けるとありがたいです。
追伸
ホビージャパンから出たムック
「機動戦士ガンダムSEED DESTINYモデル vol.2」
に掲載されたモビルスーツの発展図は、かなりの情報が読み取れるものです。
スターゲイザーのネタもすでに入っているので、要チェック。
編集部や森田さんなどの協力を得て、苦労して作りました。
(なんとなく、間違ってる部分もあります。
後々訂正が出ると思いますが、
「DSSD、民間技術」からテスタメントに矢印がのびていのは、
隣のアウトフレームへのびるのが正解です。
デザイン修正している時に変わってしまったようです)
このタイトル、NHKの番組のことです。
正式には、「プロフェッショナル 仕事の流儀」。
たぶん、「プロジェクトX」の路線を狙った番組だと思う。
毎回、意外なジャンルの第一線で活躍している人が登場し、
その人の流儀を聞こう、という番組だ。
NHKが、数種類もっている人間にスポットを当てるドキュメンタリーの一種なのだが、それらとは一線を画す作りになっている。
どこが違うかというと、「演出」。
「プロジェクトX」で得た、淡々としたナレーションによるリアリティも生きている。
(過剰にしないことで、リアリティを増す。
リアルに感じるが、実はこれこそが、演出であり、リアルとは逆の世界だ)
さらに民放でもやっている画面への文字入れについても、工夫が見える。
民放では、喋っているセリフを文字でそのまま表示したりしているが、
この番組では、(もちろん、それもやってるが)
まず、文字だけを画面に出す(しかも控えめな小さな文字)。
その時、ポ〜ンと、画面に注意を促す音が鳴る。
テレビは、画面を見ないで、別のことをしながら見ている人も多いと思うが、
音で画面に注意を引きつけて読ませる。
これは「文字を見せる」演出としては、かなり効果的だと思った。
しかも、この場合、文字の情報は耳から入らないので、自分で画面を読むしかない。
結果、視聴者が自分で行動することによって、より内容が頭に入るという訳だ。
これだけ効果的なのに、やはり見た目は控えめなので、過剰演出に見えない。
プロフェッショナルたちが語る流儀も、なかなか見事に演出されている。
「不安の中に成功がある」
「自分は信じない、人を信じる」
一般で推奨されている方針とは、逆の言葉が並ぶ。
これは、視聴者は、かなり気になるハズだ。
キャッチーだ。
実際は上記の言葉も、よくよく内容を聞いてみると、
「現場で過信すると準備がおろそかになる、常に不安を持つことが大事」
「多くの人の意見に耳を傾けよう」
など、よくある言葉にも置き換えられる。
そうせず、気になる言葉にするのが、やはり演出だ。
つまり、この番組は、演出されているのだ。
嘘はないかもしれない。
だが、演出上このましくない事実は、完全に伏せられている。
克服した失敗や、成功のきっかけになった失敗は語られても、
最近やった大きな失敗には、ぜったいに触れない。
演出意図に沿わないからだ。
私はこの番組が大好きだが、誤解を恐れず言うなら、
内容をそのまま受け入れるほど、番組を信じ切っては居ない。
演出されていることをふまえて見れば、これは最高の娯楽番組だと言える。
もう一つ、最近、「うまいな〜」と思う物がある。
地方ではやっていないかもしれないが、
「東京電気のオール家電(switch)」のCMシリーズ。
※以下から見られます。
http://www.tepco-switch.com/index-j.html
最初は、友達のお母さんと、少年のほのかな恋心を描いていたが、
その展開では行き詰まる。
(恋の行方もだんだん発展はしていましたが、やはりこの関係論では限界がある。
まさか駆け落ちする訳にも行くまい)
「きっとライバルか、共通の敵が出るな」
と思っていたら、オール家電に反対するおばあさんが登場!
やがて、このおばあさんも味方に変化していく。
「それじゃ、次は、さらなる強敵の登場か?」
と思っていたら、やはり出ましたよ、強敵が。
今度は外見はおばあさんでも、中身は男の美輪明宏が!
(ただし、ホームページの予告を確認したら、
新キャラは敵というより、色物ゲストかも。
これからは、毎回かわったキャラで押す路線か?)
とにかく、このCMシリーズ、連載物の基本が出来てます。
物語を作る人は、とても参考になると思います。
ぜひ、チェックしてみてください。
ニュータイプを見て来てくれた方、どうぞよろしく。
まずは、PROFILE(プロフィール)から見てください。
ここの基本的なことが書かれてます。
それと3月15日の「アストレイのキャラの誕生日」も見てね。
ここには、タイトルとは違いますが、
ブログについての方針が書かれてます。
それと、オルフェへの入社希望の方は、メールにてご連絡ください。
ただし、このブログをよく読んで、それでも「私なら業界のために働ける」
そう思った人だけお願いします。
かなりの問題作です。
この2話によって、どれだけアストレイの客層が変化したことか(笑)。
女子に圧倒的支持を受けているのが、この2話です。
この現象、一番驚いているのは、作者である私自身だったりします。
この2話はガンダムエース(無印)3話と連動しています。
主役はイライジャになっていますが、
最初からイライジャをピックアップしようとしたのではなく、
劾が電撃用のミッションに出かけている時期だったため、
イライジャを主役に据えただけなのです。
(当時は、他にモビルスーツ乗りがいなかった)
余談になりますが、連載誌すべて連動という企画が、
このタイミングで入ったために、スニーカーはまたしても傭兵の物語になりました。
1、2話と傭兵が続いたため、その後も必然として傭兵が主人公となったのです。
(これまた偶然)
ザフトの英雄グゥド・ヴェイア(GUD VAIR)。
この名前にも意味がある。
ヴェイアは、紋章の図柄の名前で、白地に青い斑点の毛皮柄のこと。
人間の気持ちにたとえると、白い気持ちに青い気持ちが入って、
乱れた状態を示してます。(二重人格)
グゥド(GUD)は、神様(GOD)の不完全な状態。
(オーの上部が割れてユーになってる)
作られた神のような存在をイメージしている。
彼が二重人格で、連合の戦闘用コーディネイターだったことを名前で示している。
ヴェイアの駆る赤いジンは、当初、ノーマルのデザインの予定だった。
連載時の文章中では「外見は普通」と書かれている。
しかし、緒方さんの挿絵では、外見が変わっていた。
その後は、このデザインをオフィシャルとしている。
この2話では、コロニー・リティリア内での
イライジャとヴェイアのやりとりの描き込みがかなり薄い。
そのことがずっと気になっていたが、電撃版の「B」を単行本化する時に
そのエピソードを書き足す機会を得ることが出来た。
もし、イライジャのファン、2話のファンの方がおりましたら、
ぜひ、電撃版の「B」の単行本をお買い求めください(宣伝)。
それと、「ヴェイアの設定を公開しろ」というファンレター(?)を
くださった多くの方。
すでに死んでしまった敵キャラなので、なかなか公開の場がありませんでしたが、
電撃「B」の単行本には、これも収録されてます。
タイトルは「無印」だが、実質は傭兵部隊を主人公としている。
つまり「アストレイB」の小説版だ。
文庫のあとがきにも書いたが、最初から小説を傭兵で進める予定ではなかった。
打ち合わせの時にバンダイの方から
「ガンダムエースがジャンク屋視点なので、
小説は傭兵視点にしては?」
と、提案され、そのようになったのだ。
この1話には、かなり苦労させられた。
普通に考えれば、一度作った物語の焼き直しなので、簡単そうに思えるだろう。
だが、実際は違う。
私は、ゲームのノベライズなどで、自分が別の目的で書いたシナリオを、もう一度構成し直す作業を何度もしたことがあった。
そのどれもが苦労していたのだ。
今回も予想通りだった。
傭兵視点にしたとたんに物語のほころびが見えてしまったのだ。
ガンダムエース版で、サーペントテールは、アストレイの破壊、及び目撃者の抹殺のためにへリオポリスを訪れている。
そして任務中に、依頼者であるオーブの裏切りに会う。
だが、これは、おかしい。
ガンダムエースでは、「劾たちもアストレイを見てしまった者だから」という理由で襲われたことになっているが、それならそもそも依頼などしなければ良いのだ。
※うかつなことに、ガンダムエースのシナリオを書いた時点では気づかなかった。
結局、物語では「劾に依頼したオーブの人物は失脚し、別のオーブが襲ってきた」
という解決策をとった。
このことにより、オーブのMS開発には積極派と消極派がいることになり、
その後のアスハ家、サハク家を中心とする五大氏族の勢力争いにも繋がっていくことになる。
(そのプロローグは、私のミスから生まれた訳だ)
この1話では、サーペントテールのメンバーが固定していないような記述になっている。
実は、サーペントテールは最初は、「スパイ大作戦」のようにある程度メンバーは決まっていても、さらに任務に合わせてメンバーが数人加わる。というような形を考えていたからだ。
※「スパイ大作戦」では、見慣れないメンバーは大抵、その任務中に死ぬ。
(頭の中には「旧ルパン三世」のスタイルもあった。
今では、次元、五右衛門など固定メンバーだが、
「旧ルパン」では、仕事に合わせ他にもメンバーを入れる構成だった。
結局、イメージした「ルパン」と同じく、キャラが確立すると同時に
メンバーは固定化していくことになった)
文庫ではプロローグとなっている部分は、連載時は1話の冒頭だった。
ここで「コズミック・イラ」と書いたら、
編集部から「意味が分からないので、日本語訳を付けて欲しい」と要請を受けた。
たしかにファーストガンダムの場合なら、「宇宙世紀」という日本語記述になっており、わかりやすい。
そこで、サンライズと相談し、「統一歴」という日本訳を付けた。
他ではやっていないことだと思うので、記しておく。
文庫の緒方さんの挿絵をよく見て頂くと、
ガンダムの有名なイラストと同じ構図になっている。
これは、緒方さんが、ガンダムへのオマージュとしておこなったことだ。
1話は、「傭兵らしさ」を全面に出すために、
私の中では、一番堅い文体で書いている。
(ハードボイルドを目指していた訳だ)
編集部では、「問題ありません」と言われ、読者のアンケートでも特に指摘はなかったが(作家にとって、おそろしいことにアンケート項目に「文体」というのがあったのだ!)、私の周りの人間からは「漢字が多すぎる」「読みにくい」などの指摘を山のように受けた。
また、スニーカーの他の作家の作品と比べても、かなり堅かった。
そこで、2話以降は、文体を若干柔らかくしていくようにしている。
このハードボイルド風のためか、今読み返すと、
劾が皮肉屋で、たまに静かに「ニヤリ」と笑うキャラになっている。
今の劾は、まったく笑わないので、年月によるキャラの変化を感じる。
サンライズから原稿のチェック作業が来た。
いろんな本でアストレイやMSVを扱ってくれるのは、非常にありがたいことだ。
だけどね〜。
愚痴りたくないけど、編集部で最低限のチェックをしてからサンライズに送って欲しいよね。
ごくごく普通に公開されてる資料を見れば分かることは間違えないようにしようよ。
頼むからさ〜。
あと、創作はやめて欲しい。
固有名詞とか、勝手に作らないように。
以上、愚痴でした。
このチェック作業をしていて思い出したことがある。
昔、私が業界に入ったころは、電算写植というのがなくて、
文字はすべて1文字づつ、写植文字を拾っていたのだ。
※「銀河鉄道の夜」のジョバンニが活版所のアルバイトでやっている作業です。
えっ、わからない?
つまり文字の印が1つ1つあって、それを文章どおりに探しだし、組み上げて、大きな印刷用の印を作る作業が必要だったのです。
ちなみに今はワープロデータから、印が自動で作られるので、この作業はありません。(これが電算写植)
※余談
この電算写植の技術の導入により本の製作にかかる人件費が劇的に下がった。
おかげで、書籍の値段は物価の変動に対して安定している。
それと雑誌の数が増えたのも、安価に出せるようになったからだ。
業界で、それをリアルタイムで目にした私は、技術革新に感動したのを憶えている。
昔、攻略本でお世話になっていた写植屋さんがあった。
そのころの攻略本は、子供向けだったので、総ルビ(すべての漢字にヒラガナがついてる)が当たり前だった。
今でも、漫画には付いてることが多い。
作家は原稿を書いた後、読みにくい当て字などには、自分でルビを付ける。
だが、普通に読める漢字は、写植屋さん任せにして、作家はルビを付けないのが通例だった。
そのため、「常識」だと思った漢字にとんでもないルビが付いてきたりすることが、たま〜にあった。
まあ、このぐらいは、ご愛敬なのだが……
ある時のこと、私は騎士ガンダムの武器にルビを付けなかった。
なぜなら「破壊の鉄球(はかいのてっきゅう)」など、ごく当たり前の読み方だったからだ。
しかし、武者ガンダムの仕事で「超種子島」に「スーパーライフル」などというルビ付けに慣れていた写植屋さんは、「破壊の鉄球」に「スーパー・デンジャラス・ハンマー」などと、勝手に創作してルビを付けてきたのだ。
あがってきた写植をチェックしていた私も、あまりの違和感のなさに最初は気づかなかった。
最終的には、気づいたからよかったが、あまり「良くできた創作」を写植屋さんにやられると、かえって困るものだ。
ちなみに、この写植屋さんには、助けられたこともある。
私は「アムロ」とタイプすべき所を「アロム」とタイプして入稿してしまったことがあった。
しかし、すっかりガンダムに詳しくなっていたこの写植屋さんは、何事もなかったかのように「アムロ」に訂正して写植を作ってきてくれたのだ。
前にも書きましたが、いろんな仕事をしてきました。
特に長くやっていたのは、攻略本の仕事。
おもにバンダイ作品の仕事ばかりでしたが、
そんな中でも「これはおもしろい」というゲームに出会いました。
「織田信長 覇王の軍団」です。
実際にはバンダイではなく、エンジェルから発売されてます。
余談になりますが、このころの任天堂ハードのゲームは、「月に何本まで」という制約があったのです。
たぶんアタリショックをふせぐためだと思いますが、バンダイなどは、
それまで流通関係で使っていた子会社までソフトの発売元になっていたので、実質制限ないにひとしかったですね。
私が作った攻略本について、ヤフーで調べたら、著者が「加藤 智」になってたよ。
言わずとしれたBクラブの「編集天皇の加藤さん」。
たしかに奥付の編集人になってたかも。
それにしても……まあいいか。
このゲーム、横山光輝先生の絵をうまくゲームに取り入れながら、
面クリア型のリアルタイムシミュレーションに仕上げている。
何がよいって、バランス。
そして、面と面の間に挿入されるパペットの寸劇。
とにかくおもしろかったです。
まあ、日本史に詳しい人や、「野望じゃなきゃ信長ゲームじゃない!」という人にはお勧めしませんが、現状の評価は低すぎると思いますね。
(低いというか、だれも知らないという現状)
まあ、販売はそんなに悪くなかったようです。
一部システムを踏襲して、「横山光輝の三国志」も発売されましたし。
こちらは、アニメとのタイアップでした。
残念ながら、信長よりパワーアップしたものの、
規模が大きくなった分、私の好みからははずれてしまいました。
「織田信長 覇王の軍団」のソフトは、
まだ持っているのですが、果たして動くのかな〜?
動いてくれるとうれしい。
もし暇になったらまた遊びたい。そんなソフトなんです。
昨日のつづき。
ガンダムエース版のメインストーリーとなるのは、リーアムとその兄シニストの話。
両者は双子でありながら、片方はコーディネイターであり、片方はナチュラルだ。
(1つの受精卵が2つに分裂した所で、片方にのみ、コーディネイトを施した)
SEED世界の人種問題は、「戦争」という形で表現されている。
そこで、外伝では「和平」「共存」という形からのアプローチをしてみた。
兄妹の別れのシーンは、かなりの完成度だと思う。
単行本1巻161ページ2コマ目。
「そうか」
「わかった」
これだけの短いシニストのセリフなのだが、この吹き出しが2つに分けられていることの重要性。
その間のすばらしさ。
この間に言葉にはならないシニストの何百もの思いがつまっている。
私がシナリオで「こうしてください」と指示したのではない。
ときた先生がシナリオを読み解いてくださった結果だ。
先生の漫画家としての技術力の高さが見えるシーンだ。
まさに漫画で時間(ま)を支配出来ることを立証したシーンだと思う。
ラクスの歌詞を載せるのも、ときた先生のアイデアだ。
この曲はアニメ用の曲でありながら、まさにこの物語のために作られたような曲だった。
(完全に偶然です)
「この歌詞見てくださいよ! ぴったりですよ」と、ときた先生から、興奮した連絡をもらったのを憶えている。
ラストで、戦闘に向かうリーアムが長い髪をまとめ上げるのは、最初のキャラ設定から用意されていたもの。
リーアムは、ほとんど戦わないので、結局、ここでしか使用していない。
戦闘シーンを直接描かずに終えるのは、最初から狙ってそうした。
この物語で戦闘は重要ではないからだ。余韻を大切にするため描かないことにしたのだ。
当初の私のシナリオでは、ロウは、ほとんど活躍していなかった。
しかし、編集部の担当からロウがもっと活躍すべきとの指摘を受け、担当とときた先生のアイデアにより、敵艦隊の引きつけ役をロウが担うシーンが生まれた。
このシーンがあると無いでは大違いだ。
作品が、多くのスタッフに支えられている、よい見本だ。
この物語は、それぞれの人物の考え、生き方にスポットを当てている。
メカが登場しない訳ではないが、戦闘はないし、派手なシーンもない。
だが、物語には絶対の自信をもっていた。
当然ながら、アンケートでも、高順位を期待していたのだが……結果はさんざんだった。
今にして思えば、この(一見)地味な物語と、(考えないと分からない)複雑な物語構成で、一位が取れる訳がない。
※さらに言い訳するなら、雑誌の人気順位は、早めに集計されるため、瞬時におもしろさが分かる作品が上位にくるのは必然なのだ。
アンケート順位の悪さにかなり落ち込んだ私だったが、それでも作品のおもしろさの自信は揺るがなかった。
「どんな時でも、エンターテーメントを忘れてはいけない」
それは、以後の作品作りの教訓となった。
この物語にまつわる話には、後日談がある。
ご存じのとおり、アストレイはプラモーションとしてアニメ化された。
実は、この前にも同じスタッフで、もう少しボリュームのあるアニメ化の企画もあった。
その時、監督が「ぜひ、やりたい」と言われたのが、この無印の3話だったのだ。
それ以外でも、「アストレイ、良いですね」と言ってくださる方の多くが、この3話を支持してくださる。
最初にも書いたが、この3話は、数々の思い入れを込めて作った。
自信もあった。
それだけに、どんな話よりも、この3話を褒められることは、作者にとって単純にうれしい。
三年半の連載の中で、もっとも思い入れが大きい話がこれ。
ガンダムエース、スニーカー、少年エース、電撃ホビーの各連載がすべて連動するという構成だった。
それぞれの話は、それだけでも楽しめるが、すべて読むと連動している。
各シーンについて説明しよう。
最初に登場するロウが見つけた高速実験挺は、電撃2話に登場した物。
ブースター加速したブルーフレームがデータ回収した後に、ロウが拾った訳だ。
(この高速艇は、さらに少年エースの終盤にも登場することになる)
2,3ページのロウが宇宙空間を見て「吸い込まれそうに広い」と言うシーンは、どうしてもやりたかったシーン。
物語としては意味のないシーンだが、このシーン1つで作品がリアルに生きてくる。
そしてSFになる。
このシーンがないと、結局、未来宇宙を舞台にしていても、現代日本でも出来ることばかりに見えてしまうのだ。
(もちろん、ユーザーにわかりやすくするため、友達との葛藤など、手の届くテーマにすることも間違いではない。だが、私はアストレイでは違うアプローチをしたかった)
このシーンについては、どんな絵にするかで、ときた先生にうまくイメージが伝わらず、何度も打ち合わせを重ねたのを憶えている。
(背景の宇宙、そしてロウの表情など)
シニストの下で働いている脱走ザフト兵は、名前こそ出で来ないが、スニーカー2話に登場したヴェイア。
この後、イライジャと壮絶な戦闘をすることになる。
(余談だが、彼がイヤホンの修理を頼んだのが、樹里ではなく、ロウだったら、歴史は変わっていたかもしれない)
コロニー内の作業現場のシーンでは、少年エースとの連動として、はじめてガーベラストレートが登場する。
さらに宇宙での作業中に、ラクスの歌が流れると、ロウが「聞いたことがある」というのも、少年エースとの連動だ。
最後に連合の艦隊がやってくる。
彼らは、ロウの作戦によりコロニーから引き離されるのだが、一部が罠に気づいて戻ってきてしまう。
プロフェッサーが「切れ者が居るようね」と言うのだが、この切れ者こそ、サーペントテールの劾だ。
このエピソードと、それにつづくエピソード(後日談)は、電撃の中で語られた。
(イライジャのジンが、「改」になる話も電撃で語られる)
いろいろ連動した話だったが、この構成になる前に作ったプロットは、
担当から「訳が分からない」と言われ、
一度、整理し直している。
コロニーの推力に使われている核は、Nジャマーによって利用価値が無くなり太陽への廃棄が決定した核ミサイルを使っている。
巨大なお椀の中で爆発させて反動で推力を得る方式だ。
これは海外SFの「降伏の儀式」に出でくる「天使の名前の宇宙船」のアイデアをヒントにしている。
この「降伏の儀式」、かなりマイナーな作品だと思うが、と学会の山本先生が宣伝しまくっていて、最近有名になってきているようだ。
ちなみに核を太陽に廃棄する計画は、ぬえ森田さんの案。
コロニーの核を爆発させるお椀には、ときた先生のアイデアで、アルテミスの傘のようなバリアが張られている。(よく見ると分かる)
「核を推力に使うのは、Nジャマーがあるので間違ってます」
という指摘を読者からうけたが、
Nジャマーの影響は、地球やラグランジュのコロニー群などの人間が生活している付近に限定されているのだ。
宇宙全体で核が使えなくなっている訳ではないことを記しておく。
※この話については、書きたいことがたくさんある。
また、明日も説明する。
私の書いているコミック用のシナリオと、実際に本に掲載されている作品。
これは、まったく同じという訳ではない。
シナリオ作家によっては、「シナリオどおりじゃないと許さない」という人もいるだろう。
だが、私は、「おもしろさ」を優先しているので、
違っていても、おもしろければオッケーだと考える。
というか、どんどん変えて、おもしろくして欲しいと思っている。
ときた先生、戸田先生、夏元先生は、
だいたいストーリーに関しては、100パーセントシナリオのままである。
(ストーリーは、変更した場合、のちのちの構成にも大きく影響するため、めったに変更しない)
セリフやシーンの構成などは、70〜90パーセントぐらいがシナリオどおり、という状況だ。
どちらにしろ、先生たちは、変更の場合には、確認の連絡をくれるので、助かっている。
もし無断で変更してしまった場合、とりかえしがつかなくなる場合があるのだ。
(過去には経験あります)
どんなにおもしろくても、いただいたアイデアが、ガンダム的にまずい場合もあるかので、確認作業は、必須だと言える。
たまに、いただいたアイデアから、さらにこちらでアイデアを膨らませる場合もある。
こうしたアイデアのキャッチボールが出来ると、作品の質が高まる。
さらに原稿があがったあと、完成原稿を見て、セリフを私が変更してしまう場合もある。(より絵にあったセリフい言い回しにする)
こうして、シナリオから出発した作品は、誌面に載るまでに、研ぎ澄まされて、磨かれていく。
結果、シナリオと比較して、100パーセント同じ状態で載ることはない。
だが、それで良いのだ。
単行本では、2話と3話の間に収録されていますが、実質は1話のつぎにこのシナリオを書きました。
ガンダムエースの別冊に掲載された作品で、本誌よりページ数が少ない構成だった。
注目すべき点は、「アクタイオン社」が登場していること。
そう、あの現在注目度の高い「スターゲイザー」のストライクノアールを作った会社だ。(ちなみに「Xアストレイ」のハイペリオン、電撃に登場したゲルフィニートも作っている)
この時の重役さんは、元気にしてるのかな〜。
会社は、ずいぶん有名になったようですが(笑)。
アクタイオンという名前は、サンライズから
「宇宙基地は、すべて神話から名前を取る法則」
を聞いて付けた。
※現在、この法則は無くなってます。
この時、すでに神話から名前をとった「アルテミス」があったので、
それに関連する「アクタイオン」と命名した。
この時は、深い考えはなかったが、
後にアクタイオンはアルテミスを所有するユーラシア連邦の管轄に入るので、運命めいたものがあったのだと思われます。
ここで、軽くアクタイオンの裏設定を書いておくと……。
もともは、戦車や武装カーなどを販売していた。
販売相手は、連合とザフトの両方。
やがてモビルスーツの時代となり、自社でも開発に着手。
ゲルフィニートを開発するものの、モビルスーツとしては平凡な性能。
(ただし、量子コンピュータ用ウイルスを装備)
ゲルフィニートを、ラウ・ル・クルーゼを通し、ザフトに売り込もうとするが失敗。
(そもそもラウが、本当にこの件に関与していたかは不明。
仲介人は情報屋のルキーニだった)
懲りずに開発をつづけ、やがてユーラシア連邦との契約に成功。
ハイペリオンを開発する。
ただし、この開発も量産化を目の前にして政治状況の変化により頓挫。
ユーラシアはモビルスーツの独自開発を凍結してしまう。
それでも、がんばったアクタイオンは、
現在、ファントムペインのワンオフ物の改良機などの製作を担当している。
注目点は、
少年エース版からルキーニがゲスト出演してること。
内容としては、掲載された別冊が本誌の宣伝本という性格を持っていたことから、この作品も、本誌連載のアストレイの「宣伝である」ことを意識して、読み切りで、わかりやすい構成を心がけた。
そして、やはり「ジャンク屋らしさ」を全面に展開している。
落ち部分のプロフェッサーのセリフは、
ときた先生が追加されたもの。
さすがときた先生、すでにキャラをつかんでます。
樹里が振り回しているジョージ・グレンのペナント(!)は、
ちゃんとときた先生が作った設定があります。
その他にも、設定には、いろいろなニセモノグッズの数々が……。