プロフェッショナル

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このタイトル、NHKの番組のことです。 正式には、「プロフェッショナル 仕事の流儀」。 たぶん、「プロジェクトX」の路線を狙った番組だと思う。 毎回、意外なジャンルの第一線で活躍している人が登場し、 その人の流儀を聞こう、という番組だ。 NHKが、数種類もっている人間にスポットを当てるドキュメンタリーの一種なのだが、それらとは一線を画す作りになっている。 どこが違うかというと、「演出」。 「プロジェクトX」で得た、淡々としたナレーションによるリアリティも生きている。 (過剰にしないことで、リアリティを増す。 リアルに感じるが、実はこれこそが、演出であり、リアルとは逆の世界だ) さらに民放でもやっている画面への文字入れについても、工夫が見える。 民放では、喋っているセリフを文字でそのまま表示したりしているが、 この番組では、(もちろん、それもやってるが) まず、文字だけを画面に出す(しかも控えめな小さな文字)。 その時、ポ〜ンと、画面に注意を促す音が鳴る。 テレビは、画面を見ないで、別のことをしながら見ている人も多いと思うが、 音で画面に注意を引きつけて読ませる。 これは「文字を見せる」演出としては、かなり効果的だと思った。 しかも、この場合、文字の情報は耳から入らないので、自分で画面を読むしかない。 結果、視聴者が自分で行動することによって、より内容が頭に入るという訳だ。 これだけ効果的なのに、やはり見た目は控えめなので、過剰演出に見えない。 プロフェッショナルたちが語る流儀も、なかなか見事に演出されている。 「不安の中に成功がある」 「自分は信じない、人を信じる」 一般で推奨されている方針とは、逆の言葉が並ぶ。 これは、視聴者は、かなり気になるハズだ。 キャッチーだ。 実際は上記の言葉も、よくよく内容を聞いてみると、 「現場で過信すると準備がおろそかになる、常に不安を持つことが大事」 「多くの人の意見に耳を傾けよう」 など、よくある言葉にも置き換えられる。 そうせず、気になる言葉にするのが、やはり演出だ。 つまり、この番組は、演出されているのだ。 嘘はないかもしれない。 だが、演出上このましくない事実は、完全に伏せられている。 克服した失敗や、成功のきっかけになった失敗は語られても、 最近やった大きな失敗には、ぜったいに触れない。 演出意図に沿わないからだ。 私はこの番組が大好きだが、誤解を恐れず言うなら、 内容をそのまま受け入れるほど、番組を信じ切っては居ない。 演出されていることをふまえて見れば、これは最高の娯楽番組だと言える。 もう一つ、最近、「うまいな〜」と思う物がある。 地方ではやっていないかもしれないが、 「東京電気のオール家電(switch)」のCMシリーズ。 ※以下から見られます。 http://www.tepco-switch.com/index-j.html 最初は、友達のお母さんと、少年のほのかな恋心を描いていたが、 その展開では行き詰まる。 (恋の行方もだんだん発展はしていましたが、やはりこの関係論では限界がある。 まさか駆け落ちする訳にも行くまい) 「きっとライバルか、共通の敵が出るな」 と思っていたら、オール家電に反対するおばあさんが登場! やがて、このおばあさんも味方に変化していく。 「それじゃ、次は、さらなる強敵の登場か?」 と思っていたら、やはり出ましたよ、強敵が。 今度は外見はおばあさんでも、中身は男の美輪明宏が! (ただし、ホームページの予告を確認したら、 新キャラは敵というより、色物ゲストかも。 これからは、毎回かわったキャラで押す路線か?) とにかく、このCMシリーズ、連載物の基本が出来てます。 物語を作る人は、とても参考になると思います。 ぜひ、チェックしてみてください。

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このページは、千葉智宏が2006年4月11日 21:55に書いたブログ記事です。

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