見返すと、当時の地獄が蘇る作品。
もともと挿絵の緒方さんとお会いした時に
「絵で、何が書きたいですか?」
とお聞きしたところ「地上、ジャングルとか」と言われて作った話だった。
また、当時行われていた「SEED」のモビルスーツコンテストに応募してきた作品から、佳作数点を出す必要があった。
(結局モビルスーツではなく、無人機と、パワードスーツになったが。
どちらも応募時は、モビルスーツとして応募されている)
パワードスーツは、テレビの1話でキラたちの研究室にもあったが、
この世界では、モビルスーツが登場するまでは、比較的ポピュラーな存在であった。(ぬえ森田さんとの話し合いで作った裏設定)
ただし、破壊力ではモビルスーツが上だし、量産性や整備性では車両に負けるため、よほどの特殊任務以外では、現在は使用されることはない。
この話では、最初と最後をまず書いた。
それからアマゾンの村でのエピソードにとりかかったが、なかなか進まなかった。
やがて恐ろしいことにお役所から経理のチェックが入ることになり、
(別に悪いことはしてません。普通でも4年に1度くるのです)
こちらでも時間を取られることになった。
(税務署の人が、自分で指定した時間にこない!
資料について説明しても、人の話を聞かない!
本当に最悪の人でした)
なかなか上がらない原稿に、編集部の担当から、
「途中でいいから送ってくれ」
と言われ、しぶしぶ途中の原稿と、書きかけのシーンの残骸
(村でのエピソードは5バージョンぐらい書いて、どれも自主的にボツにしていた)
を送った。
それを見た担当は「実は半分だけ載せて前後編にする提案をしようと思ってましたが、ラストシーンが書かれているので、分割掲載はやめます」
と連絡して来た。
(まさに税務署の人と話している時に電話があった)
結局、スケジュールを調整してもらい、
緒方さんには、これから書かれるシーンのイメージを伝えて、
先に挿絵を描いてもらった。
(後にも先にも、原稿より先に挿絵を描いてもらったのは、
この話だけ)
なんとも苦い思い出がいっぱいの作品になったが、
なんとか掲載出来てよかった。
余談
作品中に「クローラー」が出でくる。
日本では「キャタピラ」と言った方が通りがよいと思うが、
なんと「キャタピラ」は登録商標。
特定の商品名になってしまうのだ。
なんとか日本語で、分かりやすい表現はないかと画策し、
ぬえの森田さんにも相談してみたが、
結局、よい単語はみつからず、本文で形状を説明するしかなかった。
余談
この話で登場したアマゾンの村は、のちのちシリーズに何度か顔を出すことになる。
(ゲームにも出てくる)
ちなみにSEEDシリーズで、南米が出てくるのは、アストレイだけだ。