小説版アストレイの構造

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体調崩して中耳炎になってしまいました。 実は、一ヶ月前にも右耳が中耳炎になったばかり。 そっちが直ったと思ったら、今度は左耳。 人間体が基本。 気をつけなくては……。 さて、本題。 小説版アストレイでは、ある構造を意図的に導入している。 (もちろん、例外もある) まず、最初にテレビ本編の設定を紹介する。 つづけて、それにまつわる細部設定を公開。 (大抵、初公開のもので、私がぬえの森田さんや、シナリオの吉野さんから仕入れたネタだ) そして、先に公開した設定を生かした物語を展開する。 典型的なのが、5話「ソキスウの挑戦」だろう。 最初に連合のモビルスーツ開発の詳細が語られ、 そこから連合の戦闘用コーディネイターの話に入る。 そして、物語では、ソキウスたちが活躍する。 ちなみに、この構造は「よくある方式」で、私の発明品ではない。 (当たり前ですが) これは、かなり応用のきくテクニックで、 私は作家ではなくライターの時から使っている。 たとえば映画紹介。 前振りで「あの○○の監督が今度は○○に挑戦!」という感じで、データで興味を引く。 次に前振りをふまえた内容紹介。 最後、「この夏はこれだ!」とか、締めの一文を追加しておけばオッケー。 ライター志望の方はもちろん、 ちょっとした会社内の資料作りでも使えるハズ。 憶えておいて損はない。 私がこの方式で最高傑作だと思っている小説がある。 ジェームス・P・ホーガンの「創造主の掟」。 この小説、ガニメデに生まれていた中世イタリア風ロボット文明と、人間の接触を描いているのだが、 「なぜ中世のようなロボット文明が生まれたか?」が語られる序章が、めちゃくちゃおもしろい。 ただの作業用マシンが、交尾し、宗教を持つ過程が、必然を提示して、説得力を持って語られる。 この部分を読んだら、もう後には引けません。 ただし、後に続く小説はまったくタイプが違い、科学者たちをだます偽超能力者が、 持ち前の「詐欺師技能」を駆使して、ロボット文明との接触事件を乗り越えていく、エンターテーメントに発展していく。 (これまた見事なストーリー展開) もちろん、これだけ物語のアクロバットをしているので、 ハードSFからは、若干はずれてるし、ご都合主義の展開もある。 それでも、「楽しいでしょ?」という作者の思いが全編からあふれている作品だ。 「かならず救いがある」「科学は最後には幸福をもたらす」「良い人が勝利する」という、ホーガンの作品に共通のテーマ(?)も健在。 このあたりは、「アストレイ」とも通じるかも? ちなみに、この作品、人気があったようで、12年もたってから、続編「創造主の選択」が書かれてます。 (海外の作品は、作者が続編の構想を持っていないと、次はない。それなのに12年もかかったとはいえ、続編が書かれたのだから、たいした物だ) 余談 そう言えば、ぬえの加藤さんの最新画集を買ったら、 この小説の内容に惚れ込んだことが書かれていた。 採算度外視で、表紙の絵を描いたために、その後、金欠になったそうだ。

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このページは、千葉智宏が2006年4月17日 22:21に書いたブログ記事です。

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