三年半の連載の中で、もっとも思い入れが大きい話がこれ。
ガンダムエース、スニーカー、少年エース、電撃ホビーの各連載がすべて連動するという構成だった。
それぞれの話は、それだけでも楽しめるが、すべて読むと連動している。
各シーンについて説明しよう。
最初に登場するロウが見つけた高速実験挺は、電撃2話に登場した物。
ブースター加速したブルーフレームがデータ回収した後に、ロウが拾った訳だ。
(この高速艇は、さらに少年エースの終盤にも登場することになる)
2,3ページのロウが宇宙空間を見て「吸い込まれそうに広い」と言うシーンは、どうしてもやりたかったシーン。
物語としては意味のないシーンだが、このシーン1つで作品がリアルに生きてくる。
そしてSFになる。
このシーンがないと、結局、未来宇宙を舞台にしていても、現代日本でも出来ることばかりに見えてしまうのだ。
(もちろん、ユーザーにわかりやすくするため、友達との葛藤など、手の届くテーマにすることも間違いではない。だが、私はアストレイでは違うアプローチをしたかった)
このシーンについては、どんな絵にするかで、ときた先生にうまくイメージが伝わらず、何度も打ち合わせを重ねたのを憶えている。
(背景の宇宙、そしてロウの表情など)
シニストの下で働いている脱走ザフト兵は、名前こそ出で来ないが、スニーカー2話に登場したヴェイア。
この後、イライジャと壮絶な戦闘をすることになる。
(余談だが、彼がイヤホンの修理を頼んだのが、樹里ではなく、ロウだったら、歴史は変わっていたかもしれない)
コロニー内の作業現場のシーンでは、少年エースとの連動として、はじめてガーベラストレートが登場する。
さらに宇宙での作業中に、ラクスの歌が流れると、ロウが「聞いたことがある」というのも、少年エースとの連動だ。
最後に連合の艦隊がやってくる。
彼らは、ロウの作戦によりコロニーから引き離されるのだが、一部が罠に気づいて戻ってきてしまう。
プロフェッサーが「切れ者が居るようね」と言うのだが、この切れ者こそ、サーペントテールの劾だ。
このエピソードと、それにつづくエピソード(後日談)は、電撃の中で語られた。
(イライジャのジンが、「改」になる話も電撃で語られる)
いろいろ連動した話だったが、この構成になる前に作ったプロットは、
担当から「訳が分からない」と言われ、
一度、整理し直している。
コロニーの推力に使われている核は、Nジャマーによって利用価値が無くなり太陽への廃棄が決定した核ミサイルを使っている。
巨大なお椀の中で爆発させて反動で推力を得る方式だ。
これは海外SFの「降伏の儀式」に出でくる「天使の名前の宇宙船」のアイデアをヒントにしている。
この「降伏の儀式」、かなりマイナーな作品だと思うが、と学会の山本先生が宣伝しまくっていて、最近有名になってきているようだ。
ちなみに核を太陽に廃棄する計画は、ぬえ森田さんの案。
コロニーの核を爆発させるお椀には、ときた先生のアイデアで、アルテミスの傘のようなバリアが張られている。(よく見ると分かる)
「核を推力に使うのは、Nジャマーがあるので間違ってます」
という指摘を読者からうけたが、
Nジャマーの影響は、地球やラグランジュのコロニー群などの人間が生活している付近に限定されているのだ。
宇宙全体で核が使えなくなっている訳ではないことを記しておく。
※この話については、書きたいことがたくさんある。
また、明日も説明する。