コミックのシナリオの書き方にとくに決まりはありません。
ですが、いろんな作家さんと作業してきて、私には、
「これがよいな」というスタイルが出来てきました。
以下にそれをご紹介。
プロをめざしている方は参考にしてください。
※すでにプロの方で「もっと良い方法がある」という人はご指導お願いします。
サンプルは、現在発売中のガンダムエース「Dアストレイ」最終回の冒頭です。
雑誌を買って読み比べて頂くと、さらによいかと。(宣伝)
※赤い文字はブログ用に書き足した説明です。
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機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY
ガンダムエース 21話
2006.02.25スタジオオルフェ千葉
●はじめに
モノクロ32ページ想定。最大34まであり。
※最終回。
↑ページ数を記載することは重要。ページ数の間違いはコミック作業において致命的となるからだ。
カラーページがある場合は、そのことも別途記載する。
この回は例外的にページ数に振り幅があった。
●タイトル案
1・SCOOP.21「真実を見る者」
↑大抵4〜5案のタイトル案を提示しますが、最終回だけは、タイトルを決めてました。
●舞台
・宇宙、アメノミハシラ
・宇宙、マティスの秘密基地
・地上(南米?)
●ゲストキャラ
特になし
●ゲストメカ
ベルグランデ
※電撃「B」最終回に登場した巨大モビルアーマー
●歴史
・テレビ7〜9話と同時期。
(開戦への動き)
※前回の直後。開戦前。
↑舞台や、キャラ、メカ、歴史などは、指摘しなくても作業できますが、
ここでピックアップしておけば、漫画家さんの洗い出し作業が楽になります。
●シナリオ
■アメノミハシラ、その他(シーン1)
↑場所とシーン番号を書き込む。
これがあると打ち合わせがスムーズ。
※前回のミナの放送とセリフかぶる。
(以下の数行は前回と同様なのでセリフ変更不可)
アメノミハシラのミナ。
ミナ「私はロンド・ミナ・サハク。
現在は、どこの国家にも所属していない。
私はこれから、ある計画を全世界に向け、発信する。
それについて、どう判断し、
どう行動するかは個人の自由だ。」
セリフの間に周りにいるアメノミハシラの人間のカット挿入。
ここにいるのは、前回同様だが、プラス、劾のシルエットを加える。
× × ×
↑同一シーンでも、場所が違うなどの場合には、区切り線を挿入。
地上。
被害地。作業しているモビルスーツ・レイスタ。
そのそばで、ラジオ(?)で放送を聞いている人。マルキオ導師だ。
ミナ「先日のユニウスセブンの落下。
両陣営ともに、相手を強く非難している。
その矛先は、関係ないジャンク屋組合にまで向けられた。
だが、はたして、本当にその非難は正しい物なのか?」
働くレイスタのジャンク屋マークがアップになる。
マルキオが見えない視線をよこに流す。
その先にいるのは、キラとラクスと子供たち。
(シルエットに近い扱い。背景キャラ)
↑ここは、変更になっている。
最終回ということもあり、キラたちは、はっきり登場することに。
■マティアスの屋敷(シーン2)
部屋にジェスが飛び込んでくる。
中には、カナード、イライジャ、そしてマティアス。
にっこりほほえむマティアス。
マティアス「間に合ったわね。ジェス」
カナードたちに驚きつつ、マティアスに詰め寄るジェス。
ジェス「使いの者から、聞いた。
『一族』って、なんだマティアス。
真実を歪める者って……」
※小説で風花から概要を聞かされており、やってきた。
↑他誌との連動は明確にしておく。ここでは、わざと風花の名前を伏せている。
出すと、読者の興味が風花に流れるおそれがあるため。
マティアス、カナードたちに先に行くように促す。
マティアス「説明するわ。
ぜひ、あなたには、真実を知ってほしいから」
すでに死を覚悟しているマティアス。
平静であり、笑顔(あまり深刻ではない)。
↑セリフだけでは、その時の感情がつたわりにくいので、表情などの指示を出す場合もあります。また、疑問があれば漫画家さんから、「この表情は?」と問い合わせもあります。
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以下、まだまだ続きますが、だいたいこんな感じです。
参考になったかな?
2006年3月アーカイブ
最近あった実話。
コンビニで公共料金の支払いをしていた私。
全部で14件あった。
お会計をすませて、店員が領収印をおしていて気づいた。
レジに通したのが、13件だった。
つまり、どれか一枚は未払いの状態。
慌てる店員。
店員は、レジの履歴を見ようとするけど、やり方が分からない。
レシートでは、「電話代3件」、「ガス2件」とまとめられているので、
どれが通してない物か判別できない様子。
最初はだまって、店員が処理するのをまっていた私だが、
店員はだんだんパニックになって、レジ機能について、本社に問い合わせしはじめる始末。
そこで、私も解決に協力することに。
まず、レシートを見て、14枚のうち、ちゃんとレジに通っているジャンル(会社)を除外。
その結果、NTTは4枚あるのに3枚しかレシートに打たれていないことが判明。
レシートの3枚の合計金額は16000円(本当は端数あります)。
それぞれは、8000円、4000円、2000円、2000円。
合計金額に達するためには、8000円、4000円は絶対にはずせない。
(この2枚がないと金額が少なくなってしまう)
つまり残った2枚の2000円のどちらかが、レジを通っていない。
ほんとうの金額には端数があるので、2枚の2000円のうち、それぞれを8000円と4000円に足してやって、レシートの合計金額にならない方が、レジを通っていない物ということになる。
これで解決だ。
以上の説明を店員にたのだが、店員の反応は意外なものだった。
「そんな推理じゃ、本当にそれだが、わかりませんよ」
と言うのだ。
「推理って……、物語の探偵の推理とは違って、これ数学だよ。これ以外の答えはないよ」
もう一度、説明する。
「たしかに正しそうですが……」
それでも、納得しない店員。
結局、本部に電話で問い合わせて、レジを通っていないものを調べ上げていた。
この時の店員がバカなのはもちろんなのだが、
それ以上に、責任の放棄を感じた。
つまり客の言うとおり、レジを通っていない物を店員が決めつけてしまったら、
もし間違いがあった場合、店員の責任となるだろう。
だが、本部に問い合わせれば、あとは間違いがあったとしても指示を出した本部の責任だ。
おそらく、これが数学の問題なら、店員も理解し、答えを受け入れただろう。
ではなぜ責任を放棄したのか?。
それは、責任を負えるほど、自分に自信がなかったのではないだろうか?
なんとも、寂しい話だ。
まとめ
オルフェでは、こんな人材は必要としておりません。
いや、訂正する。
コンビニでも、こんな店員は必要としていないだろう。
みなさん、ご注意を。
一応、作家でありながら会社の社長でもある私は,
社員の仕事に関する契約書に目を通す。
(だいぶ溜めてしまって、よく怒られる)
相手は「大手」と言われる所も多く、そんな所の契約書なら、
安心して印を押せそうだが、そう簡単にはいかない。
以下、私が経験した例を。
・著作人格権の譲渡
これが、かなり多い。
大手でも、いまだに記載している所がある。
著作人格権とは、簡単に言うと、「私が書きました」ということで、
著作財産権(作品で商売します)と違い、譲渡が法律で禁止されている。
法律で禁止されているので、もし契約書に記載されていても、
裁判になれば契約自体が無効になると思われる。
相手としては、買い取りの作品などでは、「全部の権利」というつもりで記載しているのだろうが、物事はそんなに簡単ではない。
・オリジナリティの保証
他者の著作物の権利を侵害していないことを契約書で保証しろと言う。
これは、基本的には正しい。
だが、オルフェでは以下の例外を作ってもらっている。
「原作が存在し、原作そのものが他者の著作を侵害している場合」
「製作発注者の指示にそった結果、他者の著作を侵害した場合」
この条項を足しておかないと、原作のミスや発注者の意見を取り入れたことで、
こちらが責任を負わされることになりかねない。
・指定裁判所
もし契約書に記載された以外のことで紛争となった場合のために、
大抵、「そうなったらここで争います」という裁判所が指定されている。
普通は、東京。
だが、ここで注意しておかないと、海外の裁判所が指定されていることが、たま〜にあるのだ。(私はオーストラリアを見たことがある)
海外の裁判所では、行くのに時間もお金もかかる。その上、当事者への出頭命令が届かないこともあるようだ。
もし裁判当日、その場にいないと、その裁判は無条件で負けになる。
・見本、広告の除外
大抵の商品は、商品数×印税率でお金が支払われる。
だが、作った商品がすべて売られるかと言うと、そうではなく、
見本として関係者に配られたり、広告(宣伝)のために、
関係媒体に配られたりする。
この数が明確になっていない契約書は要注意。
明確でも、数が異常に多いのも問題だ。
一割なんて珍しくもなく、
ひどいのになると、生産数の二割が見本なんてことも。
(一割でも、見本として配りきるとは思えん)
・支払いの免除
印税とは、ヒットすれば莫大な金額になるが、ブームをすぎれば極端にすくなくなる。
たとえば「一年で、数回、カラオケで歌われた歌詞」の印税がはいったりする。
何十円だ。
これをいちいち振り込んでいたら、印税を管理している会社は振り込み手数料だけで大赤字だ。
そこで、一定金額に達しない場合、次期へ繰り越す。という契約もある。
気づくと10年近く振り込まれていない印税があったりする。
印税の計算書は、毎年80円を使って郵送されてくるので、
かえって早めに払ってしまった方が相手にとっても良いのではないかと思う。
そこで、過度な繰り越しはしないようにしてもらっている。
(会社のシステムで決まっていて、オルフェだけ変えるというのが通らない場合もある)
以上のように、よく見ないと、とんでもないことになる契約書だが、
無闇に怖がってもしかたない。
知り合いの作家は、海外版の契約書を「よく分からない」という理由で、サインしておかなかったために、海外版が発売されなかった。
(これには、余談があって、この作家が同じ出版社の別の作家の本に寄稿した原稿も、「この先生は海外が嫌いなんだ」と思われて、外されそうになった)
とにかく勉強。
それしかない。
追加のお願い
メールをくれた人がいますが、添付ファイルがついていたためにはじかれました。
もし重要なメールなら再送信してください。
ウイルスなら、もう送らないで良いですよ。
2話にして、シナリオ作業が大きく遅れたのを覚えている。
理由は、テレビとのリンクにある。
シナリオ段階では、まだアニメで要塞アルテミスは登場しておらず、
設定とアニメのシナリオから推理して書いた。
レッドとブルーの両方が登場するガンダムエース版では、
この特徴を生かした構成を心がけ、
二話では、両者が激突する話となっている。
当初の予定では、アルテミスから逃亡したガルシアをロウたちが拾い、
ガルシアにだまされて傭兵たちと戦う構成を考えていた。
「傭兵に要塞を追い出されたんです。たすけてください〜」
というような情けない感じを想定していたが、
ガルシアの声優さんがきまり、
そのキャストをみて「そんなキャラじゃない」と判断、
傭兵の方を知略(?)でだます形に落ち着いた。
構成として、冒頭のカラーページでレッド対ブルーを見せたかったので、
(そうしないと同型機は、判別が難しい)
いきなり山場からはじまり、
モノクロで、きっかけのシーンに戻るようになっている。
本来、時系列を前後させるのは、読者が混乱するのでやらないが、
これはカラーの有効利用のため、いたしかたなし。
余談だが、このカラーに描かれたブルー(フルウエポン)は、いろんな所で流用され、けっこう有名なイラストとなった。
たしかときた先生のスタジオで作画中にアルテミス編の放送があって、
放映を見て、急遽、アルテミスの傘の処理を変更したとうかがった。
この話で一番やりたかったのは、
「同型機で、武器を奪って使う」
ということ。
ガンダムという作品は、量産機が多数でるが、おそらく同型機が相手武器を奪って使ったことは、ほとんどないのではないか?
二機のアストレイの使い方も、傭兵らしさと、ジャンク屋らしさを全面にだしている。
(劾は、多数の装備、ロウは、節電のために片腕の機能を捨てるなどの使い方)
ガルシアのギブスの中の銃や、イライジャの足技(カポエラ)などは、ときた先生の案。
劾がサングラスを外してイライジャにアイコンタクトするシーンは、女子に人気があったようですが、作者としてはまったく予想外の反応でした。
予想外と言えばガルシア。
まさか、こんなに何度もアストレイに登場するとは考えてませんでした。
すっかりアストレイのキャラです。
(なぜか出すと人気もある)
ブルーのフルウエポンは、Bクラブからキット化もされました。
SDガンダムのプラモデルの説明書では、レッド対ブルーが再現されています。
これも必見。
作品の各話を解説するコーナー。その1です。
今のところ、全話やるつもりですが、かなりの話数なので、途中でやめてしまうかも。
この1話、シナリオを書いた時点で、50ページ近くなることが分かってました。
私は個人的に「漫画は1話40ページまで」という決まりを作ってます。
たくさんページがあっても、読者が途中で、だれて(飽きて)きてしまうからです。
飽きさせないために、内容を盛りだくさんにすると、今度は読んでいて疲れてしまいます。
そのバランスが取れているのが、30〜40ページという訳です。
この1話のシナリオは、シリーズの中で一番最初に書いたものなので、
シナリオ状態でサンライズにチェックしてもらいました。
(現在はシナリオチェックの必要はなくなり、コマ割したネームをチェックしてもらってます)
その段階で、「結構なページ数になりそうだ」と、お話ししました。
するとサンライズからは「何ページでも大丈夫だよ」という返事。
新作ガンダムの外伝である本作の期待度は高く、雑誌としても、
一番よいと思われるページ数を確保してくれるというのです。
「では、ときた先生と検討してみます」
と、その場ではページ数を保留。
まずは、そのままのシナリオをときた先生に渡してネームを切ってもらいました。
数日後、ネームが出来たという連絡をもらったのてすが、見てびっくり。
あの内容すべてが36ページに収まっているのです。
実際のネームに目を通してみると、かなり圧縮された内容になってました。
これは、長くときた先生がボンボンでテレビ4話分を漫画1話に納めるために培われた技術が発揮されたネームでしたが、読んでみて、感じたことは「今回はこれではない、違う」ということでした。
そこで、急遽、編集担当と私でときた先生の所におじゃまして、最初のページからネームについて細かい打ち合わせをすることになりました。
まずお願いしたのは、
「アストレイはアニメの漫画化ではないので、そのものが本物のガンダム作品になるようにしましょう」ということです。
ココでは、細部について言いませんが、一例を挙げるなら、最初のシーン。
崩壊したへリオポリスにロウたちのキメラが侵入するシーンですが、シナリオでは数行しかありません。
最初のネームでは、シーンごとなかったか、あっても1コマだったように記憶してます。
(こういった物語に関係ない、段取りのシーンは、通常、カットされる一番の対象になります)
ですが、ここは新作の冒頭として「どきどき」する間(ま)が必要でした。
そこで、ファーストの1話のサイド7に潜入するザクのようなシーンにしてもらいました。
(これぞ、ありがたい先人の知恵です)
終電がなくなるギリギリまで打ち合わせし、再度ネームを出してもらいました。
(実際には終電に間に合わず、タクシーで帰りました)
そうして、誕生したのが、あの1話です。
ページはモノクロだけで48ページとなりました。
ときた先生のボンボンでの作品と比べると、その構成のスタンスがまったく違うことに気づかれると思います。
さすがときた先生はプロです。こちらの希望を正確に読み取ってくれました。
1話について、その他気をつけたのは、とにかくキャラの個性を押し出すことです。
たとえば、へリオポリス内で、ロウは空気があるか確認もせずにマシンを降りてしまいます(無茶)。樹里は、ロウが降りたので、降ります(ロウを信頼)。ところが、リーアムはそれでも降りません(現実主義)。
主人公のロウを一番生かすセリフは、
アストレイを破壊すると言う劾に向かって
「おまえには渡せない。破壊するなんて、もったいなくてな!」
という所です。
このセリフを聞いた劾は、ロウに対して、仕事以外の興味を覚えます。
そして、人として接するためヘルメットを脱ぐのです。
本当は傭兵チームも全員出す予定でしたが、そこまでは行かなかったので、イライジャに「ロレッタ」という名前を口にさせて、「他にもメンバーがいるよ」ということを示してます。
(余談ながら、この回だけ、イライジャが「ボク」と言ってます。
シナリオがそうなっていたからですが、作画を見たら、予想より「へたれ」だったので、そのまま「ボク」だと、よけいヘタレると思い、以後は「オレ」にしました)
この時、ホームに残ったプロフェッサーと、イライジャの二人。
ときた先生との打ち合わせで、二人がラブラブになる展開も考えてましたが、結局やめてしまいました。
うろ覚えですが、ときた先生のと所にいらっしゃる女性アシスタントに反対されたんじゃなかったかな?
最後にロウの言う「死んだ爺ちゃんが、よく言ってたぜ」は、
当初、ロウの口癖にするつもりでしたが、
「他人の意見ではなく、自分の意見で行動するキャラ」になったため、
使わなくなりました。
※仮面ライダーカブトも同じようなセリフ言いますが、キャラと合っていないような……。今後なくなるかもしれませんね。
この1話では、どうしても直したいコマがあって、
ときた先生に単行本収録時に描き直してもらいました。
事件が解決し、ホームに集まったメンバーのシーン。
ホームに傭兵たちのモビルスーツも降り立っているのですが、
修正版では、これがホームのクレーンでモビルスーツをつかむ形になってます。
こういう細かいメカ描写は大切にしたいと思い、修正してもらったのです。
本当は雑誌掲載前に気づけば、先生にも負担がかからないのてすが、
なかなか、うまくはいきません。
いきなりタイトルに反すること言いますと、スニーカーがまだ残ってるので、完全な完結ではないのですが、ガンダムエースと電撃ホビーマガジンの連載が今月号で終了しました。
ガンダムエース版は、
英雄(ヒーロー)として大きく成長してきたロンドというキャラに対し、
普通の視点を持ち続けたジェスというキャラを、どうとらえるのか?
ジェスが主人公であることは間違いないのですが、
彼はまったくヒーローではありません。
平凡の極致です。
このことを考えている時、ある日突然、このラストを思いつきました。
と言うより、最初から答えはあって、登場人物たちはみんな知っていて行動していたようです。
いつもどおり、「巨悪を倒して終わる」のではなく、
「未来への希望を示して、一歩踏み出す」最終回ですが、
どうでしょうかね?
今回、ある人物が死にます。
これはけっこう悩みました。
一言で言って「もったいないキャラ」なのです。
彼には、まだまだ活躍させてあげたかった。
ですが、これもキャラ本人から
「アタシがココですべてを精算しなきゃだめでしょ」
と諭されて、希望通り行動してもらうことになりました。
電撃ホビーマガジン版は、
キャラ総出演になってます。(本当に全員ではありませんが)
これはアストレイだけでなく、MSVも含みます。
序盤に出てくるコートニーの話を読んでおくと、
今月末に出るホビージャパンのムックにぬえ森田さんが書き下ろしされたMSV戦記が2倍楽しめるハズです。
ジャパンといえば、今月号は、こちらも「Dアストレイ」の特集(?)です。
すごく作品を褒めてあって、ちょっと気恥ずかしい感じですが、
なかなかよい作例が載ってますので、ぜひチェックしてみてください。
電撃の今回のタイトルは「パーティー」。
もちろん、「みんなが集まって大騒ぎ」というパーティーでもありますが、
もうひとつ英語本来の意味である「仲間」ということでも、このタイトルにしました。
ちなみによく読むと次回作のアストレイのヒントや、「スターゲイザー」のネタも
隠されてます。
「Dアストレイ」、あとはスニーカーの最終回のみとなりました。
最後まで応援よろしくお願いします。
※前に記したとおり、ちゃんと完結したら、このブログにも「Dアストレイ」のネタを書いていきたいと思ってます。
※追伸
新作アストレイの準備で忙しく、ブログの書きためが出来ない状況です。
毎日楽しみにしている人(いるのか?)は、申し訳ありません。
なんか、前回は、ぜんぜん私の話をしませんでした。
タイトルに偽りありですね。
今回は、本題に。
編集の仕事は、いろいろ覚えることの多い(しかも付き合いのある会社の数だけある)のですが、前の会社の上司は、まったく新人に仕事を教えてくれない人でした。
超放任主義です。
ですが、放っておかれても、困ります。
しかたがないので、ひたすら聞きました。
上司はもちろん、相手先の会社でも。
あとは、ゴミあさりです。
上司が捨てた「ラフ」や「原稿」などを拾って、そこから技術を盗むのです。
皿洗いが、洗う前に、先輩の作った料理の皿に残ったソースをなめる。
そんれと一緒です。
実際、これはとても効果的でしたね。
先輩が出すゴミは、私のお宝でした。
これに気をよくした私は、
自分が新人の教育担当になった時、同じことをやらせようとしました。
もちろん、わざわざゴミを拾わせるのはバカげてるので、
使い終わった仕事のゴミを全部新人にあげたのです。
「これを見て勉強して」と言って。
ですが、結果は期待とはまったく違ってました。
そこから仕事の情報を読み取れる新人がいないのてす。
「わからない所があったら聞いて」
そう言っても、質問してくる人は、ほとんどいませんね。
「最近の若者は」などと世代のせいにしたくはないのですが、
どうも「教えてもらう」ことに慣れている人が多いようです。
「教えてもらわないと、どこが分からないのかも、分からない」
そんな感じです。
関係ないかもしれませんが、
ゲームをプレイする時に、攻略本を見ながらやる。
そんな人たちでしたね、みんな。
ちなみに私は攻略本は(自分ではかなり作りましたが)、見ません。
それより説明書を見ます。
ゲームも家電も、説明書を見ないで、手を付けることはありません。
これは、「取り扱い説明書をみなかったせいで、やるミス」を恐れているからです。
まあ、これは前記した話とは関係ないですね。
少し関係あるとすれば、その恐れが、放任主義の上司とあいまって、ゴミを拾ってでも勉強しないといけないという脅迫観念につながったのかもしれません。
いきなり話をまとめますが、
業界を目指す人には、
「教えを待つ」のではなく、
「教わりに行く」姿勢が必要です。
「何が分からないのか」を理解することは、
「答えを知る」上で避けられない道なのです。
アストレイの話は少しお休みします。
あまりつづけると、私が飽きてくるので。
3月8日のメモにある「私の修業時代」について。
前記したとおり、オルフェを立ち上げる前は、
別の会社におりました。
そこは、オルフェのように作品を作ることはすくない、
基本的に「編プロ(編集業務のプロダクション)」と呼ばれるような会社でした。
私の仕事も、当時は、雑誌の記事がメインです。
当時、小さい仕事をいくつもの会社から受けていたので、とても大変でした。
なにが、大変かというと、会社がごとに流儀(やり方)が違うのです。
出版社に入社した人なら、その会社の流儀(やり方)をひとつだけ覚えればよいのでしょうが、外部の人間である私は、取引相手に合わせる必要があります。
これがもう大変で。
原稿の赤入れから、入稿の仕方まで、ぜんぜん違うのですよ。
しかし、「私のやり方はこうだ」なんて、言える立場にありませんから、
ひたすら覚えました。
ここで、業界を目指す人にひとつアドバイスを。
業界に入るための勉強をさせてくれる専門学校がありますよね。
もし学校に行った方が、業界に入ってから、役に立つだろうと思っている人がいるなら、一言注意しておきます。
私は「まったく役に立たない」と、思ってます。
前記したように、「やり方」は千差万別なのです。
ところが、専門学校を出た人は、「学校ではこう教わりました」と、
言いはってなかなか仕事を覚えてくれないことがあるのです。
新人を教えていて、そんな経験を何度もしました。
たしかに高い授業料と時間を費やして、覚えたことですから、
否定されたくないのは理解出来ますが、
そこで意地になっても、デメリットしかありません。
結局、前の会社やオルフェでも、専門学校から採用した人はいましたが、
「使える人」も「長続きする人」もいなかったとだけ、記しておきます。
あと、専門学校の生徒をとると、毎年、「今年もお願いします」と
あいさつに来られるのも、うざったいです。
アニメのテレカをお礼に送られてもな〜。
今回は敵について。
ケナフ・ルキーニ
ケナフは、木(パルプ)の代わりに紙の材料となる植物のこと。
「紙」=「神」で、神のように情報(紙)を操るということで。
ルキーニは、オーストリア皇后エリザベートを殺害した犯人の名前。
この人、なぜやったのか理由が不明。
「本当はなにか裏事情をつかんでいたのではないか?」
という所から、裏社会の情報屋の名前にした。
実はこの名前になる前は、もっと「思想」や「哲学」の名前にしようとしたが、
戸田先生に反対されてやめました。
ロンド・ミナ・サハク
ロンド・ギナ・サハク
サハクは、オーブ五大氏族の名前のひとつとして吉野さんの資料の中にあった。
使用時にサンライズに確認したところ、オッケーだったのだが、
実際に本編で使うことはない資料だと聞かされた。
あとで、吉野さんは、「アストレイ」にサハク家が出で居たのを見て、たいそう驚かれたそうです。(資料自体がボツになったと考えていたらしい)
安心してください、吉野さん。
ちゃんとサンライズの許可をもらってます。
ロンドは、「輪舞」から。
この名前なので「踊れ」が決めゼリフなのです。
姉のミナ、弟のギナは、日本神話のイザナミ、イザナギからとってます。
なぜ日本神話かと言えば、オーブだからという以外理由はありません。
ちなみに「イザナ」とは「誘う」という意味で、
この名前のためか、ロンドはやたらと人を誘うキャラになりました。
名前を付けた時は、ぜんぜん意識してませんでしたが。
(正直、ここまで生き残るとも思ってなかったし)
アッシュ・グレイ
アッシュは、「灰」です。
彼は、シリーズをとおして唯一の極悪人にすることが決まってました。
(後に「Dアストレイ」で再登場したら、ちょっといい所をみせましたが)
すでに人間として終わっているキャラ、だから灰。
灰って、燃え尽きていても、かなり高温になるんですよ。
炎も出さず、光も出さずに、ただ触れた者に火傷を負わせる灰。
それが彼のイメージです。
グレイは、宇宙人でおなじみの「グレイ」です。
これは戸田さんのアイデア。
「人間ではない者」ということで採用しました。
・自分へのメモ
Xのキャラについても書く。
あと、ソキウス、ヴェイア。
メカの名前
ロレッタ・アジャー
むか〜しの女優さんの名前を組み合わせたモノ。
ロレッタは、私の中ではモノクロ映画に出でくる安酒場の人気歌手みたいなイメージがある。
荒っぽい男たちに人気で、人生を語れて、色っぽいのに子供にやさしい母性的な部分もある。
同じ色気があってもプロフェッサーとは対局にある人物。
(チームの中で一番「メンバーのことはなんでも知ってる」という点で二人は共通だが)
リード・ウェラー
情報収集に長けている傭兵なので、
「リード」は、「読む」から採用。
劾をリード(導く)する先輩としての意味もある。
ウェラーは、俳優の名前から拝借。
この名前の俳優さんが、外見が似ていたモノで。
(モデルではないです)
余談となりますが、外国の俳優さんのカタログは、私のような職業の必須アイテムです。
キャラデザイナーの人に俳優さんで指示すると、すごくわかりやすいです。
ちなみに、なぜ外人かと言うと、キャラが漫画なみにはっきりしているからです。
ガンダムゲームでは、よくこの方法で発注します。
※アストレイでは、やってません。
風花・アジャー
劾の所でも書きましたが、日本名なので、自然に関する名前です。
なぜロレッタの娘なのに日本名かというと……
チームで日本名なのは、劾だけです。
ロレッタはシングルマザー。
そして、子供は、日本名。
このあたりの微妙な関係で、いろいろ想像を巡らせて欲しかったからです。
「劾の子供」と思ってもいいですし、
「ロレッタは劾が好きで、子供に彼と同じ日本名を付けた」でもよいです。
みなさんの想像におまかせします。
まあ、もうキャラが確立しているので、上記のような
想像をする人はかなり少ないと思いますが、
序盤でチームの人間関係を「楽しむ」のには役だったと思います。
ちなみに「風花」とは、晴れている日に雪が舞ってくる現象のことです。
※大昔に掲載されたスニーカーの座談会の解説は間違ってます。
校正段階で、修正をお願いしたのに、直らなかった。
私は、あんな発言してません。
晴れていて、雪がふる不思議さ。
そして、元気に軽やかに舞う感じが、イメージにあうと思いました。
風花にはモデルになった女優さんと子役さんがいます。
二人のイメージをごっちゃにして作ってます。
8(ハチ)
ロウの相棒、コンピューターの「8」。
数字ですが、名前としても通用するということで採用。
8は、「オーガス」の大尉をモデル(参考)にしてます。
自分では戦わないくせに、戦闘についてウンチクを言い、態度がでかい。
※私は、すごく先人のアイデアに助けられてます。
そのまま使えば、盗作ですが、参考にするのは良いことだと思います。
8と大尉も、実際比べれば、まったく物語でのポジションが違います。
次回は、敵、その他の名前について。
プロフェッサー
本名ではなく通り名(ありまえ)。
私は、この「通り名」というのが好きなので、けっこう作品で使っている。
ときた先生と組んだ「SD英雄伝」では、本名不明「通り名」キャラが敵にいる。
ちなみに当社で作った「ごきんじょを探検するゲーム」に登場する天才少女「ドクター」を意識して、この名前にしてみました。
※結局、「ドクター」も、MSVで出てしまいますが。
イライジャ・キール
「相棒」という点を意識して、私が一番に思い浮かぶ「相棒」から名前を頂戴しようと考えた。
それは、「鋼鉄都市」というアシモフ(ぬえ森田さんは正しい発音に近いアジモフと呼ぶ)のSF小説に出てくるロボット。
ロボット嫌いの人間の刑事と、コンビを組むロボット刑事で、名は
R・ダニール・オリボー。
(余談だが、R・田中一郎の元ネタはこれでしょう)
だが、このダニール、とっても立派でお堅い人(ロボット)で、どちらかというと劾に近い。
逆にダニールの相棒である人間の刑事の方が愛すべきダメ人間で、キャラが近い。
そこで、急遽、人間の刑事イライジャ・ベイリから名前を頂戴することにしました。
それで、イライジャ。
ダニールから見れば「相棒」なので、問題なし、と決めました。
(指輪を捨てる映画の俳優さんとは関係ありません)
キールは、実際にある名前で、「斬る」や「KILL(殺す)」に音が近く、傭兵らしい感じがしたので採用。
ただし、この名前はサンライズで「キラに似ているから却下」と言われてしまった。
もう自分の中では、この名前に決まっていたので、なんとか説得。
採用されることとなった。
余談となりますが、まだテレビ本編のキャラデザインが決まる前に
植田さんが書かれた本編キャラのラフ案があります。
「アストレイ」が植田さんに決まった時、それを見せてもらったのですが、
その中ですごく印象に残る美少年がいました。
(実際のテレビで平井さんがデザインされているのより美少年です)
「このキャラ、すごくイライジャのイメージだな〜」と思ったのですが、
特にそのことは指定せずにイライジャのデザインに入ってもらいました。
そして、あがってきたデザインをみて驚きました。
その時の美少年だったのです。
運命を感じましたよ。
余談2
アストレイがプラモーションでアニメ化される時、
植田さんがキャラのデザインをリニューアルしたのてすが、
イライジャだけは、変わってません。
理由をお聞きしたら「これ以上の美少年は書けない」という答えでした。
そう、イライジャは、代わりが居ない、植田さん一番の美少年なのです。
山吹樹里(やまぶききさと)。
ジャンク屋のヒロイン。
劾の説明でも書いたが、日本名は、自然をモチーフにしている。
だから、「山吹」と「樹里」。
実は、この名前にはもうひとつネタがあって、
ある舞台で見たダンスのうまい女優さん二人の名前をつなげている。
その女優さんの一人は「じゅり」だったが、キャラのイメージから
「きさと」と読ませることにした。
※この方が弱く感じられたので。
この名前をサンライズに伝えたら、
下村さんに「『きさと』って、飲み屋の名前みたいですね」
と言われたのを覚えている。
今考えると、「きさと」にしたのは正解だった。
もし「じゅり」にしていたら、テレビ本編のキャラとかぶることになる。
余談だが、
ガンダム作品のキャラ名を決めるときは、
極力、前に使われていない名前を使用することにしている。
「D」の「ベルナデット」は、うっかりミスで、かぶってしまった。
まさか、こんなマイナーの名前が前に使われているとは……。
リーアム・ガーフィールド
ロウの右腕だから「リーアム」。
ガーフールドは、実在の名前。
前から「ガンダム空間」みたいで、いいと思っていた。
ちなみに、彼のお兄さんは、シニスト・ガーフィールド。
シニストは、左側[sinister]から。(弟が右なので)
この言葉には、「縁起が悪い」という意味もある。
リーアムと双子だが、リーアムがコーディネイターなのに対し、
この兄さんはナチュラル。
この二人の関係は、ガンダムエース3話でやったが、
出来ればもっとリーアムのバックボーンを描いてからやれば良かったと後悔している。その方が盛り上がったハズだ。
リーアムって、なかなか活躍させられなかったキャラの一人。
どうしてもロウの影になってしまう。
※その分、ロウのいない「D」では、驚異の大出世してますが。
すでにときた先生がご自分のホームページで書いていることなので、知っている人も多いと思いますが……
アストレイのキャラの誕生日は、占星術師の人にきめてもらいました。
つまり、性格や宿命を考慮したものになっている訳。
名前の意味もそうだけど、
こうしてキャラの外堀をしっかり埋めてやると、そのキャラが「生きて」くると私は考えている。
もちろん、当初の予定と違った動きを見せるキャラもいますが、決めないより決めた方が、絶対良い。
逆に、キャラによっては、わざと決めない事柄もある。
作者が知らないことで、より謎が深まる。
しかし、そうしたキャラは少数の例外で、物語の中で「謎」としたことにも、大抵のモノには「答え」を用意している。
ここで、その秘密を明かすことはしませんが。
今のところは、「作品の中」以外で答えを提示する気はないのです。
なぜなら、作品が継続中は、作品で楽しんで欲しいからです。
完全に終わったら、このブログに書くかもしれません。
ちなみに、このブログのネタに「Dアストレイ」の話がほとんど無いのも、同じ理由。この作品は、まだ連載中。
(もうすぐ終わることは、きまっているのだが)
連載が終わり、単行本も出し終わったら、いろいろ書いていきたいと思っている。
ブログの話ついでに、ここの方針を少し書いておきます。
私の話は、けっこう不親切になっていると思う。
これは、「気になる人は自分で調べてくれ」という方針です。
私が書いてしまうのは、簡単ですが、ただ「読むだけ」になってしまうと、記憶にも残らないような気がする。
気になったことは、調べてみて、はじめて見つかる真実の情報。
そんな展開を期待している。
それと、今のところは、アフィリエイトも入れる気はない。
関連する本について、「読んでみたい」と思ったら、自分でネットで調べて欲しい。
比較的簡単に見つかる本ばかりだと思う。
これは、個人のこだわりなのだが、
自分が書いた本は、売れるだけで印税収入がある。
それなのに、さらにアフィリエイトから収入を得るのは、なんとなく変な気がする。それだけ。
とにかく読む人に負担をかけるブログかもしれないが、よろしくお付き合い願いたい。
※トラックバックもコメントも受け付けてないから、厳密な意味ではブログじゃないかもしれませんけど。
追伸
3月に入ってから毎日更新出来てるのは、ときた先生の提案にそって、書きためているから。
これも、日記ではないから出来る方法です。
※各社の担当の方。締め切り日に更新されていても、仕事をさぼって書いた訳ではありません。
キャラの名前の由来をご紹介。
私の作るキャラの名前には、かならず意味がある。
それを紹介していこうと思う。
まずは、ジャンク屋のロウ・ギュール。
ロウは、実際に人の名前として存在している。
この綴りが「LOVE」と一文字違いなのが、おもしろいと思い、
いずれ作品で使おうとストックしておいた名前だ。
(物語では、孤児院の担当が『ラブ』という名前の「V」部分を二度書きしてしまったという設定にしている)
ギュールは、古代イタリア語の赤(Gulese)から。
なぜ赤かと言えば、レッドフレームに乗っているから。
(言わなくても分かりますね)
私は、この当時、イタリアにどっぷりはまっていた。
ちなみにジャンク屋組合は、ルネッサンス期のイタリアの職業組合(ギルド)をモデルにしている。
もう一人の主人公、叢雲劾。
劾については、サンライズから、「日本名」で「カタカナ表記で英名にも見える名」という注文があった。
これがなかなか難しい。
とりあえず「ガイ」を提案したが、
「某勇者王と同じ名なので、好ましくない」
ということになった。
とりあえず「ガイ(仮)」という名前で作業を進めながら、再び頭を悩ませる日々を送った。
そんなある日、事件が起こる。
新宿のある模型店に買い物にいった私は、バンダイの小売店向け資料が店に張り出されているのを見た。
そこには、テレビに先駆けて展開する外伝「アストレイ」が紹介されていた。
そして、その資料には傭兵部隊のリーダー「ガイ」の名前がはっきり書かれていたのだ!
「(仮)が取れてる!」
私は、すぐにサンライズに連絡をとった。
結局、私がなかなか新しい名前を決めなかったために起きたミスだった。
しかし、ミスとはいえすでに発表されたモノを変更するのもおかしいので、「ガイ」で行くことになった。
ただし、某勇者王とは違う漢字を使用することになった。
そして「劾」とした。
名字の「叢雲」は、「日本名にするなら、自然現象の名前がよい」という発想からだ。
※ちなみに「風花」も同じ法則に則っている。
劾の場合、ブルーフレームに乗っているので、「青い空」に関係ある名前にした。
「叢雲」の詳しい意味は、自分で調べてみてほしい。
おそらく出生の秘密から考えて、親が付けた名前ではない。
この名前は、劾自身か、かなり近い位置にいた人間が付けたものと思われる。
その人は、劾が一人では生きていけないことを知っていたのでしょうね。
昨日のサインの話の補足。
仕事のスタッフが、記念の意味をこめて「本にサインをください」と言うのは、私は問題ないと思ってます。
それは、プロ同士の仕事の記念ですから。
私が問題としているのは、「プロがファンになってしまう」ことだけです。
今日は、仕事していてうれしかった話をしましょう。
※ある意味、これも業界人の特権の話です。
自分が熱意を込めてやった仕事が、人に認められるのは、うれしいモノです。
特にその仕事が、あまり目立つものではなく、ひっそり公開されたものなら、なおさらのこと。
実は、前の会社にいた時に、B社の模型情報の編集をしていました。
(私はライターの一人で、メインの編集は「エヴァを作ったアニメ会社の前身」が担当していました)
この時、私はSDの作例ページと、東映の情報ページの担当でした。
当時の東映作品には、「黒いバイク乗り(実写)」や、「驚き男(シールも人気)」、そして「星矢」がありました。
私は、「星矢」の大ファンでした。
※会社の黒田と一緒に同人誌まで作っていました。
アニメの「星矢」には、スチールセイントというオリジナルキャラが登場します。
彼らは、科学の力で生み出されたクロスを身にまとい、他のセイントたちと、共闘するという設定でした。
ですが、分子を砕く破壊力を持つセイントと、どうして対等に戦えるのか、その説明はありませんでした。
当時から設定マニアだった私は、個人的にその原理を考えてみました。
(詳しい内容が知りたい人は、当時の模型情報を探してみてください)
完成したものは、完全に趣味のものでしたが、編集部で披露したところ、大変好評で、「なんとか誌面に出せないか」という話になりました。
そこから、各所に掛け合い、なんとかこの設定をオフィシャルなモノとして模型情報に掲載することが出来ました。
(この時は、いろんな人の協力を得ました。ジャンプ作品で東映アニメですから、そのハードルがとてつもなく高いのは、業界の人なら理解してもらえると思います。
これは非難しているのではありません。彼らが、ブランドを守るプロだということです)
「星矢」は人気作品でしたが、アニメオリジナルのスチールセイントは、それほど人気がありませんでしたから、記事も注目されることはありませんでした。
ですが、その記事が掲載された年の模型の即売会イベントでのこと、
一般サークルの方が出した「星矢」の同人誌を手に取った私は、びっくりすることになりました。
なんと、模型情報の私の記事が、そのまま転載されていたのてす。
「奴らにこんなステキな設定があったのをキミは知ってるか!」
と、キャッチフレーズが付いてました。
これは、本当にうれしかったですね。
細かいことを言えば、版権無視のコピー行為なのですが、
「私の記事を気に入ってくれて、それを広めようとしている人がいる」
そこに感動しました。
この話には、さらに後日談があります。
つい先日、「スターゲイザー」の打ち合わせでのことです。
宇宙航行の技術を武器に転用する話をしていた所、突然スタッフの一人が
「スチールセイントって知ってますか? あのクロスはブラックホールを攻防に使ってるんですよ」
と、話しはじめたのです。
そう、それは私が模型情報で発表したスチールセイントの設定だったのです。
驚きました。
記事を書いてから十年以上がたっているのに、それを覚えていた人がいたとは。
本当にあの記事を書いて良かったと思いました。
単行本が売れたり,おもしろかったと言ってもらうのもうれしいですが、
小さな記事が評価されるのは、それとは違う、別格のうれしさがあるものです。
今にして思うと、「見た作品の設定を考える」というのは、今の「アストレイ」の仕事にも確実に生かされています。
「アストレイ」で発表した裏設定のほとんどは、森田さんや吉野さんが考えたモノですが、一部は私の方から「これは、こういうことなのでしょうか?」と提案し「それ採用」となったものもあるのです。
業界にいると、こんな幸せもあるという話でした。
業界人は、業界人に会える。
これは、あたり前のことだ。
中には、業界に入る前にファンだった先生に会えたりもする。
私の場合、永井豪先生の熱烈なファンだった。
まだ前の会社にいたころ、編集を担当していた雑誌がアニメ製作もしていて、
永井先生の「バイオレンスジャック」をアニメ化することになった。
そこで、インタビューの機会が訪れた。
正直、かなり緊張した。
だが、永井先生は、さすがはベテラン。インタビューにも慣れており、
不慣れな上に緊張していた私をリードするようにいろいろ語ってくれた。
(当時、先生はゴラクでジャックを連載中だった)
カメラを向ければ、ちゃんとポーズをとってくれる。
(なにも頼まなくても、ジャックナイフを振りかざすポーズをしてくれた)
つねに笑顔だ。
その時のインタビューは、当時の雑誌を見つければ、読むことが出来る。
ここでは、記事にはしなかった、こぼれ話をしよう。
私の前の会社は高田馬場にあった。
この駅前には「力士と裸の女性」がくるくる回る噴水が屋上に設置された「名物ラブホテル」がある(今もホテルはあるが、噴水は違うものになってる)。
会社から駅に行く途中,その前を通った私は、永井先生に遭遇した。
(中からで出てきたのではない)
びっくりした。
私は、声をかけることも出来ず、ただすれ違った。
このことを先生に「高田馬場で、お見かけしたことがあります」
とだけ伝えた。
先生は、にっこり微笑まれて、
「そういう時は、声をかけてくれていいんですよ」
と言ってくれた。
社交辞令だとは思うが、本当にいい人だ。
だが、さすがにラブホテル前では声はかけられません、先生。
蛇足
高田馬場では、楳図かずお先生もよくお見かけした。
楳図先生にも、声はかけられなかった。
派手な服を着て、踊りながら歩いていらっしゃるからだ。
永井先生の優しさに気をよくした私は、
軽い気持ちでサインをお願いしてしまった。
もちろん、永井先生はイヤな顔一つせずに、色紙にジャックを書いてくださった。
そして私に渡す時、
「あっ、ジャックを描いちゃったけど、他のキャラの方がよかったかな? 聞いてから描けばよかったね」
と言われた。
なんという、やさしさ。
もう先生の後ろに、後光が見えましたよ。
この時、私はサインをもらい、有頂天になった。
だが,今となっては、この時の行動を後悔している。
永井先生とは、仕事でお会いしたのだ。
その現場でファンとしての自分を持ち込むべきではなかった。
(インタビュー自体は、ファンとしての心理がうまく働き、
いろいろ聞くべきことを聞き出せたと思う)
この場をおかりして、謝りたい。
「永井先生、当時は失礼しました。
本当にすみません」
私は、これ以来、どんな業界人にも、サインをねだったことはない。
だだ、業界人に会えるのは楽しみにしている。
ファンとしてではなく、同業人として、「プロの話を聞ける」からだ。
業界で働いている人との話は、とても勉強になるのだ。
どうか、この業界を目指している人にも、その時が来たら
プロとしての姿勢を持つようにして欲しい。
業界にいると、地位(あるのか?)や名誉(ヒットすれば)の他にも、
特権があると思われている。
普通の人が思うのは、
「モノがもらえる」
「有名人に会える」
の2つではないだろうか?
新入社員も、この辺が気になるようで、よく質問してくる。
だが、私はこれらが嫌いだ。
ちゃんと理由がある。
まず今回は「モノがもらえる」の話からしよう。
当然ながら、自分でやった仕事の関係なら、商品見本をもらえる。
(その権利もある)
だが、実際には、もらえないことも多い。
さすがに自分の著書などは、見本誌がもらえないことはほとんど無いが、
関連グッズなどになると、もらえることの方が少なくなる。
それも仕方ないことで、
人気作品に係わったとすると、商品がすごい数になる。
係わったスタッフの人数もかなりの数なので、
とてもではないが全員に配ることなど、現実問題として不可能なのだ。
(数をそろえるのが問題ではなく、商品ごとに配る先を把握するのが難しい)
このことに対し怒る人もいる。
その怒りは、当然の権利だと思う。
だが、私は怒らないし、催促もしない。
なぜなら、版権元には、商品の分配に力を注ぐより、
もっと別にやってほしい仕事が山のようにあるからだ。
商品をもらうために「やってほしい仕事」が後回しになるのは、
本末転倒と言えるだろう。
これとは別に
たまに「仕事をしてないモノ」が、もらえることもある。
たとえばガンダムエースで連載していれば角川書店の別の雑誌を
もらえたりするのだ。
※まったく無関係ではダメだが、「仕事に役立ちそう」ならもらえる。
業界には、これに命をかけている(ように見える)人がいる。
私だって、タダでモノがもらえればうれしい。
だから、その人の気持ちは十分理解出来る。
しかし、催促するようになってはダメだろう。
(それは物乞いと一緒ではないだろうか?)
私は、絶対に催促しない。
まあ、毎月送ってくれる雑誌が来なかったりすると、
「どうなりましたか?」と、聞いてみたくなったりしますけどね。
個人的に自分のお金で買えるモノは、自分で買う。
それが、私のポリシーだ。
最近では、自分で書いた掲載誌も、送られてくるのを待つのがいやで、
本屋で買ってしまう。
(見本誌は、意外と届くのが遅いモノが多い。
あるアニメ誌なんか、発売から二週間ぐらいかかってる。
まあ、これは例外中の例外かもしれないが)
これに関係した事件をひとつ紹介しよう。
私と共同作業していた絵描きさんが、担当編集者を通して、
「作品の関連グッズをもらって欲しい」と連絡してきた。
これだけなら、それほど珍しい話ではない。
だが、間に入った編集さん曰く「もらってくれないと仕事しない」
と、言ってるらしいのだ。
この件は、二つの点で私の怒りをかった。
1つは、「仕事をしない」という点。
この人は、自分の仕事をなんだと思っているのだろうか?
もし、そんなことで仕事を降りたら二度と仕事をもらえないだろう。
そして、作品を楽しみにしている読者を、そんなに簡単に裏切っていいのか?
その人の作品を高く評価していた私は、すごく悲しい気分になった。
もう1つの怒りは、編集者に対してだ。
編集者なら、そうした作家の態度を戒めるべきだろう。
それでも商品を手に入れて上げたいと思うのなら、
なぜ自分で版元に連絡して手に入れようとしないのか?
なぜ、同じ作家という立場である私に依頼する?
筋違いも、はなはだしい。
この編集者は、あきらかに「簡単な方法」を選択したのだ。
(作家の気分をよくするのも編集者の仕事だ。
モノでつるのも、ひとつの方法であり、それを否定する気はない。
だが、自分で努力せずに結果だけ得ようとするのは間違ってる)
編集者を通して、絵描きさんへは
「そんな理由で、仕事を降りるならどうぞ。
こちらからお断りです」と伝えてもらった。
※本当に伝えたかどうかは、不明だ。
結局、その絵描きさんとの仕事は、続いている。
その後、編集者から「今回は自分の対応が間違っていたが、
どうしても、その商品を渡してあげたいので、なんとかならないか?」
と言われた。
ここで無視してしまうと、大人の仕事は成り立たない。
理屈には反するが、私が商品を手に入れることにした。
しかし、この商品は、私も持っていなかった。
そして、上記したように版元の手を煩わせることはしたくなかった。
またやっかいなことに商品は「クレーンゲームの景品」だったので、
版元以外から手に入れる手段は少なかった。
最終的に、私は、その商品を「まんだらけ」で購入し、
絵描きさんへプレゼントすることになった。
・自分へのメモ
文化祭の話
とりあえず二十年以上同じ業界で仕事をしていると、いろんな人と出会うことになる。
(まあ、これは、この業界に限らないかもしれないけど。変わった人はどこにでもいますからね〜)
私は、現在では、コミックのシナリオが主な仕事となっています。
ここで、今まで書かなかった漫画家さんについても、簡単にふれたい。
全員、漫画の仕事以外で出会った。
(前振りから分かると思いますが、変わった人たちです)
Aさんの場合
ゲーム関係のデザインの発注で知り合うことに。
漫画での収入は、奥さんに管理されており、
今回のゲームの仕事は「奥さんに内緒でやる」と言われた。
最終的にギャラは「現金で手渡し」となり、
会社の近くの喫茶店で渡した。
私からお金の入った封筒を受け取るなり、中から札束を取り出し、
アロハシャツの胸ポケットに押し込んだのには驚いた。
「先生、はみ出てますよ」
と、声をかけそうになった。
(紙帯のついた束が複数あった)
こんなにワイルドな人なのに、奥さんに財布の紐は握られているというのがおかしい。
ちなみに、ヤクザでも逃げ出しそうな強面(こわもて)の人なので、強盗に襲われる心配だけはなさそうだったが。
Bさんの場合
やはりゲーム関係のデザインを頼んだ。
ゲームに詳しくないというので、ゲーム機とソフトをプレゼントした。
これが失敗。
仕事の進みが極端に遅くなってしまった。
(気づくと、自分でソフトを買い足していた!)
結局オーダーした仕事をすべてあげてもらうことは出来ず、別のデザイナーに分担してもらった。
だが、ギャラを払う時に「最初に●●円と聞いた」と言って、譲らない。
「だから、それは全部納品された場合で、別デザイナーにやってもらった分は当然減ります」
そう説明しても納得してくれない。
「最初に●●円って言ったじゃない!」
そう繰り返すばかり。
こんな子供のケンカのような状態に、ばかばかしくなり、希望額を支払った。
ちなみにこの人は、別の仕事でも、原稿を放り出して温泉にいってしまった。
その時、この人が言ったセリフが「これだけあれば、いいじゃない」だった。
私は「作者の満足度と読者の満足度は違う。これでは商品としての売りが少なすぎる」と言ったが、思いとどまることはなかった。
蛇足
あとから別件で知り合った漫画編集者が、昔、この人を担当していたことが判明。
「急にゲームにはまって、毎回減ページになってさ〜」
と、愚痴られた。
すみません、それ、私の責任です。
Cさんの場合
この人は、大手玩具メーカーの社員だった。
この会社が、新規にパソコンゲームを出すというので、私は企画から参加した。
この人は、もともと絵描きで、昔、会社に入る前は、美少女水兵服戦士のアクションゲームのドット絵も描いていたらしい。
「ビーナスが、バク転するシーンで、スカートがめくれるんですが、
一コマだけパンツをはいてません。僕が書きました」
うれしそうに話してくれた。
ある時、打ち上げでカラオケに一緒に行った。
マイクの機能で男性の声を女性風に、女性の声を男性風に変えることが出来た。
その人は、女性風に変えてアイドルの歌を歌い、
どのくらい女性声になっているか、しきりに気にしていた。
(普段はオカマっぽい所は無かったが?)
やがて、この人は大手玩具メーカーをやめて漫画家になった。
某青年週刊誌に連載を持ち、萌えキャラで残虐シーンをやったことで話題になった。
(この作品はアニメにもなった)
私は、雑誌を手にとって、ひどく驚いたのは言うまでもない。
自分へのメモ
・編集者編では、BBも。
・大作家の話。
アストレイのキャラ設定の製作秘話のつづきです。
今回は、敵について。
最初、アストレイでは、明確な敵を設定しないつもりでいました。
ですが、最後に連載が決まった少年エースの「R」では、
少年漫画らしい展開をすることになり、敵を作ることにしました。
そして作ったのが、情報屋の「ケナフ・ルキーニ」です。
ルキーニの原型は、戸田先生のアイデアからきてます。
戸田先生は、本編「SEED」の初期設定を見て、
「遺伝子情報をめぐる情報戦」
というようなドラマを想像されたようで、「そんな話は出来ないか?」
との提案を受けました。
ですが、本編の世界では、すでに遺伝子情報は(ほぼ)オープンになってます。
それに「情報戦」は、ジャンク屋の主人公で展開できるような話ではありません。
(提案を受けた時点では、まだ傭兵チームで書く可能性もありましたが)
最終的に、「情報をテーマに戦う敵」という部分だけを生かすにとにしました。
そこで誕生したのが、「情報で世界を操作する男」です。
彼は、完全に愉快犯であり、世界征服などとは縁遠い人物です。
その意味では、主人公のロウに近い存在かもしれません。
(自分の道を突き進むだけの存在、善悪とは関係ない)
ロウの物語に関係してくるのも、ロウに興味を持ったから。という単純なものです。
物語をよく読んでもらうと分かりますが、
実はロウは、終盤まで、この敵(ルキーニ)の存在を知りません。
(ルキーニが、ちょっかい出していることに気づいてない)
「敵がいるのに気づいていない」なんて、
いかにもマイペースのロウらしいでしょ?
その他、三誌のアストレイでは、中盤から共通の敵を作りました。
(この敵は「R」にも登場しますが、後記するように「R」では多少特殊な扱いです)
オーブ五大氏族サハク家のロンドです。
彼(彼女)の設定は、本編のシナリオライターである吉野さんのオーブに関する設定から、ふくらませて作りました。
アストレイのファンの方ならご存じでしょうが、
ロンドは、ロンド・ミナ・サハク、ロンド・ギナ・サハクの双子の姉弟です。
(外見上の区別は髪型。分け目が逆になります)
ロンドは四誌で連載していたアストレイ共通の敵でしたが、
すでにルキーニという敵が存在していた「R」では、その扱いを多少変えてます。
敵が多くなることをさけるため、ミナとギナの区別をしていないのです。
物語上、最初は弟ギナが登場し、ロウたちとの戦いに敗れて死にます。
その後、姉ミナが登場するという展開でした。
(「R」では、二人を区別していないので死ぬシーンがありません)
二人には、少し仕掛けがあります。
ロンドは、男か女か分からないデザインです。
そこで読者に「どっちだろう?」と思わせておいて、
「男です」という答えを与え、直後に「女も居ました」と驚かせる。
というものです。
※キャラの顔の出ない電撃版のみ最初から「男」としておいたのてすが、あまり気づいた人はいなかったようです。
ミナは、作者の予想を超えた人気を獲得し、最終的には、
敵ではなくなってしまいました。
(詳しくは、「Dアストレイ」を見てください)
ロンドの搭乗機が主人公メカのひとつ「アストレイ」だったことも、キャラが立つ要因のひとつだったかもしれません。
彼女をファンの人は、「ミナ様」と「様」付けで呼んでいるようです。
作者としては、敬称付きで呼ばれるようなキャラが作れたことを、大変うれしく思います。
たぶん、アストレイの中では、彼女だけ敬称が付いてるんじゃないでしょうか?
(なかなか居ないんですよ、敬称付きで呼ばれるキャラって。
作者の記憶で一番に出るのは、「ラムちゃん」かな?)
以下、書きたいことのメモ
・アストレイのメカについて
・パワーアップについて
・「Xアストレイ」について
・「Dアストレイ」について
・MSVについて
・それぞれの1話について
・大河原メカについて
・阿久津さんについて
・植田さんについて
・町田メカについて
・プラモーションについて
・各話の引きについて
・シリーズの構成法
・キャラの名前の由来
・作者にとって意外なキャラ
この業界は、容易には入れません。
人材を欲している所は、多いのですがね〜。
なかなか仕事として成立するのが難しい業界なのですよ。
そのため、「入る夢を持つ浪人」という人は多いと思います。
「今はバイトをして食いつないでるけど、いずれは大作家になってる!」
という夢を持った人たちですね。
そういう人たちなら、大丈夫だと思うのですが、
仕事のことを「時間を売ってお金にする」という感覚を持っては、ダメです。
バイトを長く続けていると
「時間」=「お金」
という感覚が、どうしても芽生えてくると思います。
ですが、これだと、プロレベルの仕事になりません。
なぜなら、前に書いたとおり、業界の仕事は生活そのものが仕事です。
そこに「時間給」の概念は存在していないのです。
もちろん、この業界にだってバイトはいますし、
時間給だって存在してます。
これらの例外は、単なるお手伝いや、修行期間、
もしくは雇い主との信頼関係が成立したことにより、時間払いしている。
などがありえるでしょう。
オルフェでもバイトを雇うことがあります。
過去には、ゲーム製作のデバッグのために大量にバイトを雇ったことがありました。
この時、バイトは全員時間給でしたが、「時間」=「お金」の感覚の人と、
そうでない人の間には、仕事の出来にかなりの差がありましたね。
「時間」=「お金」という人は、監視の人がいないと、隠れて雑誌を読んでさぼったりします。
彼らは、自分の時間を売っているので、時間さえ拘束されれば、その間は何をしていても、罪悪感が薄いのです。
時間にとらわれない人は、作業による結果を出そうとしてくれます。
実は、お金を出す方は、この「結果」を買いたいのです。
結果を重視する人は、作業のための話もよく聞きますし(そうしないと結果が出せませんから)、より効率化した作業をしようとします。
時間を売ってる人にとって、効率は関係ないので、だらだら仕事をします。
ここで明らかな差が出ます。
オルフェでは、どんな社員も最初はバイトとして雇います。
最低3ヶ月、長いと1年ぐらいバイトとして使って、適正を見ます。
どんな仕事でもそうだと思いますが、最初からすべて出来る人はいません。
「修行」「研修」と呼ぶような期間がどうしても必要になります。
この期間は、結果も出しにくく、雇う側にとっては「赤字覚悟」の雇用です。
この期間をどこまで短く出来るかは、雇用主にとって切実な問題です。
上記したように、バイト感覚の人は、いつまでたってもこの期間が終わりません。
当然、正式採用となる前に業界を去ることになるのです。
蛇足
今の話には、ひとりだけ例外がいます。
当社で修行して、今、シナリオライターをしているAくんです。
彼は、かならず定時に帰る男でした。
しかも、興味がないない分野の仕事を頼むと、まったく成果が上がりませんでした。
とにかくダラダラ時間だけを浪費するのです。
RPGのテストプレイを頼んだら、レベルアップ作業をせずに、
ひたすら全滅だけを一日繰り返してました。
ゲームに興味のない彼にとっては、「テストプレイ」とは、
ただ指定された時間、プレイすればよいと思っていたようです。
「それじゃ、ダメだ」と言っても、ゲームのおもしろさを理解出来てない彼には、
何がダメなのかも分からないようでしたね。
こんなAくんでしたが、好きな分野の作品のシナリオ作成の腕はありました。
そこで、彼には、独立してもらいました。
現在も、業界で働いてます。
ですが、私は彼と一緒に仕事をする気は、ありません。
なにせ興味がないものには、まったく反応がないので、
打ち合わせが成立しないのですよ、彼とは。
ある日などは……
私「そこはジョジョのパターンで行こう!」
Aくん「なんですか? 僕、漫画読まないんですよ」
別の日は……
私「それはZでやったからダメだろう」
Aくん「そうなんですか? 僕ファースト以外、見てないんです」
こんな調子でしたから……。
たとえ興味がなくても、「おもしろい」と思う心がなければ、
自分の好きな分野での応用もなくなっていくと思うのですがね〜。
それにしても、どうして彼が、未だに業界で仕事を続けてられているのか、私には不思議でなりません。
すくなくても、オルフェでは、
どんな分野にも興味を持てる、そして、熱中できる。
それ故に、時間を気にせず働ける。
そんな人材が欲しいですね〜。
以下、今後書きたいと思うテーマのメモです。
・私の修業時代
・業界を去った人々
・専門学校について
・新人賞の審査
・シナリオライターと漫画家の関係
・編集者と作家
・データ流失(モラルの話)
・採用時に重視すること
業界に入りたいと思っている人は、こんな人ではダメです。
何人もの新入社員を見てきて、
「こいつはダメだ」
と最初から分かる人がいます。
それは、どんな人なのか? そのことについて書きたいと思います。
これは比較的簡単に見分けが付きます。
いろんな話をしてみて、
批判的なヤツ、
ダメな部分しか指摘できないヤツ。
こんな人は、採用しても、まったく生き残れません。
考えてみれば、簡単なことなのですが、
先にも書いたとおり、この業界で仕事をするということは、
趣味ではやっていてないほど、その分野が好きでなくてはいけません。
好きな物に対して、批判ばかりしている人間なんていないでしょう。
(いるかもしれませんが、そのレベルでは真に好きとは言えないですし、
仕事にならないということです)
これは、悪い点に目をつぶれと言ってるのではありません。
本当に好きな人とは、悪い点も含めて、それを愛しているのです。
この深い愛があれば、イヤな仕事が来ても、その中から楽しみが見つけられます。
そういう人だけが、業界で生き残れるのです。
私は、そう思ってます。
もちろん、例外もいます。
例えばこんな人がいました。
その新入社員は、「映画紹介」の仕事がしたくて会社に入ってきました。
彼は、映画会社への資料集めにも率先して出かけます。
「こいつは物になる」と最初は思いましたが、
結果的に、彼はダメでした。
なぜなら、彼は「映画が好き」なのであって「映画紹介が好き」ではなかったのです。
ですから、映画会社に出かけ、資料を集めは率先しても、
紹介文の書き方など、勉強する気はまったくありませんでした。
彼は、一ヶ月で会社をやめることになりました。
この話には後日談があって、
退社した後も、彼は会社の名前を使って映画会社のまわり
資料をもらったり、試写会に出かけたりしていたようです。
ここまで行くと、「業界人として」というより
人間として「ダメ」と言わざるを得ないでしょう。
「アストレイ」の話が続いたので、別の話を。
今回のテーマは、「どうやったら業界で働けるのか?」です。
これからもこのテーマについては、書いていきたいと思ってます。
最終的には、優秀な人材をオルフェに迎えることが理想ですが、
(まじに、いずれはココで社員募集しますよ)
逆説的に言えば「こんな人は、業界に近寄るな」という資料かもしれません(笑)。
私は、前にいた会社やオルフェで、業界人として、
何度も新人募集の現場に立ち会い、
そして、いろんな新人を採用してきました。
そのほとんどの人に問題があり、やめています。
そんな「失敗例」を紹介することで、
これから業界を目指す人には、同じ失敗をしないようにして欲しいと思います。
まず、第一回は「業界は遊び場ではない」ということです。
「そんなの分かってるよ」と言われそうですが、
分かってない人が、とにかく多いのです。
「遊び」ではないとしても「趣味でお金が稼げれば、うれしい」ぐらいの考えの人は多いと思います。
しかしながら、それでは長続きしません。
趣味ならイヤなことはしなければ良いのですが、
仕事では、「イヤ」などとは言ってられません。
一例をあげます。
前の会社では、雑誌の映画紹介のコーナーの仕事を持ってました。
求人雑誌の広告では「映画紹介記事」という項目も業務内容に入れてました。
これが、失敗でした。
この項目ひとつで、かなりの人数の応募があります。
ですが、やってくる人間は「99パーセント」ダメ人間です。
全員が「タダで、公開前の映画が見られて、お金がもらえる」という甘い考えの人ばかりです。
彼らは、見た映画の魅力を人に伝えるための文章力もなければ、熱意もありません。
見たくない映画は見ませんし、つまらない映画の良い部分を見つける洞察力もありません。(映画紹介は一種の宣伝なのです)
さらに言えば、映画紹介の仕事だからと言って、本当に映画を見るとは限らないのですよ。(見ないで書かなくてはならないことも多い)
「映画を月に一本ぐらい見る」という人には、出来ない仕事なのです。
知識も、技量も、忍耐力も必要なのです。
なにせ、趣味ではなく、仕事なのですから。
基本的に普通の人は、趣味でお金を稼ごうなんて考えてはダメです。
趣味を大切にしたいなら、サラリーマンなど趣味と関係ない仕事に就いて、
純粋に続ける方がよっぽど有意義ですよ。
そうしないと、趣味なのに、その分野での犠牲を強いられることになります。
では、どのような人ならオッケーなのか?
答えは、「趣味のレベルを超えてる人」です。
映画紹介の仕事に向いてる人とは、
寝ても覚めても映画のことだけを考えているような人です。
言い換えれば、趣味ではなく生活そのものが、「映画」でなくてはなりません。
これは私が見てきたことですが、
業界で活躍している人は、本当に生活そのものが、仕事と密着しているのです。
歩きながらも、食事しながらも仕事のことを考えてます。
(多くの場合は、意識していないと思いますが、
無意識には考えています)
私もゲームの仕事をしていた時は、
仕事のゲームに疲れると、趣味で買ってきたゲームをする。
というような生活をしてました。
最近でも、外で仲間と食事をしている時、
全員がコーヒーを頼んだのに、一人で紅茶を頼んだ仲間がいて、
その出来事をヒントにしたシーンを、ある小説の中に書きました。
(ごく最近発表したやつです)
もちろん、全員が業界に入る前から、そのような生活をおくってるとは思いません。
私だって、業界に入る前は「趣味を仕事にしたい」と考えてました。
問題は「入ってから、意識を変えられるか?」なのかもしれません。
まあ、経験から言えば「ほとんどの人は無理」なのです。
「俺は出来る」、そう言う人は多いです。
社長という立場から言わせてもらうと、
この「出来るようになる人」を見極めるのが難しいのです。
ただ、「ダメだろう」という人は、かなりの確率で見極められます。
次回は、「ダメな人の見極め」について書きます。
ジャンク屋チーム、傭兵チームともに、物語の途中で追加されたキャラがいます。
本日は、彼らについて説明します。
ジャンク屋の「キャプテンGG」は、
実は生きていたファースト・コーディネイターのジョージ・グレンです。
(正確には、追加キャラではなく、本編からの移籍になるのでしょうか?)
その脳だけが、保管され生きていたというのは、
私のアイデアではなく、本編プロデューサーからの案です。
キャラの性格が本編と違うのは、
ぬえ森田さんの案と、ときた先生の案を、まぜこぜにした物です。
外見については、ときた先生案。
脳が保管されていたカプセルのデザインは戸田先生。
(設定画のカラーは、ときた先生が塗ってます)
このキャラも、ただ遊びで出したのではなく、
コーディネイターとナチュラルの関係論、
そして、「コーディネイターというものの本質はなんだったのか?」
を語らせるために登場させました。
つまり、コミックの中でジョージがナチュラルのロウに対して、
「君こそコーディネイターだ」と語るシーンのためですね。
(意味が分からない人は、ぜひ単行本を)
これは、本来なら本編アニメで語られるべき設定かもしれませんが、
ご存じのとおり、本編のテーマとして、
「コーディネイターとナチュラルの違い」は、重要ではなくなってました。
(ごく普通の関係(友達とか)にある、人と人との対立などのテーマが重要になってました。
ここに人種間の対立を持ち込むのは、得策ではないのです)
せっかく作った設定でも、本編のテーマを語るのに不要であるなら、
あえて表に出さないのは、正解だったと思います。
外伝は、そうした脇道となってしまった設定を
解説するのにも、効果的に機能したと思ってます。
傭兵チームの追加キャラは、「風花・アジャー」です。
このキャラも、正確な追加キャラとは言えないかもしれません。
文字資料だけなら、最初から「ロレッタの娘」として、
設定されていたからです。
当初、私は、風花を物語に登場させるつもりはありませんでした。
ですが「風花は、いつ登場するのか?」という問い合わせが多く、
「そんなに期待されてるなら」と小説版から登場させました。
「傭兵チームのメンバー紹介を子供の視点から描いたら
ちょっとおもしろいかも?」
というような軽い気持ちだったのを覚えてます。
この小説を入稿した時、それまで一度も原稿の
感想をいわなかった担当さんが「おもしろかったです」
と、電話してくれたことを覚えてます。
風花のデザインは、緒方さんの挿絵がもとになってます。
そこから、ときた先生がコミックに登場させ、
最終的にお二人の絵を見て、植田さんがキャラ設定にまとめました。
つまり、それまでのキャラとは、逆パターンで外見が作られました。
風花は、アストレイのシリーズの中でも、もっとも
イレギュラーな存在でした。
こんなに登場することになるとは夢にも思ってませんでした。
(男女どちらからも、人気があるようです)
彼女のすごい所は、彼女と係わったキャラは、彼女に引っ張られるように
キャラが立っていく(人気が出てくる)ということです。
ここまで行くと、もう計算して作れるキャラではないですね。
風花は、生きていて、勝手に動き回っている。
私は、そんな風に感じてます。
たまに、ときた先生と、十年後のアストレイについて話したりします。
その時、風花がどうなっているのか?
私も、ときた先生も、いろいろな予想をしてますが、
おそらく当たらないでしょうね。
彼女は、作者の思惑なんて、完全に超越してますから。
分かってるのは、十年後だろうと、二十年後だろうと、元気にやってるということだけです。
今回は、傭兵チームについて説明します。
まず劾ですが、ロウとの対比の意味も含め、
「ミスター・パーフェクト」としました。
欠点のないキャラです。
当時、ぬえ森田さんに「劾は、どのようなキャラか?」と聞かれ、
「SEED世界で一番強いキャラです」と、答えたのを覚えてます。
その時、「キラより強いのは、ありえない」と言われたので、
「単純な強さでは負けたとしても、
絶対に勝てる状況に追い込んでから戦うキャラなので、最強です」
と答え、「傭兵として合格」とお墨付きをいただきました。
小説2巻のあとがきにも書きましたが、
劾は、完全な所が、欠点となっているキャラです。
彼は、仲間の存在なしでは、成立しません。
(この点で、ロウと対局にいます。
ロウは、一人でも大丈夫な所がありますから)
相棒のイライジャは、これまた対比を考えたキャラです。
劾の逆で、一言で言えばダメダメ。
(そのかわり超美形ですが)
「コーディネイターなのに、その資質を持たない」という設定は、
最初に,ぬえ森田さんにコーディネイターについて説明を聞いたときに、
「全員が完璧にコーディネイトされる訳ではなく、
予想外の姿や能力で生まれる者もいる」
という話から思いつきました。
※外伝というポジションの作品なので、出来る限り、
本伝の設定の幅を広げるように考えています。
※リーアム兄弟がコーディネイターとナチュラルの兄弟というのも
この考えに基づいて作った設定の一つです。
リードは、ジャンク屋チームのプロフェッサーと同じ役割で、
「なんでも知ってる便利キャラ」です。
おそらく作者も知らないような劾の過去も
知っていることでしょう。
こちらも「とぼける(すべて話さない)」ために、
酔っぱらいにして、話をはぐらかせるようにしました。
ロレッタは、ポジションとしてはヒロインですが、
このキャラも外伝として、わざと「シングルマザー」という
ヒロインとしては、ありえない設定を導入してます。
ただし、SEEDとしての本質(?)を踏襲するため、
「大人の女性」としてメンバーを見守る部分はのこしてます。
(マリューなどのキャラと同じですね)
蛇足
彼女は、現在では褐色の肌をしておりますが、
キャラをデザインした時には、その設定はありませんでした。
色を決める段階で、この肌の色になりました。
そのため、初期に描かれたスニーカーの挿絵では、
金髪の白人だったりします。
風花は、初期設定では、「ロレッタの娘」としてだけの存在であり、
年齢以外はなにも設定していませんでした。
(登場させる予定も、ありませんでした)
次回は、敵のつもりでしたが、
ジャンク屋の追加メンバー「キャプテンGG」と、
傭兵の追加メンバー「風花・アジャー」について書きます。
※以下はキャラの設定製作について説明してます。
ファンの方が読むと、夢が壊れる部分があるかもしれません。
気をつけてください。
まずは、二人の主人公、ロウと劾を対比関係に作りました。
ロウは熱血。いい加減。
劾はクール。まじめ。
そこから、人間関係を広げていきます。
とりあえず本日は、
ジャンク屋チームをご説明。
基本は、やはり対比。
ロウは、「いい加減」に見える部分がありますから、
かっちりしたキャラとして、サブにお堅いコーディネイターの「リーアム」を配置。
このキャラには、作品のテーマでもある「コーディネイターとナチュラル」の関係論を展開するために「兄はナチュラル」という設定を導入しました。
外見は、まじめでまっすぐな部分を表現するため、
「やせて、髪が長く、すべてが『線』で構成されている」と指示しました。
ヒロインの「樹里」は、本伝の女性がすべて強い女性のように見えたので、
真逆の「心配性のネガティブキャラ」としました。
物語には、「すべてを知ってる役」がいると便利です。
そこで「プロフェッサー」を作りました。
このキャラは、「知ってるけど言わない」部分があった方が、より便利なので、
謎キャラ部分を持たせてます。
本伝で艦長が女性という部分が「SEED」らしさだと思った私は、
こちらのリーダー(らしき)プロフェッサーも女性としました。
ジャンク屋チームの最後のひとり疑似人格コンピュータの「8」は、
ジャンク屋というキーワードを明確化するためのキャラです。
ガンダムという作品は、通常モビルスーツに乗ってしまうと、
会話しにくくなるのですが、こいつがいれば、
同じコクピット内で会話も出来るので便利です。
ちなみに、8は、もっとも漫画という媒体を意識したキャラで、
「音声で喋らず、画面に文字を表示する」というのは、
漫画でなくては成立しません。
8のデザインは、デザイナーの植田さんも「どうしていいか分からない」というので、私がラフを描きました。
モチーフは数字の「8」です。なので、左右の真ん中に凹みがあります。
8は、ほとんど私のラフのままのデザインです。
※8の元ネタは、ぬえ森田さんのキャラ案にあった戦術用AIです。
結局、本伝の骨子が見えた段階で、人工知能が明確に存在しているようには
見えなかったので、8の出生には謎を作ることにしました。
(この謎には、答えがあり、すでに作品の中でヒントを出してます)
蛇足。
「アストレイ」がプラモーションでアニメ化された時、
監督は、8のデザインに「このままでよいのか?」とすごく悩まれてました。
「だってマスコットだろ?」と言われるまで、そんな風に考えたことなかったですが。
なにせ、ただの箱ですからね〜。
ちなみにアニメでは、音声で喋ってます。
蛇足2
初期のキャラ設定だと、内部構造がブラックボックスである8に対して、
プロフェッサーが解剖しようと、チャンスを伺っている。
というのが、あったのですが、結局一度も出す機会はなかったですね。
次回は、傭兵チームについてです。
その次は敵かな?
まず、ぬえ森田さんからキャラのアイデアをいただきました。
これは、かなりの数のキャラ案がありました。
私は、その中からジャンク屋と、傭兵を選択し、主人公にしました。
理由は、外伝ですから、本編とは違ったことをやりたかったからです。
外伝の役割として、
「世界観を生かしながら、本伝とは違う広がりを見せる」
ということを、最初から決めていました。
(のちのち解説しますが、「Xアストレイ」のみ、
違った方針で作っております)
この役割を考えれば、その時点で、正規軍の兵士は却下です。
ですが、戦争の時代を扱う以上、モビルスーツパイロットが必要です。
そこで、傭兵の登場となる訳です。
傭兵は、好きな軍に参加できるため、本編の戦い(事件)に絡めやすいというメリットもありました。
次に考えたのは、模型的展開です。
すでに模型誌での連載も決まっていましたので、
モビルスーツの改造が可能となるジャンク屋は、打って付けのキャラでした。
そうして、叢雲劾と、
ロウ・ギュールが生まれました。
ここまで読んで、みなさんお気づきだと思いますが、
模型誌のためにジャンク屋を設定しておきながら、
連載は傭兵チームで行っています。
これは、偶然と必然による結果なのですが、
模型誌としては、
「ちゃんと戦闘して作例をかっこよく見せられるキャラを求めていた」
これが大きい要因です。
逆にコミックの方では、ドラマをじっくり見せることが可能なため、
普通なら戦闘にならないようなジャンク屋を主人公としても、
物語を構成することが可能でした。
なお、スニーカーの小説は、最後まで、主人公が決まらなかったのですが、
バンダイホビーからの提案により、ガンダムエースのコミック1話の裏側を傭兵視点で描くことになりました。
この1話を書いた時点では、小説が「物語を深く掘り下げる」のに適していたから、
傭兵視点で裏側を描いただけで、ずっと傭兵の物語を描く予定はありませんでした。
実は、ある程度掲載内容を決めた時点で、
角川書店→ジャンク屋
メディアワークス→傭兵
という、緩やかな縛りが存在してました。
(それがなかったら、少年エースは傭兵コミックだった可能性が高いです)
ですが、角川のスニーカーに対しては、みなさん寛大で、
そのまま傭兵で小説を続ける許可をいただくことができ、
結果として、最後まで、劾の物語を展開していくことになります。
ジャンク屋は二誌ともコミック
傭兵は二誌とも小説(模型誌はショートストーリー+写真という構成だった)
という、結果的に妙な収まりになりました。
(これは、これで、良かったと思ってます)
とりあえず、
これで、各掲載誌での主人公は決まりました。
主人公がきまれば、サブキャラも、物語も自然と決まります。
(私は、いつも、まず主人公を作ります。
物語やテーマは、主人公の後から自然と付いてきます。
たぶん、テーマより主人公を先に作る作家は、珍しいのではないかと思います)
次回は、サブキャラたちについて書きます。
三年半前のある日、私にサンライズからお呼びがかかりました。
「新作のテレビシリーズの外伝を作ってほしい。
プロットは、ぬえの森田さんが作ってくれる」
ということでした。
これが「アストレイ」シリーズの始まりです。
ガンダムに外伝作品は多数ありますが、アストレイは以下の点で
大きく違います。
「本伝と同時展開である」
テレビ放映中に開始された外伝は、これしかないはずです。
「版権許諾ではなく自社作品」
一般の方には、わかりにくいかもしれませんが、
ほとんどのガンダムコミックやゲームは、サンライズやテレビ局から
版権を使用する許可をもらって作っています。
ですが、アストレイは、サンライズの自社作品であり、
コミックとテレビという媒体の違いはあっても、本伝と同じ扱いなのです。
最初から「ガンダムエース」、「電撃ホビーマガジン」、「ザ・スニーカー」の
三誌での連載が決まってました。
このころ、ガンダムエースは隔月誌で、
電撃ホビーは「AOZ」と交互に隔月で連載する予定だったようです。
また、スニーカーは、今でも隔月誌です。
そんな訳で、三誌での連載といっても、実質一ヶ月には1.5話です。
これは、それほど無理な話ではないように思えます。
(当時、私はチャンピオンの週刊連載と、ガンダムエースでの夏元先生の
コミックも担当してました)
やがて、どういう訳か「少年エース」でも掲載することになりました。
同時に四誌に連載するなんて、そんな作品聞いたことがありません。
(まあ、「SEED」に対する期待の高さの表れなのですが)
しかも、連載をはじめてみると、
電撃ホビーは毎月掲載。
ガンダムエースも月刊化されてしまいました!
気づけば、月に3.5話作ることに!
本伝のアニメが月4話ですから、それに匹敵する数です。
このころ、他の仕事も合わせると、平均で3日に一回締め切りがくる生活をしてました。
これが可能だったのは、
ぬえ森田さんや、シナリオライターの吉野さん、サンライズ下村さんの
完全なバックアップと、
ときた先生、戸田先生、各編集部による協力のおかげです。
(それでも、小説では、休みをいただくこともありました。
編集部のみなさん、ごめんなさい)
いよいよスタートした「アストレイ」。
次回は、アストレイの立ち上げ時の設定製作について書きます。
やっと、昔話から、多少の技術論へ入ります(笑)。