ある漫画家の話

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とりあえず二十年以上同じ業界で仕事をしていると、いろんな人と出会うことになる。 (まあ、これは、この業界に限らないかもしれないけど。変わった人はどこにでもいますからね〜) 私は、現在では、コミックのシナリオが主な仕事となっています。 ここで、今まで書かなかった漫画家さんについても、簡単にふれたい。 全員、漫画の仕事以外で出会った。 (前振りから分かると思いますが、変わった人たちです) Aさんの場合 ゲーム関係のデザインの発注で知り合うことに。 漫画での収入は、奥さんに管理されており、 今回のゲームの仕事は「奥さんに内緒でやる」と言われた。 最終的にギャラは「現金で手渡し」となり、 会社の近くの喫茶店で渡した。 私からお金の入った封筒を受け取るなり、中から札束を取り出し、 アロハシャツの胸ポケットに押し込んだのには驚いた。 「先生、はみ出てますよ」 と、声をかけそうになった。 (紙帯のついた束が複数あった) こんなにワイルドな人なのに、奥さんに財布の紐は握られているというのがおかしい。 ちなみに、ヤクザでも逃げ出しそうな強面(こわもて)の人なので、強盗に襲われる心配だけはなさそうだったが。 Bさんの場合 やはりゲーム関係のデザインを頼んだ。 ゲームに詳しくないというので、ゲーム機とソフトをプレゼントした。 これが失敗。 仕事の進みが極端に遅くなってしまった。 (気づくと、自分でソフトを買い足していた!) 結局オーダーした仕事をすべてあげてもらうことは出来ず、別のデザイナーに分担してもらった。 だが、ギャラを払う時に「最初に●●円と聞いた」と言って、譲らない。 「だから、それは全部納品された場合で、別デザイナーにやってもらった分は当然減ります」 そう説明しても納得してくれない。 「最初に●●円って言ったじゃない!」 そう繰り返すばかり。 こんな子供のケンカのような状態に、ばかばかしくなり、希望額を支払った。 ちなみにこの人は、別の仕事でも、原稿を放り出して温泉にいってしまった。 その時、この人が言ったセリフが「これだけあれば、いいじゃない」だった。 私は「作者の満足度と読者の満足度は違う。これでは商品としての売りが少なすぎる」と言ったが、思いとどまることはなかった。 蛇足 あとから別件で知り合った漫画編集者が、昔、この人を担当していたことが判明。 「急にゲームにはまって、毎回減ページになってさ〜」 と、愚痴られた。 すみません、それ、私の責任です。 Cさんの場合 この人は、大手玩具メーカーの社員だった。 この会社が、新規にパソコンゲームを出すというので、私は企画から参加した。 この人は、もともと絵描きで、昔、会社に入る前は、美少女水兵服戦士のアクションゲームのドット絵も描いていたらしい。 「ビーナスが、バク転するシーンで、スカートがめくれるんですが、 一コマだけパンツをはいてません。僕が書きました」 うれしそうに話してくれた。 ある時、打ち上げでカラオケに一緒に行った。 マイクの機能で男性の声を女性風に、女性の声を男性風に変えることが出来た。 その人は、女性風に変えてアイドルの歌を歌い、 どのくらい女性声になっているか、しきりに気にしていた。 (普段はオカマっぽい所は無かったが?) やがて、この人は大手玩具メーカーをやめて漫画家になった。 某青年週刊誌に連載を持ち、萌えキャラで残虐シーンをやったことで話題になった。 (この作品はアニメにもなった) 私は、雑誌を手にとって、ひどく驚いたのは言うまでもない。 自分へのメモ ・編集者編では、BBも。 ・大作家の話。

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このページは、千葉智宏が2006年3月10日 00:56に書いたブログ記事です。

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