アストレイのキャラ設定の製作秘話のつづきです。
今回は、敵について。
最初、アストレイでは、明確な敵を設定しないつもりでいました。
ですが、最後に連載が決まった少年エースの「R」では、
少年漫画らしい展開をすることになり、敵を作ることにしました。
そして作ったのが、情報屋の「ケナフ・ルキーニ」です。
ルキーニの原型は、戸田先生のアイデアからきてます。
戸田先生は、本編「SEED」の初期設定を見て、
「遺伝子情報をめぐる情報戦」
というようなドラマを想像されたようで、「そんな話は出来ないか?」
との提案を受けました。
ですが、本編の世界では、すでに遺伝子情報は(ほぼ)オープンになってます。
それに「情報戦」は、ジャンク屋の主人公で展開できるような話ではありません。
(提案を受けた時点では、まだ傭兵チームで書く可能性もありましたが)
最終的に、「情報をテーマに戦う敵」という部分だけを生かすにとにしました。
そこで誕生したのが、「情報で世界を操作する男」です。
彼は、完全に愉快犯であり、世界征服などとは縁遠い人物です。
その意味では、主人公のロウに近い存在かもしれません。
(自分の道を突き進むだけの存在、善悪とは関係ない)
ロウの物語に関係してくるのも、ロウに興味を持ったから。という単純なものです。
物語をよく読んでもらうと分かりますが、
実はロウは、終盤まで、この敵(ルキーニ)の存在を知りません。
(ルキーニが、ちょっかい出していることに気づいてない)
「敵がいるのに気づいていない」なんて、
いかにもマイペースのロウらしいでしょ?
その他、三誌のアストレイでは、中盤から共通の敵を作りました。
(この敵は「R」にも登場しますが、後記するように「R」では多少特殊な扱いです)
オーブ五大氏族サハク家のロンドです。
彼(彼女)の設定は、本編のシナリオライターである吉野さんのオーブに関する設定から、ふくらませて作りました。
アストレイのファンの方ならご存じでしょうが、
ロンドは、ロンド・ミナ・サハク、ロンド・ギナ・サハクの双子の姉弟です。
(外見上の区別は髪型。分け目が逆になります)
ロンドは四誌で連載していたアストレイ共通の敵でしたが、
すでにルキーニという敵が存在していた「R」では、その扱いを多少変えてます。
敵が多くなることをさけるため、ミナとギナの区別をしていないのです。
物語上、最初は弟ギナが登場し、ロウたちとの戦いに敗れて死にます。
その後、姉ミナが登場するという展開でした。
(「R」では、二人を区別していないので死ぬシーンがありません)
二人には、少し仕掛けがあります。
ロンドは、男か女か分からないデザインです。
そこで読者に「どっちだろう?」と思わせておいて、
「男です」という答えを与え、直後に「女も居ました」と驚かせる。
というものです。
※キャラの顔の出ない電撃版のみ最初から「男」としておいたのてすが、あまり気づいた人はいなかったようです。
ミナは、作者の予想を超えた人気を獲得し、最終的には、
敵ではなくなってしまいました。
(詳しくは、「Dアストレイ」を見てください)
ロンドの搭乗機が主人公メカのひとつ「アストレイ」だったことも、キャラが立つ要因のひとつだったかもしれません。
彼女をファンの人は、「ミナ様」と「様」付けで呼んでいるようです。
作者としては、敬称付きで呼ばれるようなキャラが作れたことを、大変うれしく思います。
たぶん、アストレイの中では、彼女だけ敬称が付いてるんじゃないでしょうか?
(なかなか居ないんですよ、敬称付きで呼ばれるキャラって。
作者の記憶で一番に出るのは、「ラムちゃん」かな?)
以下、書きたいことのメモ
・アストレイのメカについて
・パワーアップについて
・「Xアストレイ」について
・「Dアストレイ」について
・MSVについて
・それぞれの1話について
・大河原メカについて
・阿久津さんについて
・植田さんについて
・町田メカについて
・プラモーションについて
・各話の引きについて
・シリーズの構成法
・キャラの名前の由来
・作者にとって意外なキャラ