2話にして、シナリオ作業が大きく遅れたのを覚えている。
理由は、テレビとのリンクにある。
シナリオ段階では、まだアニメで要塞アルテミスは登場しておらず、
設定とアニメのシナリオから推理して書いた。
レッドとブルーの両方が登場するガンダムエース版では、
この特徴を生かした構成を心がけ、
二話では、両者が激突する話となっている。
当初の予定では、アルテミスから逃亡したガルシアをロウたちが拾い、
ガルシアにだまされて傭兵たちと戦う構成を考えていた。
「傭兵に要塞を追い出されたんです。たすけてください〜」
というような情けない感じを想定していたが、
ガルシアの声優さんがきまり、
そのキャストをみて「そんなキャラじゃない」と判断、
傭兵の方を知略(?)でだます形に落ち着いた。
構成として、冒頭のカラーページでレッド対ブルーを見せたかったので、
(そうしないと同型機は、判別が難しい)
いきなり山場からはじまり、
モノクロで、きっかけのシーンに戻るようになっている。
本来、時系列を前後させるのは、読者が混乱するのでやらないが、
これはカラーの有効利用のため、いたしかたなし。
余談だが、このカラーに描かれたブルー(フルウエポン)は、いろんな所で流用され、けっこう有名なイラストとなった。
たしかときた先生のスタジオで作画中にアルテミス編の放送があって、
放映を見て、急遽、アルテミスの傘の処理を変更したとうかがった。
この話で一番やりたかったのは、
「同型機で、武器を奪って使う」
ということ。
ガンダムという作品は、量産機が多数でるが、おそらく同型機が相手武器を奪って使ったことは、ほとんどないのではないか?
二機のアストレイの使い方も、傭兵らしさと、ジャンク屋らしさを全面にだしている。
(劾は、多数の装備、ロウは、節電のために片腕の機能を捨てるなどの使い方)
ガルシアのギブスの中の銃や、イライジャの足技(カポエラ)などは、ときた先生の案。
劾がサングラスを外してイライジャにアイコンタクトするシーンは、女子に人気があったようですが、作者としてはまったく予想外の反応でした。
予想外と言えばガルシア。
まさか、こんなに何度もアストレイに登場するとは考えてませんでした。
すっかりアストレイのキャラです。
(なぜか出すと人気もある)
ブルーのフルウエポンは、Bクラブからキット化もされました。
SDガンダムのプラモデルの説明書では、レッド対ブルーが再現されています。
これも必見。
アストレイ: 2006年3月アーカイブ
作品の各話を解説するコーナー。その1です。
今のところ、全話やるつもりですが、かなりの話数なので、途中でやめてしまうかも。
この1話、シナリオを書いた時点で、50ページ近くなることが分かってました。
私は個人的に「漫画は1話40ページまで」という決まりを作ってます。
たくさんページがあっても、読者が途中で、だれて(飽きて)きてしまうからです。
飽きさせないために、内容を盛りだくさんにすると、今度は読んでいて疲れてしまいます。
そのバランスが取れているのが、30〜40ページという訳です。
この1話のシナリオは、シリーズの中で一番最初に書いたものなので、
シナリオ状態でサンライズにチェックしてもらいました。
(現在はシナリオチェックの必要はなくなり、コマ割したネームをチェックしてもらってます)
その段階で、「結構なページ数になりそうだ」と、お話ししました。
するとサンライズからは「何ページでも大丈夫だよ」という返事。
新作ガンダムの外伝である本作の期待度は高く、雑誌としても、
一番よいと思われるページ数を確保してくれるというのです。
「では、ときた先生と検討してみます」
と、その場ではページ数を保留。
まずは、そのままのシナリオをときた先生に渡してネームを切ってもらいました。
数日後、ネームが出来たという連絡をもらったのてすが、見てびっくり。
あの内容すべてが36ページに収まっているのです。
実際のネームに目を通してみると、かなり圧縮された内容になってました。
これは、長くときた先生がボンボンでテレビ4話分を漫画1話に納めるために培われた技術が発揮されたネームでしたが、読んでみて、感じたことは「今回はこれではない、違う」ということでした。
そこで、急遽、編集担当と私でときた先生の所におじゃまして、最初のページからネームについて細かい打ち合わせをすることになりました。
まずお願いしたのは、
「アストレイはアニメの漫画化ではないので、そのものが本物のガンダム作品になるようにしましょう」ということです。
ココでは、細部について言いませんが、一例を挙げるなら、最初のシーン。
崩壊したへリオポリスにロウたちのキメラが侵入するシーンですが、シナリオでは数行しかありません。
最初のネームでは、シーンごとなかったか、あっても1コマだったように記憶してます。
(こういった物語に関係ない、段取りのシーンは、通常、カットされる一番の対象になります)
ですが、ここは新作の冒頭として「どきどき」する間(ま)が必要でした。
そこで、ファーストの1話のサイド7に潜入するザクのようなシーンにしてもらいました。
(これぞ、ありがたい先人の知恵です)
終電がなくなるギリギリまで打ち合わせし、再度ネームを出してもらいました。
(実際には終電に間に合わず、タクシーで帰りました)
そうして、誕生したのが、あの1話です。
ページはモノクロだけで48ページとなりました。
ときた先生のボンボンでの作品と比べると、その構成のスタンスがまったく違うことに気づかれると思います。
さすがときた先生はプロです。こちらの希望を正確に読み取ってくれました。
1話について、その他気をつけたのは、とにかくキャラの個性を押し出すことです。
たとえば、へリオポリス内で、ロウは空気があるか確認もせずにマシンを降りてしまいます(無茶)。樹里は、ロウが降りたので、降ります(ロウを信頼)。ところが、リーアムはそれでも降りません(現実主義)。
主人公のロウを一番生かすセリフは、
アストレイを破壊すると言う劾に向かって
「おまえには渡せない。破壊するなんて、もったいなくてな!」
という所です。
このセリフを聞いた劾は、ロウに対して、仕事以外の興味を覚えます。
そして、人として接するためヘルメットを脱ぐのです。
本当は傭兵チームも全員出す予定でしたが、そこまでは行かなかったので、イライジャに「ロレッタ」という名前を口にさせて、「他にもメンバーがいるよ」ということを示してます。
(余談ながら、この回だけ、イライジャが「ボク」と言ってます。
シナリオがそうなっていたからですが、作画を見たら、予想より「へたれ」だったので、そのまま「ボク」だと、よけいヘタレると思い、以後は「オレ」にしました)
この時、ホームに残ったプロフェッサーと、イライジャの二人。
ときた先生との打ち合わせで、二人がラブラブになる展開も考えてましたが、結局やめてしまいました。
うろ覚えですが、ときた先生のと所にいらっしゃる女性アシスタントに反対されたんじゃなかったかな?
最後にロウの言う「死んだ爺ちゃんが、よく言ってたぜ」は、
当初、ロウの口癖にするつもりでしたが、
「他人の意見ではなく、自分の意見で行動するキャラ」になったため、
使わなくなりました。
※仮面ライダーカブトも同じようなセリフ言いますが、キャラと合っていないような……。今後なくなるかもしれませんね。
この1話では、どうしても直したいコマがあって、
ときた先生に単行本収録時に描き直してもらいました。
事件が解決し、ホームに集まったメンバーのシーン。
ホームに傭兵たちのモビルスーツも降り立っているのですが、
修正版では、これがホームのクレーンでモビルスーツをつかむ形になってます。
こういう細かいメカ描写は大切にしたいと思い、修正してもらったのです。
本当は雑誌掲載前に気づけば、先生にも負担がかからないのてすが、
なかなか、うまくはいきません。
いきなりタイトルに反すること言いますと、スニーカーがまだ残ってるので、完全な完結ではないのですが、ガンダムエースと電撃ホビーマガジンの連載が今月号で終了しました。
ガンダムエース版は、
英雄(ヒーロー)として大きく成長してきたロンドというキャラに対し、
普通の視点を持ち続けたジェスというキャラを、どうとらえるのか?
ジェスが主人公であることは間違いないのですが、
彼はまったくヒーローではありません。
平凡の極致です。
このことを考えている時、ある日突然、このラストを思いつきました。
と言うより、最初から答えはあって、登場人物たちはみんな知っていて行動していたようです。
いつもどおり、「巨悪を倒して終わる」のではなく、
「未来への希望を示して、一歩踏み出す」最終回ですが、
どうでしょうかね?
今回、ある人物が死にます。
これはけっこう悩みました。
一言で言って「もったいないキャラ」なのです。
彼には、まだまだ活躍させてあげたかった。
ですが、これもキャラ本人から
「アタシがココですべてを精算しなきゃだめでしょ」
と諭されて、希望通り行動してもらうことになりました。
電撃ホビーマガジン版は、
キャラ総出演になってます。(本当に全員ではありませんが)
これはアストレイだけでなく、MSVも含みます。
序盤に出てくるコートニーの話を読んでおくと、
今月末に出るホビージャパンのムックにぬえ森田さんが書き下ろしされたMSV戦記が2倍楽しめるハズです。
ジャパンといえば、今月号は、こちらも「Dアストレイ」の特集(?)です。
すごく作品を褒めてあって、ちょっと気恥ずかしい感じですが、
なかなかよい作例が載ってますので、ぜひチェックしてみてください。
電撃の今回のタイトルは「パーティー」。
もちろん、「みんなが集まって大騒ぎ」というパーティーでもありますが、
もうひとつ英語本来の意味である「仲間」ということでも、このタイトルにしました。
ちなみによく読むと次回作のアストレイのヒントや、「スターゲイザー」のネタも
隠されてます。
「Dアストレイ」、あとはスニーカーの最終回のみとなりました。
最後まで応援よろしくお願いします。
※前に記したとおり、ちゃんと完結したら、このブログにも「Dアストレイ」のネタを書いていきたいと思ってます。
※追伸
新作アストレイの準備で忙しく、ブログの書きためが出来ない状況です。
毎日楽しみにしている人(いるのか?)は、申し訳ありません。
今回は敵について。
ケナフ・ルキーニ
ケナフは、木(パルプ)の代わりに紙の材料となる植物のこと。
「紙」=「神」で、神のように情報(紙)を操るということで。
ルキーニは、オーストリア皇后エリザベートを殺害した犯人の名前。
この人、なぜやったのか理由が不明。
「本当はなにか裏事情をつかんでいたのではないか?」
という所から、裏社会の情報屋の名前にした。
実はこの名前になる前は、もっと「思想」や「哲学」の名前にしようとしたが、
戸田先生に反対されてやめました。
ロンド・ミナ・サハク
ロンド・ギナ・サハク
サハクは、オーブ五大氏族の名前のひとつとして吉野さんの資料の中にあった。
使用時にサンライズに確認したところ、オッケーだったのだが、
実際に本編で使うことはない資料だと聞かされた。
あとで、吉野さんは、「アストレイ」にサハク家が出で居たのを見て、たいそう驚かれたそうです。(資料自体がボツになったと考えていたらしい)
安心してください、吉野さん。
ちゃんとサンライズの許可をもらってます。
ロンドは、「輪舞」から。
この名前なので「踊れ」が決めゼリフなのです。
姉のミナ、弟のギナは、日本神話のイザナミ、イザナギからとってます。
なぜ日本神話かと言えば、オーブだからという以外理由はありません。
ちなみに「イザナ」とは「誘う」という意味で、
この名前のためか、ロンドはやたらと人を誘うキャラになりました。
名前を付けた時は、ぜんぜん意識してませんでしたが。
(正直、ここまで生き残るとも思ってなかったし)
アッシュ・グレイ
アッシュは、「灰」です。
彼は、シリーズをとおして唯一の極悪人にすることが決まってました。
(後に「Dアストレイ」で再登場したら、ちょっといい所をみせましたが)
すでに人間として終わっているキャラ、だから灰。
灰って、燃え尽きていても、かなり高温になるんですよ。
炎も出さず、光も出さずに、ただ触れた者に火傷を負わせる灰。
それが彼のイメージです。
グレイは、宇宙人でおなじみの「グレイ」です。
これは戸田さんのアイデア。
「人間ではない者」ということで採用しました。
・自分へのメモ
Xのキャラについても書く。
あと、ソキウス、ヴェイア。
メカの名前
ロレッタ・アジャー
むか〜しの女優さんの名前を組み合わせたモノ。
ロレッタは、私の中ではモノクロ映画に出でくる安酒場の人気歌手みたいなイメージがある。
荒っぽい男たちに人気で、人生を語れて、色っぽいのに子供にやさしい母性的な部分もある。
同じ色気があってもプロフェッサーとは対局にある人物。
(チームの中で一番「メンバーのことはなんでも知ってる」という点で二人は共通だが)
リード・ウェラー
情報収集に長けている傭兵なので、
「リード」は、「読む」から採用。
劾をリード(導く)する先輩としての意味もある。
ウェラーは、俳優の名前から拝借。
この名前の俳優さんが、外見が似ていたモノで。
(モデルではないです)
余談となりますが、外国の俳優さんのカタログは、私のような職業の必須アイテムです。
キャラデザイナーの人に俳優さんで指示すると、すごくわかりやすいです。
ちなみに、なぜ外人かと言うと、キャラが漫画なみにはっきりしているからです。
ガンダムゲームでは、よくこの方法で発注します。
※アストレイでは、やってません。
風花・アジャー
劾の所でも書きましたが、日本名なので、自然に関する名前です。
なぜロレッタの娘なのに日本名かというと……
チームで日本名なのは、劾だけです。
ロレッタはシングルマザー。
そして、子供は、日本名。
このあたりの微妙な関係で、いろいろ想像を巡らせて欲しかったからです。
「劾の子供」と思ってもいいですし、
「ロレッタは劾が好きで、子供に彼と同じ日本名を付けた」でもよいです。
みなさんの想像におまかせします。
まあ、もうキャラが確立しているので、上記のような
想像をする人はかなり少ないと思いますが、
序盤でチームの人間関係を「楽しむ」のには役だったと思います。
ちなみに「風花」とは、晴れている日に雪が舞ってくる現象のことです。
※大昔に掲載されたスニーカーの座談会の解説は間違ってます。
校正段階で、修正をお願いしたのに、直らなかった。
私は、あんな発言してません。
晴れていて、雪がふる不思議さ。
そして、元気に軽やかに舞う感じが、イメージにあうと思いました。
風花にはモデルになった女優さんと子役さんがいます。
二人のイメージをごっちゃにして作ってます。
8(ハチ)
ロウの相棒、コンピューターの「8」。
数字ですが、名前としても通用するということで採用。
8は、「オーガス」の大尉をモデル(参考)にしてます。
自分では戦わないくせに、戦闘についてウンチクを言い、態度がでかい。
※私は、すごく先人のアイデアに助けられてます。
そのまま使えば、盗作ですが、参考にするのは良いことだと思います。
8と大尉も、実際比べれば、まったく物語でのポジションが違います。
次回は、敵、その他の名前について。
プロフェッサー
本名ではなく通り名(ありまえ)。
私は、この「通り名」というのが好きなので、けっこう作品で使っている。
ときた先生と組んだ「SD英雄伝」では、本名不明「通り名」キャラが敵にいる。
ちなみに当社で作った「ごきんじょを探検するゲーム」に登場する天才少女「ドクター」を意識して、この名前にしてみました。
※結局、「ドクター」も、MSVで出てしまいますが。
イライジャ・キール
「相棒」という点を意識して、私が一番に思い浮かぶ「相棒」から名前を頂戴しようと考えた。
それは、「鋼鉄都市」というアシモフ(ぬえ森田さんは正しい発音に近いアジモフと呼ぶ)のSF小説に出てくるロボット。
ロボット嫌いの人間の刑事と、コンビを組むロボット刑事で、名は
R・ダニール・オリボー。
(余談だが、R・田中一郎の元ネタはこれでしょう)
だが、このダニール、とっても立派でお堅い人(ロボット)で、どちらかというと劾に近い。
逆にダニールの相棒である人間の刑事の方が愛すべきダメ人間で、キャラが近い。
そこで、急遽、人間の刑事イライジャ・ベイリから名前を頂戴することにしました。
それで、イライジャ。
ダニールから見れば「相棒」なので、問題なし、と決めました。
(指輪を捨てる映画の俳優さんとは関係ありません)
キールは、実際にある名前で、「斬る」や「KILL(殺す)」に音が近く、傭兵らしい感じがしたので採用。
ただし、この名前はサンライズで「キラに似ているから却下」と言われてしまった。
もう自分の中では、この名前に決まっていたので、なんとか説得。
採用されることとなった。
余談となりますが、まだテレビ本編のキャラデザインが決まる前に
植田さんが書かれた本編キャラのラフ案があります。
「アストレイ」が植田さんに決まった時、それを見せてもらったのですが、
その中ですごく印象に残る美少年がいました。
(実際のテレビで平井さんがデザインされているのより美少年です)
「このキャラ、すごくイライジャのイメージだな〜」と思ったのですが、
特にそのことは指定せずにイライジャのデザインに入ってもらいました。
そして、あがってきたデザインをみて驚きました。
その時の美少年だったのです。
運命を感じましたよ。
余談2
アストレイがプラモーションでアニメ化される時、
植田さんがキャラのデザインをリニューアルしたのてすが、
イライジャだけは、変わってません。
理由をお聞きしたら「これ以上の美少年は書けない」という答えでした。
そう、イライジャは、代わりが居ない、植田さん一番の美少年なのです。
山吹樹里(やまぶききさと)。
ジャンク屋のヒロイン。
劾の説明でも書いたが、日本名は、自然をモチーフにしている。
だから、「山吹」と「樹里」。
実は、この名前にはもうひとつネタがあって、
ある舞台で見たダンスのうまい女優さん二人の名前をつなげている。
その女優さんの一人は「じゅり」だったが、キャラのイメージから
「きさと」と読ませることにした。
※この方が弱く感じられたので。
この名前をサンライズに伝えたら、
下村さんに「『きさと』って、飲み屋の名前みたいですね」
と言われたのを覚えている。
今考えると、「きさと」にしたのは正解だった。
もし「じゅり」にしていたら、テレビ本編のキャラとかぶることになる。
余談だが、
ガンダム作品のキャラ名を決めるときは、
極力、前に使われていない名前を使用することにしている。
「D」の「ベルナデット」は、うっかりミスで、かぶってしまった。
まさか、こんなマイナーの名前が前に使われているとは……。
リーアム・ガーフィールド
ロウの右腕だから「リーアム」。
ガーフールドは、実在の名前。
前から「ガンダム空間」みたいで、いいと思っていた。
ちなみに、彼のお兄さんは、シニスト・ガーフィールド。
シニストは、左側[sinister]から。(弟が右なので)
この言葉には、「縁起が悪い」という意味もある。
リーアムと双子だが、リーアムがコーディネイターなのに対し、
この兄さんはナチュラル。
この二人の関係は、ガンダムエース3話でやったが、
出来ればもっとリーアムのバックボーンを描いてからやれば良かったと後悔している。その方が盛り上がったハズだ。
リーアムって、なかなか活躍させられなかったキャラの一人。
どうしてもロウの影になってしまう。
※その分、ロウのいない「D」では、驚異の大出世してますが。
キャラの名前の由来をご紹介。
私の作るキャラの名前には、かならず意味がある。
それを紹介していこうと思う。
まずは、ジャンク屋のロウ・ギュール。
ロウは、実際に人の名前として存在している。
この綴りが「LOVE」と一文字違いなのが、おもしろいと思い、
いずれ作品で使おうとストックしておいた名前だ。
(物語では、孤児院の担当が『ラブ』という名前の「V」部分を二度書きしてしまったという設定にしている)
ギュールは、古代イタリア語の赤(Gulese)から。
なぜ赤かと言えば、レッドフレームに乗っているから。
(言わなくても分かりますね)
私は、この当時、イタリアにどっぷりはまっていた。
ちなみにジャンク屋組合は、ルネッサンス期のイタリアの職業組合(ギルド)をモデルにしている。
もう一人の主人公、叢雲劾。
劾については、サンライズから、「日本名」で「カタカナ表記で英名にも見える名」という注文があった。
これがなかなか難しい。
とりあえず「ガイ」を提案したが、
「某勇者王と同じ名なので、好ましくない」
ということになった。
とりあえず「ガイ(仮)」という名前で作業を進めながら、再び頭を悩ませる日々を送った。
そんなある日、事件が起こる。
新宿のある模型店に買い物にいった私は、バンダイの小売店向け資料が店に張り出されているのを見た。
そこには、テレビに先駆けて展開する外伝「アストレイ」が紹介されていた。
そして、その資料には傭兵部隊のリーダー「ガイ」の名前がはっきり書かれていたのだ!
「(仮)が取れてる!」
私は、すぐにサンライズに連絡をとった。
結局、私がなかなか新しい名前を決めなかったために起きたミスだった。
しかし、ミスとはいえすでに発表されたモノを変更するのもおかしいので、「ガイ」で行くことになった。
ただし、某勇者王とは違う漢字を使用することになった。
そして「劾」とした。
名字の「叢雲」は、「日本名にするなら、自然現象の名前がよい」という発想からだ。
※ちなみに「風花」も同じ法則に則っている。
劾の場合、ブルーフレームに乗っているので、「青い空」に関係ある名前にした。
「叢雲」の詳しい意味は、自分で調べてみてほしい。
おそらく出生の秘密から考えて、親が付けた名前ではない。
この名前は、劾自身か、かなり近い位置にいた人間が付けたものと思われる。
その人は、劾が一人では生きていけないことを知っていたのでしょうね。
アストレイのキャラ設定の製作秘話のつづきです。
今回は、敵について。
最初、アストレイでは、明確な敵を設定しないつもりでいました。
ですが、最後に連載が決まった少年エースの「R」では、
少年漫画らしい展開をすることになり、敵を作ることにしました。
そして作ったのが、情報屋の「ケナフ・ルキーニ」です。
ルキーニの原型は、戸田先生のアイデアからきてます。
戸田先生は、本編「SEED」の初期設定を見て、
「遺伝子情報をめぐる情報戦」
というようなドラマを想像されたようで、「そんな話は出来ないか?」
との提案を受けました。
ですが、本編の世界では、すでに遺伝子情報は(ほぼ)オープンになってます。
それに「情報戦」は、ジャンク屋の主人公で展開できるような話ではありません。
(提案を受けた時点では、まだ傭兵チームで書く可能性もありましたが)
最終的に、「情報をテーマに戦う敵」という部分だけを生かすにとにしました。
そこで誕生したのが、「情報で世界を操作する男」です。
彼は、完全に愉快犯であり、世界征服などとは縁遠い人物です。
その意味では、主人公のロウに近い存在かもしれません。
(自分の道を突き進むだけの存在、善悪とは関係ない)
ロウの物語に関係してくるのも、ロウに興味を持ったから。という単純なものです。
物語をよく読んでもらうと分かりますが、
実はロウは、終盤まで、この敵(ルキーニ)の存在を知りません。
(ルキーニが、ちょっかい出していることに気づいてない)
「敵がいるのに気づいていない」なんて、
いかにもマイペースのロウらしいでしょ?
その他、三誌のアストレイでは、中盤から共通の敵を作りました。
(この敵は「R」にも登場しますが、後記するように「R」では多少特殊な扱いです)
オーブ五大氏族サハク家のロンドです。
彼(彼女)の設定は、本編のシナリオライターである吉野さんのオーブに関する設定から、ふくらませて作りました。
アストレイのファンの方ならご存じでしょうが、
ロンドは、ロンド・ミナ・サハク、ロンド・ギナ・サハクの双子の姉弟です。
(外見上の区別は髪型。分け目が逆になります)
ロンドは四誌で連載していたアストレイ共通の敵でしたが、
すでにルキーニという敵が存在していた「R」では、その扱いを多少変えてます。
敵が多くなることをさけるため、ミナとギナの区別をしていないのです。
物語上、最初は弟ギナが登場し、ロウたちとの戦いに敗れて死にます。
その後、姉ミナが登場するという展開でした。
(「R」では、二人を区別していないので死ぬシーンがありません)
二人には、少し仕掛けがあります。
ロンドは、男か女か分からないデザインです。
そこで読者に「どっちだろう?」と思わせておいて、
「男です」という答えを与え、直後に「女も居ました」と驚かせる。
というものです。
※キャラの顔の出ない電撃版のみ最初から「男」としておいたのてすが、あまり気づいた人はいなかったようです。
ミナは、作者の予想を超えた人気を獲得し、最終的には、
敵ではなくなってしまいました。
(詳しくは、「Dアストレイ」を見てください)
ロンドの搭乗機が主人公メカのひとつ「アストレイ」だったことも、キャラが立つ要因のひとつだったかもしれません。
彼女をファンの人は、「ミナ様」と「様」付けで呼んでいるようです。
作者としては、敬称付きで呼ばれるようなキャラが作れたことを、大変うれしく思います。
たぶん、アストレイの中では、彼女だけ敬称が付いてるんじゃないでしょうか?
(なかなか居ないんですよ、敬称付きで呼ばれるキャラって。
作者の記憶で一番に出るのは、「ラムちゃん」かな?)
以下、書きたいことのメモ
・アストレイのメカについて
・パワーアップについて
・「Xアストレイ」について
・「Dアストレイ」について
・MSVについて
・それぞれの1話について
・大河原メカについて
・阿久津さんについて
・植田さんについて
・町田メカについて
・プラモーションについて
・各話の引きについて
・シリーズの構成法
・キャラの名前の由来
・作者にとって意外なキャラ
ジャンク屋チーム、傭兵チームともに、物語の途中で追加されたキャラがいます。
本日は、彼らについて説明します。
ジャンク屋の「キャプテンGG」は、
実は生きていたファースト・コーディネイターのジョージ・グレンです。
(正確には、追加キャラではなく、本編からの移籍になるのでしょうか?)
その脳だけが、保管され生きていたというのは、
私のアイデアではなく、本編プロデューサーからの案です。
キャラの性格が本編と違うのは、
ぬえ森田さんの案と、ときた先生の案を、まぜこぜにした物です。
外見については、ときた先生案。
脳が保管されていたカプセルのデザインは戸田先生。
(設定画のカラーは、ときた先生が塗ってます)
このキャラも、ただ遊びで出したのではなく、
コーディネイターとナチュラルの関係論、
そして、「コーディネイターというものの本質はなんだったのか?」
を語らせるために登場させました。
つまり、コミックの中でジョージがナチュラルのロウに対して、
「君こそコーディネイターだ」と語るシーンのためですね。
(意味が分からない人は、ぜひ単行本を)
これは、本来なら本編アニメで語られるべき設定かもしれませんが、
ご存じのとおり、本編のテーマとして、
「コーディネイターとナチュラルの違い」は、重要ではなくなってました。
(ごく普通の関係(友達とか)にある、人と人との対立などのテーマが重要になってました。
ここに人種間の対立を持ち込むのは、得策ではないのです)
せっかく作った設定でも、本編のテーマを語るのに不要であるなら、
あえて表に出さないのは、正解だったと思います。
外伝は、そうした脇道となってしまった設定を
解説するのにも、効果的に機能したと思ってます。
傭兵チームの追加キャラは、「風花・アジャー」です。
このキャラも、正確な追加キャラとは言えないかもしれません。
文字資料だけなら、最初から「ロレッタの娘」として、
設定されていたからです。
当初、私は、風花を物語に登場させるつもりはありませんでした。
ですが「風花は、いつ登場するのか?」という問い合わせが多く、
「そんなに期待されてるなら」と小説版から登場させました。
「傭兵チームのメンバー紹介を子供の視点から描いたら
ちょっとおもしろいかも?」
というような軽い気持ちだったのを覚えてます。
この小説を入稿した時、それまで一度も原稿の
感想をいわなかった担当さんが「おもしろかったです」
と、電話してくれたことを覚えてます。
風花のデザインは、緒方さんの挿絵がもとになってます。
そこから、ときた先生がコミックに登場させ、
最終的にお二人の絵を見て、植田さんがキャラ設定にまとめました。
つまり、それまでのキャラとは、逆パターンで外見が作られました。
風花は、アストレイのシリーズの中でも、もっとも
イレギュラーな存在でした。
こんなに登場することになるとは夢にも思ってませんでした。
(男女どちらからも、人気があるようです)
彼女のすごい所は、彼女と係わったキャラは、彼女に引っ張られるように
キャラが立っていく(人気が出てくる)ということです。
ここまで行くと、もう計算して作れるキャラではないですね。
風花は、生きていて、勝手に動き回っている。
私は、そんな風に感じてます。
たまに、ときた先生と、十年後のアストレイについて話したりします。
その時、風花がどうなっているのか?
私も、ときた先生も、いろいろな予想をしてますが、
おそらく当たらないでしょうね。
彼女は、作者の思惑なんて、完全に超越してますから。
分かってるのは、十年後だろうと、二十年後だろうと、元気にやってるということだけです。
今回は、傭兵チームについて説明します。
まず劾ですが、ロウとの対比の意味も含め、
「ミスター・パーフェクト」としました。
欠点のないキャラです。
当時、ぬえ森田さんに「劾は、どのようなキャラか?」と聞かれ、
「SEED世界で一番強いキャラです」と、答えたのを覚えてます。
その時、「キラより強いのは、ありえない」と言われたので、
「単純な強さでは負けたとしても、
絶対に勝てる状況に追い込んでから戦うキャラなので、最強です」
と答え、「傭兵として合格」とお墨付きをいただきました。
小説2巻のあとがきにも書きましたが、
劾は、完全な所が、欠点となっているキャラです。
彼は、仲間の存在なしでは、成立しません。
(この点で、ロウと対局にいます。
ロウは、一人でも大丈夫な所がありますから)
相棒のイライジャは、これまた対比を考えたキャラです。
劾の逆で、一言で言えばダメダメ。
(そのかわり超美形ですが)
「コーディネイターなのに、その資質を持たない」という設定は、
最初に,ぬえ森田さんにコーディネイターについて説明を聞いたときに、
「全員が完璧にコーディネイトされる訳ではなく、
予想外の姿や能力で生まれる者もいる」
という話から思いつきました。
※外伝というポジションの作品なので、出来る限り、
本伝の設定の幅を広げるように考えています。
※リーアム兄弟がコーディネイターとナチュラルの兄弟というのも
この考えに基づいて作った設定の一つです。
リードは、ジャンク屋チームのプロフェッサーと同じ役割で、
「なんでも知ってる便利キャラ」です。
おそらく作者も知らないような劾の過去も
知っていることでしょう。
こちらも「とぼける(すべて話さない)」ために、
酔っぱらいにして、話をはぐらかせるようにしました。
ロレッタは、ポジションとしてはヒロインですが、
このキャラも外伝として、わざと「シングルマザー」という
ヒロインとしては、ありえない設定を導入してます。
ただし、SEEDとしての本質(?)を踏襲するため、
「大人の女性」としてメンバーを見守る部分はのこしてます。
(マリューなどのキャラと同じですね)
蛇足
彼女は、現在では褐色の肌をしておりますが、
キャラをデザインした時には、その設定はありませんでした。
色を決める段階で、この肌の色になりました。
そのため、初期に描かれたスニーカーの挿絵では、
金髪の白人だったりします。
風花は、初期設定では、「ロレッタの娘」としてだけの存在であり、
年齢以外はなにも設定していませんでした。
(登場させる予定も、ありませんでした)
次回は、敵のつもりでしたが、
ジャンク屋の追加メンバー「キャプテンGG」と、
傭兵の追加メンバー「風花・アジャー」について書きます。
※以下はキャラの設定製作について説明してます。
ファンの方が読むと、夢が壊れる部分があるかもしれません。
気をつけてください。
まずは、二人の主人公、ロウと劾を対比関係に作りました。
ロウは熱血。いい加減。
劾はクール。まじめ。
そこから、人間関係を広げていきます。
とりあえず本日は、
ジャンク屋チームをご説明。
基本は、やはり対比。
ロウは、「いい加減」に見える部分がありますから、
かっちりしたキャラとして、サブにお堅いコーディネイターの「リーアム」を配置。
このキャラには、作品のテーマでもある「コーディネイターとナチュラル」の関係論を展開するために「兄はナチュラル」という設定を導入しました。
外見は、まじめでまっすぐな部分を表現するため、
「やせて、髪が長く、すべてが『線』で構成されている」と指示しました。
ヒロインの「樹里」は、本伝の女性がすべて強い女性のように見えたので、
真逆の「心配性のネガティブキャラ」としました。
物語には、「すべてを知ってる役」がいると便利です。
そこで「プロフェッサー」を作りました。
このキャラは、「知ってるけど言わない」部分があった方が、より便利なので、
謎キャラ部分を持たせてます。
本伝で艦長が女性という部分が「SEED」らしさだと思った私は、
こちらのリーダー(らしき)プロフェッサーも女性としました。
ジャンク屋チームの最後のひとり疑似人格コンピュータの「8」は、
ジャンク屋というキーワードを明確化するためのキャラです。
ガンダムという作品は、通常モビルスーツに乗ってしまうと、
会話しにくくなるのですが、こいつがいれば、
同じコクピット内で会話も出来るので便利です。
ちなみに、8は、もっとも漫画という媒体を意識したキャラで、
「音声で喋らず、画面に文字を表示する」というのは、
漫画でなくては成立しません。
8のデザインは、デザイナーの植田さんも「どうしていいか分からない」というので、私がラフを描きました。
モチーフは数字の「8」です。なので、左右の真ん中に凹みがあります。
8は、ほとんど私のラフのままのデザインです。
※8の元ネタは、ぬえ森田さんのキャラ案にあった戦術用AIです。
結局、本伝の骨子が見えた段階で、人工知能が明確に存在しているようには
見えなかったので、8の出生には謎を作ることにしました。
(この謎には、答えがあり、すでに作品の中でヒントを出してます)
蛇足。
「アストレイ」がプラモーションでアニメ化された時、
監督は、8のデザインに「このままでよいのか?」とすごく悩まれてました。
「だってマスコットだろ?」と言われるまで、そんな風に考えたことなかったですが。
なにせ、ただの箱ですからね〜。
ちなみにアニメでは、音声で喋ってます。
蛇足2
初期のキャラ設定だと、内部構造がブラックボックスである8に対して、
プロフェッサーが解剖しようと、チャンスを伺っている。
というのが、あったのですが、結局一度も出す機会はなかったですね。
次回は、傭兵チームについてです。
その次は敵かな?
まず、ぬえ森田さんからキャラのアイデアをいただきました。
これは、かなりの数のキャラ案がありました。
私は、その中からジャンク屋と、傭兵を選択し、主人公にしました。
理由は、外伝ですから、本編とは違ったことをやりたかったからです。
外伝の役割として、
「世界観を生かしながら、本伝とは違う広がりを見せる」
ということを、最初から決めていました。
(のちのち解説しますが、「Xアストレイ」のみ、
違った方針で作っております)
この役割を考えれば、その時点で、正規軍の兵士は却下です。
ですが、戦争の時代を扱う以上、モビルスーツパイロットが必要です。
そこで、傭兵の登場となる訳です。
傭兵は、好きな軍に参加できるため、本編の戦い(事件)に絡めやすいというメリットもありました。
次に考えたのは、模型的展開です。
すでに模型誌での連載も決まっていましたので、
モビルスーツの改造が可能となるジャンク屋は、打って付けのキャラでした。
そうして、叢雲劾と、
ロウ・ギュールが生まれました。
ここまで読んで、みなさんお気づきだと思いますが、
模型誌のためにジャンク屋を設定しておきながら、
連載は傭兵チームで行っています。
これは、偶然と必然による結果なのですが、
模型誌としては、
「ちゃんと戦闘して作例をかっこよく見せられるキャラを求めていた」
これが大きい要因です。
逆にコミックの方では、ドラマをじっくり見せることが可能なため、
普通なら戦闘にならないようなジャンク屋を主人公としても、
物語を構成することが可能でした。
なお、スニーカーの小説は、最後まで、主人公が決まらなかったのですが、
バンダイホビーからの提案により、ガンダムエースのコミック1話の裏側を傭兵視点で描くことになりました。
この1話を書いた時点では、小説が「物語を深く掘り下げる」のに適していたから、
傭兵視点で裏側を描いただけで、ずっと傭兵の物語を描く予定はありませんでした。
実は、ある程度掲載内容を決めた時点で、
角川書店→ジャンク屋
メディアワークス→傭兵
という、緩やかな縛りが存在してました。
(それがなかったら、少年エースは傭兵コミックだった可能性が高いです)
ですが、角川のスニーカーに対しては、みなさん寛大で、
そのまま傭兵で小説を続ける許可をいただくことができ、
結果として、最後まで、劾の物語を展開していくことになります。
ジャンク屋は二誌ともコミック
傭兵は二誌とも小説(模型誌はショートストーリー+写真という構成だった)
という、結果的に妙な収まりになりました。
(これは、これで、良かったと思ってます)
とりあえず、
これで、各掲載誌での主人公は決まりました。
主人公がきまれば、サブキャラも、物語も自然と決まります。
(私は、いつも、まず主人公を作ります。
物語やテーマは、主人公の後から自然と付いてきます。
たぶん、テーマより主人公を先に作る作家は、珍しいのではないかと思います)
次回は、サブキャラたちについて書きます。
三年半前のある日、私にサンライズからお呼びがかかりました。
「新作のテレビシリーズの外伝を作ってほしい。
プロットは、ぬえの森田さんが作ってくれる」
ということでした。
これが「アストレイ」シリーズの始まりです。
ガンダムに外伝作品は多数ありますが、アストレイは以下の点で
大きく違います。
「本伝と同時展開である」
テレビ放映中に開始された外伝は、これしかないはずです。
「版権許諾ではなく自社作品」
一般の方には、わかりにくいかもしれませんが、
ほとんどのガンダムコミックやゲームは、サンライズやテレビ局から
版権を使用する許可をもらって作っています。
ですが、アストレイは、サンライズの自社作品であり、
コミックとテレビという媒体の違いはあっても、本伝と同じ扱いなのです。
最初から「ガンダムエース」、「電撃ホビーマガジン」、「ザ・スニーカー」の
三誌での連載が決まってました。
このころ、ガンダムエースは隔月誌で、
電撃ホビーは「AOZ」と交互に隔月で連載する予定だったようです。
また、スニーカーは、今でも隔月誌です。
そんな訳で、三誌での連載といっても、実質一ヶ月には1.5話です。
これは、それほど無理な話ではないように思えます。
(当時、私はチャンピオンの週刊連載と、ガンダムエースでの夏元先生の
コミックも担当してました)
やがて、どういう訳か「少年エース」でも掲載することになりました。
同時に四誌に連載するなんて、そんな作品聞いたことがありません。
(まあ、「SEED」に対する期待の高さの表れなのですが)
しかも、連載をはじめてみると、
電撃ホビーは毎月掲載。
ガンダムエースも月刊化されてしまいました!
気づけば、月に3.5話作ることに!
本伝のアニメが月4話ですから、それに匹敵する数です。
このころ、他の仕事も合わせると、平均で3日に一回締め切りがくる生活をしてました。
これが可能だったのは、
ぬえ森田さんや、シナリオライターの吉野さん、サンライズ下村さんの
完全なバックアップと、
ときた先生、戸田先生、各編集部による協力のおかげです。
(それでも、小説では、休みをいただくこともありました。
編集部のみなさん、ごめんなさい)
いよいよスタートした「アストレイ」。
次回は、アストレイの立ち上げ時の設定製作について書きます。
やっと、昔話から、多少の技術論へ入ります(笑)。