千葉智宏: 2006年5月アーカイブ

ご無沙汰してました

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ほぼ毎日更新していたブログですが、 約一ヶ月お休みしてしまいました。 だいたい1日分のブログを10分で書いているのですが、 (書きためしているので、一週間分を1時間ぐらいで書く) その時間がまったく取れませんでした。 この間、なにをしていたかと言うと…… ・新アストレイの準備 「機動戦士ガンダムSEED C.E.73 Δ ASTRAY」 6月26日ガンダムエースより開始です。 これまでの「アストレイ」は、新シリーズといっても、 メインのキャラが変更になるぐらいで、実は物語は続いていたりしました。 が、今回は、完全な新作です。 そのため、今までになく準備に手間を掛けました。 テレビシリーズの外伝という本来の立場に原点回帰し、 テレビのキャラや、事件がどんどん出てきます。 「C.E.73」タイトルですが、「スターゲイザー」の外伝ではありません。 ただ今までMSVが登場していたように「スターゲイザー」も出てきます。 しかし、あくまでもテレビシリーズの外伝というスタンスになります。 また、前の「アストレイ」キャラについては、同じ世界に住んでいるので、 まったく出ない訳ではありませんが、 出るとしても、「前と同じ」ということはありません。 いろいろ仕掛け考えて、設定発注なども完了してます。 ・電撃「機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY」上巻 6月26日発売です。 告知によると3話を新作で追加していることになってます。 ウソです。 実際には、新作3話、まったく作り替えたエピソードが1話で、 4話が新作です(笑)。 それ以外にも、すべて加筆してます。 一部のエピソードでは倍ぐらいの長さになってます。 今回は連載時のコラムも一部再録しております。 ・ガンダムエース「機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY」4巻 6月26日発売です。 こちらも追加ページあり。 (私は、追加に関してはそれほど大変ではないのですが) 4コマ漫画や設定ページなど、単行本独自の企画も健在です。 ・スニーカー「機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY」2巻 7月1日発売です。 全話を加筆修正しました。 どのエピソードも1.5倍ぐらいのボリュームになってます。 1巻のような書き下ろしエピソードはありませんが、 1巻には無かった「あとがき」が今回はあります。 以上の作業のために寝る暇もないほど忙しかったのです。 で、この忙しさから脱したかというと、 まだ一冊残ってまして…… ・電撃「機動戦士ガンダムSEED DESTINY ASTRAY」下巻 7月26日発売です。 こちらも新作3話を追加する予定です。 (すでにプロット出し完了し、挿絵や、模型のジオラマ写真の製作に入ってます) また、目玉企画として、戸田先生のコミックが増ページ! さらに、MSの開発発展図を収録。 製作者のひとりである私自らが解説し、「ここがポイント」という部分を 読み解いていく記事にする予定です。 あの発展図には、なかなかおもしろい仕掛けがいっぱいあるのですよ。 そんな訳で、まだまだ忙しい日々が続きそうですが、 可能な限りブログの更新もしたいと思ってます。 6月末〜7月末で「Dアストレイ」関係は、ほとんど終わります。 なんか寂しいですが、新しい作品へのバトンタッチなのでしかたありません。 完結したら、ブログでいろいろ製作秘話などについても書きたいと思います。 これからも、応援よろしくお願いします。

NHKで好きな番組

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昨日の書き込みでは、NHKを批判した私だが、 「これには演出が含まれる」と理解した上で見れば、おもしろい番組も多い。 前に紹介した「プロフェッショナル」もそうだが、 「ビジネス未来人」という番組も、私のヒイキだ。 放送日程はめちゃくちゃで、よく分からない。 (調べたが、変更も多い) だいたい徹夜で仕事して、早朝テレビをつけると、 NHK第一か、教育のどちらかでやっている。 これは、広い意味で「プロジェクトX」風の番組で、 今までの常識をやぶった企業のリーダーを呼んで、話を聞くというものだ。 出てくる話を全部信じるのはかなり危険だが、 紹介されている作業がニセモノということはないだろう。 特に記憶に残っているのは 「北の町工場 宇宙を目指す」の回。 それまでロケットは、大学や研究所が独自に作っており、 かなりの費用がかかった。 それをこの会社では、採算ラインに乗せてしまったのだ。 やり方は簡単。 今までのロケットは、独自パーツを使っていたために、 1つ1つの部品が高価だった。 この会社では、流用可能なパーツは、すべて既製品を流用した上に、 新規パーツも工業規格に合わせた採寸にしたのだ。 この結果、コストは十分の一以下になったと言う。 最初は、こまっている研究所を助けたり、 趣味だったりしたようだが、 現在では、採算がとれて、もうけが出ているらしい。 この話は、かなりよかった。 町工場が宇宙開発をになう。 それも採算がとれてる(ここ重要)。 現代のジャンク屋組合をみたような気がした。 ちなみにこの番組には、二人の司会者がいる。 ひとりは男性アナウンサーで廣田直敬。 この人は、まあ普通の人だ。 問題はもう一人、三神万里子という女性だ。 かなり謎な人で、外見はバーのマダム風。 (キャリアウーマンには見えない) 収録中、まったく気持ちのこもっていない発言をする。 「あっ、読んでる」という感じだ。 そして、目もかなり死んでて、 「こんな番組興味ないの」とありありと語っている。 熱く語る企業人たちに、その冷めた態度で、冷や水を浴びせかけるのだ。 この人、肩書きがまた謎で、 「フリーランスジャーナリスト 国立情報学研究所プロジェクト研究員 そして……漫画家」 なんだよ、その漫画家って! 実際、番組中に彼女の漫画(というかカット)がかなり挿入されるのだが、 これが良いぐわいに古い。 この絶妙に壊れた雰囲気も、この番組の魅力かもしれない。 まあ、狙ったり、まねしたりできない魅力だが。

NHKの思い出

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「Dアストレイ」に多大な影響を与えた放送局がある。 NHKだ。 実は、昔私はNHKの取材を受け(そうになっ)たことがある。 この件は、今でもはっきり憶えている。 順を追って話そう。 大昔、私は、バンダイ出版の仕事を手伝っていた。 そのころ、バンダイ出版はBクラブショップというアンテナショップをもっていた。 これが、渋谷の東急ハンズとNHKのちょうど間ぐらいにあった。 なかなかの人気店で、連日、子供やマニアが押しかけていた。 その前を毎日通るNHKの社員は 「この店はなんだ?」 と思い始めた。 おもちゃ屋のようなのに、大人も来ている。 かなり不思議な存在に見えたのだろう。 そこで、独自の取材(?)をして、それが今までの模型店ではないお店だと知る。 「これはニュースになる」 そう思ったNHKは、バンダイ出版に取材を申し入れた。 バンダイとしては、よい宣伝になるということで了承。 だが、NHK側の取材にはひとつ条件があった。 「社会人のお客さんをひとり紹介してください」 というモノだ。 天下のNHKが相手とはいえ、 本当に普通のお客さんを紹介してトラブルにでもなったら大変だ。 心配したバンダイは、私の所に声をかけてきた。 「千葉くんを紹介しても良い?」 私の立場は、純粋なお客さんという訳ではないが、 当時、社会人ばかりのメンバーで「ブラッドサッカー」という模型グループを作り、 ワンフェスに参加して、けっこう活動していた。 ※当時のBクラブで「Vガンダム」関係のガレージキットに、 このグループのメンバーが原型を担当したモノが多数ある。 だが、それでも全員別に職業を持っていたので、プロモデラーではなかった。 「とりあえず話をききましょう」 私は、NHKの人に取材内容をきくことにした。 いざ内容を聞いてみると、私は唖然とした。 まずシナリオがあった。 「サラリーマンのAさんは、仕事から帰ると趣味の模型を作る。 この模型だけが、彼の憩いの場なのだ。 疲れていた体にみるみると、元気が取りもされる。 模型をつくると、ある時はヒーローロボットのパイロットになり、 またある時は異世界の勇者になれる。 彼は時間を忘れて、模型を作り続けるのだ」 と、こんな内容だった。 模型をやっている人なら分かると思うが、 的はずれもいいところである。 私は、はっきりNHKの人に、「こんな社会人モデラーいません」と言って遣った。 するとNHKの人は「いや、これは取材してわかったことなので、これが正しい」 といいはるのだ。 「おまえは、バカか!」 そう言って、どなって遣りたくなった。 当事者が違うと言ってるのだ。 それを部外者が、なぜ決めつける? 根拠が見えないと同時に、ジャーナリストとして恥ずかしくないのかと疑問に思った。 それに「取材した事実」なら、その取材対象にそのままテレビに出てもらえばいいのだ。 その点を指摘すると、しぶしぶそれが外部プロダクションによる製作で、本当に取材した相手がいるのかは確認していないと認めた。 ここからは、私の推理だが、 どうも話の裏を考えるに、NHKは、最初に「この件はこうだ」と 決めつけて「この件をこう取材したい」と外部にオーダーしているようなのだ。 その結果、事実とはかけ離れたドキュメンタリーのシナリオが上がってくる。 ※書いていて思い出した、作ってる模型も指定があって、 たしか海洋堂のエイリアンのガレージキットだった。 「視聴者が分かるものでないとダメだから」という理由だった。 アニメの模型は視聴者の共感を得られないというのだ。 この時点で、バンダイのショップの取材という観点からもずれてる。 クライアントであるバンダイからのオーダーだったが、 この件は断ってしまった。 バンダイの人も、 「これはひどいね」と言って、理解してくれたのだ。 NHKが、別の人間を捕まえて、取材を強行したかどうかは知らない。 たしか朝のニュースの一コーナーとして流す予定だと聞いていた。 (疲れたサラリーマンの憩い。 というのが朝のニュースにフィットするらしい) このこともあって、私はNHKをはじめとするニュースを 百パーセント信じるなんて、バカはしないことにしてる。 そこには、あらかじめ結果ありきで書かれた、 現実無視のシナリオがあるかもしれないのだ。 追記 NHKは、模型ブームの時に、 「模型製作に火を使う作業があり、こんなに危険」 という検証映像もニュースで流していた。 これも最悪の映像だった。 素組の赤ザクを燃えさかるガスバーナーの上に掲げて、めらめらと燃える絵を取ったのだ。 「なんて、模型は危険なんでしょう。子供には与えられませんね」 なんてコメントしてた。 石油製品が燃えるのは当たり前。 だいたい、火を使うとしても、ロウソクか、電熱器だ。 家庭にガスバーナーなんてない! ここまでいくと、視聴者にもNHKのバカさ加減がはっきり分かるので、 そんなに罪はないかもしれない。 ※この絵のために受信料をとってるのは罪だが。

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機動戦士ガンダムSEED公式外伝 GUNDAM SEED ASTRAY MASTERS 機動戦士ガンダムSEED ASTRAY作品集 この本は、単行本化にあたっては、私はチェック作業しかしてませんが、 なかなか見応えのある本です。 価格もそれなりですが、3年半の作例の集大成なので、 価格に見合うボリュームだと思います。 単行本では、あまり収録出来ていない写真や設定のカラーが豊富なのもうれしい所。 すでに発売中の「B」の単行本、 そしてこれから発売される電撃ホビー版「D」の上下巻と合わせれば完璧! なお、電撃ホビー版「D」の上下巻ですが、 一ヶ月発売を遅らせることになりました。 その分、書き下ろし満載です。 上巻では、一気に3話の新作を追加! 耳から血を吹き出しながらがんばってます(しゃれではなくね) 例によって戸田さんのコミックも収録。 かなりいい感じです。 ときた版とは、ひと味違ったジェスとマディガンのコンビが、とても楽しい作品に仕上がってます。 新アストレイについても、現在、ばりばり制作中です。 5月25日売りガンダムエースで、予告開始。 6月末から連載開始! 同時にいろいろ仕掛けも考えてます。 6月は模型誌にも要注意かも(?) 電撃ホビー版「D」上巻、ガンダムエース版「D」最終4巻も、この時期です。 お財布直撃かもしれませんが、どうぞよろしく!

「無印」5話&「R」7話

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2つのコミックは、基本的に違うエピソードを扱うようにしていた。 だが、物語上、どうしても重要なものは、両誌で扱わざるを得ない。 これまで1話の一部だけが、共通だったが、 このエピソードでは、まるごと同じ話を書いている。(細部は違う) 理由は、両誌ともに「どうやって地上に降りたのか」を説明する必要があったからだ。 ※実はゴールドフレームに関しては、「R」では重要視していなかった。  敵として、ルキーニがすでに存在していたからだ。 ・ときた版(無印) 冒頭、ルキーニと劾のシーンで始まる。 ルキーニが、はっきりと登場するのは、これが最初だ。 (これまでも、ちらちらは出てた) このキャラに興味をもってもらえれば、ガンダムエースの読者に少年エースを読んでもらえるかもしれないと、考えてのシーンだ。 なぜ、劾に会いに来たかは、少年エースを読むと分かる。 ・両誌 ロウが、ゴールドフレームの存在にニュータイプ的感覚で気づくシーン。 実は、ロウの初期設定には「メカに関してはニュータイプ的直感力が働く」という記述があり、それを生かした。 少し微妙な問題もあるので、シナリオに盛り込む前にサンライズに確認をとった。 「これぐらいなら、アリでしょう」という返事でオッケーに。 ・両誌 ゴールドフレームが装備しているのは、デュエルのバズーカだ。 実はサンライズから連絡があり、 「初期設定のみで本編で使用する機会のないデュエルのバズーカが、おもちゃに付属することになった。アストレイで出してくれないか?」 とのことだった。 そこで、へリオポリス崩壊時に、ゴールドがデュエル用の装備を持ち出したことにした。(このエピソードはのちに電撃で詳しく描くことになる) ・戸田版(R) ガンダムエースでは、なぜゴールドに襲われたのか、その理由がない。 戸田版では、「ザフト基地へコロニーの外壁を落とし、その間に自分が地上へ降りるため」という説明が出てくる。 理由がないガンダムエースは、まずルキーニが「何かある」と話題をふるので成立している。また、これ以後、ゴールドとの因縁が深まり、そこで対立関係が見えてくることで、この段階での具体的な理由がなくても成立するようにしている。 コロニーの外壁のデザインは、戸田先生が担当した。 戸田先生は、これに凝りすぎて、原稿の作業が遅れてしまうことになった。 「ときた先生も使う設定だから」というのが、まじめな戸田先生らしい理由だ。 ・両誌 ホームのクレーンで、ゴールドを殴るのは、私がせひやりたかったシーン。 世にも珍しい宇宙船による格闘戦のシーンだ。 最後に「ホームはこんなことも出来るよ」と、読者に教えたかったのだ。 実は、戸田版では、このシーンはスペースの都合で、カットになりそうだったが、 なんとか入れ込むことが出来た。 ・両誌 最後の1ページは、両誌ともに「朝日」「レッドフレーム」「ロウ」という共通のイメージで書いてもらっている。 見比べると、両誌の作品の違いを、読み取ることが出来ておもしろい。

少年エース「R」6話

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いきなり「海鮮ジョンゴル鍋」ですよ。 もちろん、シナリオにはありません。 戸田さんのアイデアです。 もうこのころになると、戸田流のノリが、私にとって快感だったので、スルーしました。読者も、同じように喜んでいてくれることを願いつつ。 まさか、引いてませんでしたよね? ※ちなみに、この鍋については、 ちゃんとサンライズに確認して了承とってます。 さすがに食物資源のとぼしいプラントで「海鮮」なので。 この話の基本は、「名所めぐり」だ。 外伝であるアストレイシリーズは、なるべく本編に登場した名所をめぐるようにしていた。 そうすることで、世界観が共通であることが明確になりやすい。 今回は、「本当の名所」だが、「事件があった場所」なども、名所として考えていいだろう。 そう考えると、ときた版でキラを助ける所は、究極の名所と言える。 今回は、ナチュラルのロウたちが、 プラントの中に入るというウルトラCな名所巡りだ。 もともと、「エヴィデンス01は、プラント内では、観光地になっている」。 というサンライズから聞いた設定を描くために書いたシナリオだ。 シナリオ段階では、01の周りにおみやげモノ屋の屋台などが出ている風に書いたが(それが戸田風かと思ってそうした)、戸田先生に否定されてなくなってしまった。 まだ、このころは戸田流がよく分かってなかったという一例だ。 ファーストコーディネイターのジョージ・グレンを崇拝する「GG友の会」は、プロットでは、宗教団体として描かれていた。 だが、作品に宗教を持ち込まないというガンダムの基本方針があり、 「友の会」に落ち着くこととなった。 それにしても戸田先生の描かれたモンドのデザインには、びっくりした。 頭にGGと入れ墨している。 かなりのインパクトだ。 ロウがテロリストを殴るシーンの作画は、演出として、ああなっているのだが、読者にそれが伝わるのか、微妙な所だ。 伝わってます? モビルスーツによる戦闘は、具体的に描かず、イメージシーンと、ナレーションによる処理になっている。 これも戸田先生からの要望だった。 ここでは、先に殴るシーンがあるので、後の戦闘は細かく描く必要はないという考えだ。 「GG友の会」の秘宝「GGユニット」は、 ときた版にも登場する。 デザインは、戸田先生に先行して進めてもらい、ときた版で合わせた。 次回は、大気圏突入&ゴールドとの戦い。 これは、ときた版とまったく同じ話が、はじめて出てくる実験作になる。 (1話をのぞく) ときた版と比較しながら、紹介したいと思う。

少年エース「R」5話

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「R」で、もっとも気に入っている話。 もともとは、戸田先生から 「ロウというキャラを描くために、 普通の人とは違う価値観を示す話が欲しい。 たとえば、何かを得るためにブラックホールに飛び込んでしまう話」 というオーダーを受けたのが、きっかけ。 さすがにブラックホールに入ったらロウでも戻ってこれないので、 爆発寸前の施設に、ただのデータを取りに行く話となった。 この普通の人にとっては、「ただのデータ」が、 ロウの考えでは「その人の思いがこもった唯一無二のもの」 となっている所がポイント。 ロウは、「モノが持つ使命」を大切にしようとしている。 すべてのモノは、換えがきかない。 だから、彼は、個を極限まで大切にするジャンク屋なのだ。 それを明確化するためには、最初に「人間に対して冷たい」ともとれる対応をさせ、 実は「モノ」と「人間」、どちらの使命も、同等に扱っていることを明かして、ロウというキャラの考えを示している。 この話では、敵は、特殊な存在にならないように、 ルキーニにそそのかされた女性ハーナが出てくる。 (普通の敵というのが、敵としては特殊だが) 普通の人が敵となった時、よりロウの行動が明確化する。 ハーナの名前は「花」からとっている。 当時、好きだった女優さんが自殺してしまった。 その人の私が好きだった役名からとった。 最初にザフトが実験しているのは、 モビルスーツ用の大出力ビームの実験。 おそらく、Nジャマーキャンセラーに関係している。 シナリオ段階で、どんな実験が可能なのかを、ぬえ森田さんと話してきめた。 ただ、この段階では、森田さんにも明確にキャンセラーのビジョンはなかった。 プロフェッサーが、駄菓子の「ねるね」を食べている。 「なぜ、ねるねを?」 と戸田先生に聞いたら「気づいてくれましたか? わざとやってみました」 との返事。 よく理由は分からなかったが、まあ戸田版の雰囲気ということで了承。 以後も、同様の「ひっかかり」のあるアイテムが画面に出てくることとなる。 ラストシーンで、爆発の中に現れるレッドフレームは、 8が操縦している。 8の操縦は、オート(人を介さない)ということで、 世界観的な問題をはらむのだが、 「単純に歩いてきただけ」ということで、 サンライズのチェックをパスした。 ※ときた版の1話でも、8がライフルを撃つシーンがある。 フルオートは問題だが、単純な作業なら、現代のテクノロジーでも簡単に出来る。 逆にコズミックイラの時代にそれが、出来ない方がおかしなことになる。 ただ、どこまでがよくて、どこまでダメなのかは、理屈ではなく、世界観の話になる。 ここの見極めを間違えると、読者が混乱することとなってしまう。 この話は、冒頭に書いたように、私の大のお気に入りだ。 だが、アンケートの順位はさんざんだった。 まあ、ロボットが活躍しないのだから、しょうがない。 (ときた版3話と同様の現象だ。作者の気持ちとアンケートは一致しない) この話が少年エースに掲載された後、 ときた先生から「いい話でした」と言って頂けたのが、とてもうれしかった。

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