NHKの思い出

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「Dアストレイ」に多大な影響を与えた放送局がある。 NHKだ。 実は、昔私はNHKの取材を受け(そうになっ)たことがある。 この件は、今でもはっきり憶えている。 順を追って話そう。 大昔、私は、バンダイ出版の仕事を手伝っていた。 そのころ、バンダイ出版はBクラブショップというアンテナショップをもっていた。 これが、渋谷の東急ハンズとNHKのちょうど間ぐらいにあった。 なかなかの人気店で、連日、子供やマニアが押しかけていた。 その前を毎日通るNHKの社員は 「この店はなんだ?」 と思い始めた。 おもちゃ屋のようなのに、大人も来ている。 かなり不思議な存在に見えたのだろう。 そこで、独自の取材(?)をして、それが今までの模型店ではないお店だと知る。 「これはニュースになる」 そう思ったNHKは、バンダイ出版に取材を申し入れた。 バンダイとしては、よい宣伝になるということで了承。 だが、NHK側の取材にはひとつ条件があった。 「社会人のお客さんをひとり紹介してください」 というモノだ。 天下のNHKが相手とはいえ、 本当に普通のお客さんを紹介してトラブルにでもなったら大変だ。 心配したバンダイは、私の所に声をかけてきた。 「千葉くんを紹介しても良い?」 私の立場は、純粋なお客さんという訳ではないが、 当時、社会人ばかりのメンバーで「ブラッドサッカー」という模型グループを作り、 ワンフェスに参加して、けっこう活動していた。 ※当時のBクラブで「Vガンダム」関係のガレージキットに、 このグループのメンバーが原型を担当したモノが多数ある。 だが、それでも全員別に職業を持っていたので、プロモデラーではなかった。 「とりあえず話をききましょう」 私は、NHKの人に取材内容をきくことにした。 いざ内容を聞いてみると、私は唖然とした。 まずシナリオがあった。 「サラリーマンのAさんは、仕事から帰ると趣味の模型を作る。 この模型だけが、彼の憩いの場なのだ。 疲れていた体にみるみると、元気が取りもされる。 模型をつくると、ある時はヒーローロボットのパイロットになり、 またある時は異世界の勇者になれる。 彼は時間を忘れて、模型を作り続けるのだ」 と、こんな内容だった。 模型をやっている人なら分かると思うが、 的はずれもいいところである。 私は、はっきりNHKの人に、「こんな社会人モデラーいません」と言って遣った。 するとNHKの人は「いや、これは取材してわかったことなので、これが正しい」 といいはるのだ。 「おまえは、バカか!」 そう言って、どなって遣りたくなった。 当事者が違うと言ってるのだ。 それを部外者が、なぜ決めつける? 根拠が見えないと同時に、ジャーナリストとして恥ずかしくないのかと疑問に思った。 それに「取材した事実」なら、その取材対象にそのままテレビに出てもらえばいいのだ。 その点を指摘すると、しぶしぶそれが外部プロダクションによる製作で、本当に取材した相手がいるのかは確認していないと認めた。 ここからは、私の推理だが、 どうも話の裏を考えるに、NHKは、最初に「この件はこうだ」と 決めつけて「この件をこう取材したい」と外部にオーダーしているようなのだ。 その結果、事実とはかけ離れたドキュメンタリーのシナリオが上がってくる。 ※書いていて思い出した、作ってる模型も指定があって、 たしか海洋堂のエイリアンのガレージキットだった。 「視聴者が分かるものでないとダメだから」という理由だった。 アニメの模型は視聴者の共感を得られないというのだ。 この時点で、バンダイのショップの取材という観点からもずれてる。 クライアントであるバンダイからのオーダーだったが、 この件は断ってしまった。 バンダイの人も、 「これはひどいね」と言って、理解してくれたのだ。 NHKが、別の人間を捕まえて、取材を強行したかどうかは知らない。 たしか朝のニュースの一コーナーとして流す予定だと聞いていた。 (疲れたサラリーマンの憩い。 というのが朝のニュースにフィットするらしい) このこともあって、私はNHKをはじめとするニュースを 百パーセント信じるなんて、バカはしないことにしてる。 そこには、あらかじめ結果ありきで書かれた、 現実無視のシナリオがあるかもしれないのだ。 追記 NHKは、模型ブームの時に、 「模型製作に火を使う作業があり、こんなに危険」 という検証映像もニュースで流していた。 これも最悪の映像だった。 素組の赤ザクを燃えさかるガスバーナーの上に掲げて、めらめらと燃える絵を取ったのだ。 「なんて、模型は危険なんでしょう。子供には与えられませんね」 なんてコメントしてた。 石油製品が燃えるのは当たり前。 だいたい、火を使うとしても、ロウソクか、電熱器だ。 家庭にガスバーナーなんてない! ここまでいくと、視聴者にもNHKのバカさ加減がはっきり分かるので、 そんなに罪はないかもしれない。 ※この絵のために受信料をとってるのは罪だが。

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このページは、千葉智宏が2006年5月 6日 19:28に書いたブログ記事です。

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