テクニック: 2006年4月アーカイブ

4月17日の補足

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なんか、問い合わせがあったので、フォローしておきます。 「小説の構造」と一緒にしてしまったので、 「日常でも役立つ文章構成」が、わかりにくくなってしまったようで。 例で分かりやすいのは、作品紹介かな? たぶん、だれでも見たことがあると思うから。 すべてとは言わないが、ほとんどは、以下のようなスタイルだと思う。 (なお、扱っている作品は、(まだ)架空のモノです。 今後発表される作品と類似していたり、微妙に違う部分があっても、 私は知りません) ---------------------------------------- ●見出し 新アストレイシリーズ開始! ●前振り 大人気シリーズ「ガンダムSEED」の公式外伝「アストレイ」で 新シリーズが開始される。 スタッフには、ときた洸一、千葉智宏に加え、 テレビ本編のスタッフから、大河原邦男が参加する。 ●本文 同シリーズは、3年半に渡ってシリーズ化されてきたが、 つい最近各誌の連載がすべて終了した。 だが、ガンダムエース6月26日発売号にて、 新たなスタートを切ることが分かった。 (さらに5月26日号では、予告編を掲載) 今回の物語では、火星からやってきた「火星人」たちを中心に、 テレビ「デスティニー」の時代を、今までとは違う視点から描く。 これまでの「アストレイ」とは、別の独立した作品になり、 タイトルもこれまでとは違うフォーマットになるようだ。 ただ、同一の世界が舞台となるだけに、 セトナの秘密が明かされたり、旧シリーズから引き継がれる部分も少なからずあるようなので、これまでのファンも要チェックだ。 ●後振り 現在、同じく「ガンダムSEED」外伝として発表されている 「スターゲイザー」は、DSSDと呼ばれる深宇宙探査組織が登場する。 火星に関係した新アストレイとなんらかの関係がありそうだが……? テレビシリーズは終了した「ガンダムSEED」だが、これからもまだまだ目が離せない! ---------------------------------------- 上記の用に構成を3つに分けて考えると、文章を組み立てやすい。 「前振り」は、とにかくキャッチーな内容。 人気作品である「ガンダムSEED」という言葉を出している。 スタッフ名なども効果的。 (自分の名前の効果はさておき、 映画などでは、監督や俳優の名前は、必ず出しておきたいポイントだ) とにかく「固有名詞」で引きつける。 この「紹介文そのもの」を読ませるための文章を心がける。 「本文」は、言っておきたいメインの内容。 例で言えば、開始日や、 物語の内容ということになる。 「後振り」は、実は「前振り」と同じ考え方で作る。 ただし、こちらは、「前振り」より、「固有名詞」に拘る必要はない。 なぜなら、読者は、すでにこの紹介文を読みはじめてくれているので、 「紹介文を読ませるキャッチーさ」は、もう必要ない。 ここで必要なのは、「紹介している作品(新アストレイ)を読ませる」方だ。 そこで、話題の作品との関連性を臭わせて締めくくっている。 以上、どうだろうか? 町内会の案内から、ラブレター、 会社の企画書まで、応用可能だと思う。

小説版アストレイの構造

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体調崩して中耳炎になってしまいました。 実は、一ヶ月前にも右耳が中耳炎になったばかり。 そっちが直ったと思ったら、今度は左耳。 人間体が基本。 気をつけなくては……。 さて、本題。 小説版アストレイでは、ある構造を意図的に導入している。 (もちろん、例外もある) まず、最初にテレビ本編の設定を紹介する。 つづけて、それにまつわる細部設定を公開。 (大抵、初公開のもので、私がぬえの森田さんや、シナリオの吉野さんから仕入れたネタだ) そして、先に公開した設定を生かした物語を展開する。 典型的なのが、5話「ソキスウの挑戦」だろう。 最初に連合のモビルスーツ開発の詳細が語られ、 そこから連合の戦闘用コーディネイターの話に入る。 そして、物語では、ソキウスたちが活躍する。 ちなみに、この構造は「よくある方式」で、私の発明品ではない。 (当たり前ですが) これは、かなり応用のきくテクニックで、 私は作家ではなくライターの時から使っている。 たとえば映画紹介。 前振りで「あの○○の監督が今度は○○に挑戦!」という感じで、データで興味を引く。 次に前振りをふまえた内容紹介。 最後、「この夏はこれだ!」とか、締めの一文を追加しておけばオッケー。 ライター志望の方はもちろん、 ちょっとした会社内の資料作りでも使えるハズ。 憶えておいて損はない。 私がこの方式で最高傑作だと思っている小説がある。 ジェームス・P・ホーガンの「創造主の掟」。 この小説、ガニメデに生まれていた中世イタリア風ロボット文明と、人間の接触を描いているのだが、 「なぜ中世のようなロボット文明が生まれたか?」が語られる序章が、めちゃくちゃおもしろい。 ただの作業用マシンが、交尾し、宗教を持つ過程が、必然を提示して、説得力を持って語られる。 この部分を読んだら、もう後には引けません。 ただし、後に続く小説はまったくタイプが違い、科学者たちをだます偽超能力者が、 持ち前の「詐欺師技能」を駆使して、ロボット文明との接触事件を乗り越えていく、エンターテーメントに発展していく。 (これまた見事なストーリー展開) もちろん、これだけ物語のアクロバットをしているので、 ハードSFからは、若干はずれてるし、ご都合主義の展開もある。 それでも、「楽しいでしょ?」という作者の思いが全編からあふれている作品だ。 「かならず救いがある」「科学は最後には幸福をもたらす」「良い人が勝利する」という、ホーガンの作品に共通のテーマ(?)も健在。 このあたりは、「アストレイ」とも通じるかも? ちなみに、この作品、人気があったようで、12年もたってから、続編「創造主の選択」が書かれてます。 (海外の作品は、作者が続編の構想を持っていないと、次はない。それなのに12年もかかったとはいえ、続編が書かれたのだから、たいした物だ) 余談 そう言えば、ぬえの加藤さんの最新画集を買ったら、 この小説の内容に惚れ込んだことが書かれていた。 採算度外視で、表紙の絵を描いたために、その後、金欠になったそうだ。

原作と作品

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私の書いているコミック用のシナリオと、実際に本に掲載されている作品。 これは、まったく同じという訳ではない。 シナリオ作家によっては、「シナリオどおりじゃないと許さない」という人もいるだろう。 だが、私は、「おもしろさ」を優先しているので、 違っていても、おもしろければオッケーだと考える。 というか、どんどん変えて、おもしろくして欲しいと思っている。 ときた先生、戸田先生、夏元先生は、 だいたいストーリーに関しては、100パーセントシナリオのままである。 (ストーリーは、変更した場合、のちのちの構成にも大きく影響するため、めったに変更しない) セリフやシーンの構成などは、70〜90パーセントぐらいがシナリオどおり、という状況だ。 どちらにしろ、先生たちは、変更の場合には、確認の連絡をくれるので、助かっている。 もし無断で変更してしまった場合、とりかえしがつかなくなる場合があるのだ。 (過去には経験あります) どんなにおもしろくても、いただいたアイデアが、ガンダム的にまずい場合もあるかので、確認作業は、必須だと言える。 たまに、いただいたアイデアから、さらにこちらでアイデアを膨らませる場合もある。 こうしたアイデアのキャッチボールが出来ると、作品の質が高まる。 さらに原稿があがったあと、完成原稿を見て、セリフを私が変更してしまう場合もある。(より絵にあったセリフい言い回しにする) こうして、シナリオから出発した作品は、誌面に載るまでに、研ぎ澄まされて、磨かれていく。 結果、シナリオと比較して、100パーセント同じ状態で載ることはない。 だが、それで良いのだ。

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