アストレイの話をいただいた時に、
「なぜテレビと同時に外伝をやるのか?」を最初に考えた。
通常、外伝というものは、「続編」と限りなく近い位置にいる。
つまりお客様は、本編と同じ人たちということだ。
本編だけでは物足りない人に、さらに作品を提供する訳だ。
この方法を採用している過去の作品は、「ウイング」の一連のビデオ作品などがある。
「SEED」の場合、まだお客さんはいないので、
このパターンには当てはまらない。
お客さんの「もっと欲しい」という要求は、
本編をやっている最中なのだから、あまり無いだろう。
そこで「アストレイ」では、
新たな外伝としての必然を考えた。
行き着いた答えは、「本編とは違う作品」だ。
ガンダムという作品は、作るのに膨大な世界観を用意しており、
実はテレビで語られるようなテーマ以外でも、まったく違うドラマの舞台として使える。
そこに目を付け、あえて「テレビとは違うもの」を目指したのだ。
こうすれば、お客さんはテレビとは違う人たちになる可能性もある。
(もちろん、両方を楽しんでくれているお客さんもいる)
違うお客さんがつかめれば、単純に「続編」を作るよりお客さんの数が増える。
それも狙いだ。
タイトルも「王道(本編)ではない」という意味の「アストレイ」になり、
ストーリーも、キャラクターも、まったく違うものにした。
よくファンの方から「本編よりアストレイが好きです」という
言葉をいただくが、これは狙ったとおり、
お客さんが二分化している現れだと思う。
まったく逆の「本編は好きだけどアストレイは嫌い」という人も、
かなりいるハズなのだ。
(もちろん、両方すきな人もいると思う)
ただし例外もある。
「Xアストレイ」は、上記した考えとは違う方法で作られている。
こちらは、なるべく「SEED」に合わせるように作った。
(もしそう見えないとしたら、作家性の違いです。
少なくとも、これまでのアストレイと雰囲気が違う所は読み取ってもらえると思います)
なぜ本編に雰囲気を合わせたかというと、
「X」の連載中は、本編が放映を終了していたからだ。
しかし、本編の続編は決定していた。
そこで、本編のファンを離れさせないようにする意図で、
「X」は作っていったのだ。
外伝として、一定の成功を収めることが出来た「アストレイ」だが、
これらの成功の裏には、
本編世界観設定の充実や、本編スタッフの協力があったことを記さねばならないだろう。
あと、「ガンダム」という作品のもつ懐の広さ。
これらがなくては、外伝は成功するハズもなかったのだから。
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このブログ記事について
このページは、千葉智宏が2006年6月10日 18:21に書いたブログ記事です。
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