言葉の持つ設定力

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あくまでも個人的な意見だが、ガンダムで一番の発明は「型式番号」だと思う。 この1つの番号を作っただけで、どれだけメカにリアリティがうまれたことか。 発展図は、あくまでも型式番号の付属品みたいなものだ。 型式番号があれば、ある程度、発展図も想像出来る。 (SEEDの発展図は、それほど単純ではないけど) 同じように考えた時、SEEDで一番の発明は 「コーディネイター」という言葉だと思う。 この言葉が、SEEDという世界を言い表している。 「人種を言い表す言葉」には、ファーストの「ニュータイプ」もあるが、 これよりも「世界を表現する」という意味では、重要になっている。 なぜなら、ニュータイプを知らなくてもファーストを見ることが出来るが、 コーディネイターを知らずにSEEDを見ることは出来ない。 コーディネイターという存在が、 対立の構図を説明し、 科学技術の発展度を説明し、 主人公(キラ)の苦悩を説明する。 コーディネイターという言葉があるから、 ナチュラルという言葉も生きるし、 ブーステッドマンもエクステンデッドも存在できる。 一方で、 SEEDでは、言葉の持つ設定力が、今までと違った使われ方もしている。 一般的に設定屋は、「聞き慣れた言葉」、「言いやすい言葉」を選ぶ。 私もそうする。 だが、そうした言葉は、すでに使われてしまっており、なかなか新たに見つけ出すのは難しい。 SEEDでは、この部分で大胆な冒険をしている。 ほとんど使われたことのない単語や言語をバンバン導入しているのだ。 個人的に一番驚いたのは、「フォビドゥン」だ。 発音できないし、どんな表記したらいいのか分からない! 今までの常識なら、ぜったい使わない単語だ。 SEEDは、そうした言葉を多用しながら、それを浸透させるのに一役買っている。 「聞き慣れた言葉がないなら、聞き慣れさせてしまえ」 という訳だ。 ※本当にそうスタッフが思っているのか知らないが、そう感じられる。 ちなみに先日発表された「スターゲイザー」で、「改」が取れた2機。 この名前については、「ある色の名前」というのが決まっていて、 そこから数種類の言語の案を、私が用意した。 最終的に選んだのは監督。 イタリア語が選ばれている。 今回、アクタイオンがユーラシアと関係しているので、ヨーロッパなら、どこでもアリなのだ。 最後に、「デルタ」でも、いろいろ 新しい設定力をもった言葉を用意している。 火星移住者が「マーシャン」なのも、その1つ。 今後作品内では、マーシャンから見た地球人の呼び名も出てくる予定だ。 ※すでに設定は作った。楽しみにしていて欲しい。

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このページは、千葉智宏が2006年6月 6日 00:36に書いたブログ記事です。

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